ふたり暮らし

明日は明日の風が吹く

景色が変われば意識も変わる

ふたり暮らし。景色が変われば意識も変わる。
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週末ビフォーアフター

先日の記事にも書いたが、実家の父が古堅純子さんのYoutube「週末ビフォーアフター」にハマっている。

asukaze827.hatenablog.com

 

私も父に勧められていくつか観てみたが、古堅式お片づけは「捨てない」片付けだ。ただし、「要らない物でもなんでも、捨てなくっても全然問題ないわよー♪」ではなく、「捨てられないんじゃしょうがないわね。とりあえず綺麗に詰め込んでおくから時間がある時に少しずつ見直すのよ?」というスタンスだ。

 

壁も床も棚の上もテーブルの上も、とにかく家の中すべてが物にふさがれた、ものすごい物量のおうちが度々登場するのだが、時間内で魔法のように綺麗に片付くのだからほんとうにすごい。家具のレイアウトも変えてくれるので、綺麗に片付くだけでなく、その家その家の生活スタイルに合った、とても生活しやすそうなお家に生まれ変わる。

 

古堅さんの決め台詞に「ひとつも捨ててませんよ〜?」というのがあるのだが、思わずこちらも「(あんなにあった)物はどこいったの!?」と、依頼者さんと同じ台詞が飛び出してしまう。

 

古堅さんのやり方には大きくわけて2パターンある。

 

ひとつは、家の収納にテトリスしまくり、はみ出た分は生活スペースの目につきにくいところにギュギュッと配置していく方法。

 

もうひとつは、部屋をひとつ犠牲にして物置部屋を作り、生活スペースは稼働率100%の完全に片付いた状態を作る方法。

 

視聴者としては前者の片付け回が断然面白い。収納の使い方も参考になるが、空間的制約が多い中、家具のレイアウトやはみ出た物たちの置き方が天才的過ぎて感嘆する。

 

問題は後者である。古堅さんも「ひと部屋犠牲にして家の景色を変えるのは簡単なのよ」とおっしゃっていて、その口調からその方法があまりお勧めでないことがわかる。そりゃそうだ。素人の私にだってわかる。せっかくの素敵なお家なのに、ひと部屋つぶしてしまうなんて、誰でも「もったいな!!物を捨てなよー!」と思うに決まっている。

 

でもそうせざるを得ないお家というのは少なくないようだ。

 

実家の片付けに悩む人たち

動画の依頼者の中には、実家の片付けに悩んで依頼してきたという娘さんや息子さんもいる。私も実家の物量は悩みのタネなので他人事ではない。彼らにとても共感して観ている。

 

しぶさんの動画にも私の親世代の人たちが何人か登場していたが、いずれもご本人からの依頼だ。ご本人が「このままでは残された家族に迷惑がかかってしまう」という思いで依頼してくるわけだから、当然「捨てる」「手放す」という行為には前向きである。
(手放すのに時間がかかる人もいるにはいるが。)

 

ご本人以外の家族が家の片付けを依頼しようと思ったら、当然しぶさんタイプの人には頼むことができない。なので、「捨てる」「手放す」という行為を行わない古堅式お片づけが救世主となるのだろう。散らばった物たちを片付け、美しく収納し、生活スペースを家主の希望通りに快適に整えてくれる古堅さんは、とくに高齢の方とは相性がいいようだ。

 

北風の娘

最近観た古堅さんの動画で印象的だったのは、広い一軒家でひとり暮らしをする母親を気遣った娘さんからの依頼の回だった。

 

おそらく自然豊かなところにある大きなお家で暮らす、草花のお手入れやお料理が大好きなお母様。勝手な想像だが、赤毛のアンの世界観がとてもお好きそうな方だった。

 

お片づけ作業日は娘さんもいてお片づけを手伝うのだが、そこでよくある母娘のやり取りが繰り広げられた。

娘「お母さん、その箱もう捨てたら?」
母「ううん、とっとく」
娘「こっちにいくつもあるじゃん」
母「これもとっとく」
娘「そんなのとっといてどうすんの。捨てなって!」

なんだろう、この既視感。古今東西、母と娘のやり取りはどこも同じなのかもしれない。笑

 

そんな親子のやり取りを見ていたJフレンズと呼ばれる古堅チームの皆さん、すかさず「いいのよいいのよ、取っときましょうね」「捨てなくていいのよ。ちゃんと片付けるからね」と間に入る。

 

高齢の方の場合、家族(とくに自分の子ども)に「捨てろ」と言われると返って意固地になってしまい、それを頑なに捨てなくなることをJフレンズの皆さんはよーーーくご存じなのだ。

 

太陽の古堅さん

仕上がったお部屋は、お母様の大好きな可愛い小物や雑貨が美しく配置された、とっても素敵なお部屋になった。

 

物はひとつも捨てず、古堅さんの言葉で「寄せ部屋」と称される物置部屋に、普段使っていない物や景色を邪魔する物たちを詰め込み、その回のお片づけは終了する。

 

この動画のすごいところはその後だった。

 

なんと、そのお片づけからしばらくして、お母様が娘さんの手も借りて、大量の物たちをどっさり捨てたという報告が娘さんから来たのである。お菓子の空き箱ひとつ捨てられなかったお母様が、すごい変わりようである。

 

古堅さん曰く、部屋の景色が整うことで、その景色にそぐわない物や、今の自分にそぐわない物が目につくようになり、自然と処分したくなるのだそう。

 

ついつい北風方式になってしまう娘や息子たちとちがい、古堅さんは太陽のように暖かくご本人に寄り添い、ご本人自らが上着を脱ごう!荷物を手放そう!と思えるように仕向けていく。

 

いやあ…脱帽です!

 

父の感想

古堅さんの動画を見始めた時は、「これは高齢者にはやってほしくない片付け方法だなぁ…」と思っていたが、先述した北風と太陽のような動画を観て私の気持ちも変わった。古堅さんのYoutubeにハマっている父よ、その調子でどんどん観てくれたまえ。笑

 

さて、そんな父は私と共通の話題ができたことが嬉しいのか、度々LINEで動画の感想を送ってくるようになった。

 

ある回で、梯子で登るロフトのあるお家が登場するのだが、依頼者さんがそのロフトを「寄せ部屋」にしたらどうかと提案し、それに対して古堅さんが「それは可能だけど、でもあそこに埋めたらもう一生取り出せないわよ?」と難色を示すやり取りがあった。

 

父はその動画の感想を、「うちもロフトにいっぱい置いちゃってるなぁー!確かにあれは一生出せないよなぁー!(ニコニコの絵文字)」と他人事のように送ってきて、読んだこっちは顔が引き攣ってしまった。

 

は!?じゃ、誰がその荷物を出すわけ?若かりし頃の父が力づくで上げた大量の荷物を、「一生出せないよなぁー!」のひとことで済ませないでくれない?一体どうする気!?

 

と、つい問い詰めたくなってしまう。やはり娘は北風だ。太陽にはなれないと改めて思ったのであった。