尿とお茶

 

なぜ、僕が尿を提出せず、スポイトで吸い上げたお茶をさし出したのか?

やはり、皆さんの疑問はここに集約されているようですね。

 

前日も書きましたが、これは僕にとって、思いつきであり、一瞬の大きな賭けでした。尿を提出するとき、服装検査が行われることも、当然想定内でした。もし、見つかった時には「なんちゃって」と、笑って見せ、素直に検査に応じようと考えました。どちらにしても、覚せい剤が検出されるわけはないのですから。

 

「だったら、堂々と尿を差し出せばよかったのに。」

 

それは、結果論です。僕は、2014年5月17日の逮捕時、取調べと言う名のもと、様々なことを喋りました。どこを切り取られて発表されたとしても、相手は警察です。メディアのような興味を引く内容にはならないと思ったからです。

 

違いました。

僕が取調べで答えた内容とは、違うものが発表されたからです。毎日のように接見に来てくれた弁護士からは、耳を疑う内容が、幾つもありました。担当刑事は、

 

「私は、そんなことは発表していないんだよ。」

 

では、誰がどこで、そう発表したのでしょう?
僕にとって、マイナス以外何ものでもない発言に変えられていました。愕然としました。

 

「これでは、捏造を繰り返すマスメディアと変わらないじゃないか」

 

その時の弁護士からは、「こうなってしまうから何も喋らないように」との、指示を受けましたが、黙秘をしては「マズイから答えない」と、受け取られかねません。僕は、「自分の説明が言葉足らずになるかもしれない。危険な橋を渡ることになってしまうかもしれない」と、いう思いも浮かべながら、向けられた質問に対し、丁寧に答えました。


「自供」ということになります。書き出された調書をゆっくり眺めながら、自供内容に間違いがないことを確認し、一枚ずつ指印を押しました。それでも発表は違うものになっていました。

 

僕が答えた内容は、世の中には見えません。
捻じ曲がって広がっていきました。

 

今回のことを、口頭で説明することは、ひじょうに困難です。

 

遡れば、2014年5月17日からの出来事、いや、
さらに、その2年前から始まっていたことなのですから。

 

今回、これをお伝えするのには、誰の言葉も借りず、
誤解のないよう、別の形で文字にしたいと思っています。

 

僕が観ていた、どのワイドショーも、的を得てはいませんでした。芸能レポーターは、論外でした。

僕と親しいと語るある芸能レポーターは、テレビで僕のことを、こう説明していました。

 

「ASKAさんが私に、世界的な組織に狙われてるというんですよ。」

 

僕を病気であるかのように、世間に広めました。
僕は、彼とは面識がありません。電話で数回お話をさせていただいた程度です。「世界的な組織」
そんな話はしていません。

 

「アメリカで開発された盗聴、盗撮用のアプリケーションが世界に広がっていってます。もちろん、日本にもあります。」

 

と、答えただけです。

僕とのプライベートな会話を、一切の了解も得ず、一部始終をテレビで公開致しました。
こんなことが許されるでしょうか?

 

「ある日、電話で喋ったら、ASKAさんは、ろれつが回っていなく、大丈夫?って聞いたんですよ。」

 

眠剤を飲んで寝た直後に、電話がかかってきましたので、僕の方から、

 

「ごめんなさい。ちょっと頭がボッーとしてるかもしれませんが、大丈夫ですよ。」

 

と、答えただけです。
また、

 

「絶対に誰にも聞かせないでください。」


と、約束をした未公開の楽曲を、全国放送で流しました。

 

「曲を流しちゃうダメだって!」

 

僕は、思わず彼を責めてしまいました。

 

「逆に、聴かせた方が良いと思ったんです。」

 

話になりません。未発表楽曲の権利を持っているような説明です。

 

先日、抗議の連絡をいたしました。
こういう公の場で、こういう発言が不適切なことは重々承知しておりますが、これ以上の行為が行われないよう書かさせていただきました。

 

と、ここまで書いたところで、少し落ち着いてみました。
僕はミュージシャンです。
生まれた楽曲を、皆さんの元に届けたい。
これ以上の気持ちは必要ないでしょう。

さて、失った20日間を取り戻さなくては。

 

今日は、1日雨でした。
雨を喜ぶ人がいる。
晴れを喜ぶ人がいる。

 

いいんです。
見上げたら空があれば。

 

ASKA

 

 

 

 

 

 

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