※編注:文章中に一部性的な表現がありますが、アーティストの作品との関係からそのままの表記となっております。予めご了承願います。
ルー・リードの妻でもあるメディアアーティスト、ローリー・アンダーソンのJ-POPバージョンを目指すという「スプツニ子」さん。彼女はマシンを作り、プログラムを書き、そしてネットに自作の音楽も投稿する、新しいタイプのアーティストだ。
1985年生まれで、現在はロンドン在住。日本人の父、英国人の母を持ち、両親はともに数学者だ。自身もロンドン大学のインペリアル・カレッジで数学を専攻し、現在はロイヤル・カレッジ・オブ・アートの大学院で勉強している。
2009年には、メディアアートの世界的イベント、アルスエレクトロニカで、セザール原田さんとの共同作品「Open_Sailing」がゴールデン・ニカ賞を受賞した。
▲ 右側でプレゼンテーションしているのが尾崎ヒロミ(スプツニ子)さん。航海の技術、海上でのエネルギー生成、料理のレシピなど、様々な議論や研究が、各種のソーシャルメディアを通じて続いている。
同年にはオリジナル曲のPVを収録したDVD「パラコンペ3000」をリリースし、英国の音楽誌「New Musical Express」も取り上げた。ライブでは少年ナイフやダモ鈴木のオープニングアクトをつとめるなど、アーティストとしての一歩を踏み出している。
「テクノロジーとジェンダーが交錯する」と表現すると難しげだが、彼女の作る音楽はポップで楽しいものばかり。GoogleやSkype、mixiといった身近なモチーフから、ネットワーク環境に囲まれた現在をポップミュージックに乗せることに成功している。
しかしこれまでの情報で、折り目正しい日英ハーフの美人アーティストだと思ったら大間違い。YouTubeの再生数は3万回を超え、海外でも評価の高い、極めつけの代表曲がこれだ。
この落差とノリは一体何なのか? はたして彼女は何者なのか? 例によって編集部には予算がないためSkypeでの取材となったが、それだけで彼女の人となりを知るのは難しい。その上ちょっと怖い。
実は事前取材において、ある意外な人物とのつながりが判明した。その人物は「昔はスプ子も普通の女の子だったのに」と証言している。というわけで、まずはその彼と会議通話モードでつないでみることにした。
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