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ITアーキテクト 鈴木雄介のブログ

書いた本に「アジャイルの本質を理解できていない」と星1コメントが付いたのでChatGPTに整理してもらった

自分の書いた本にAmazonでどんな評価が付くのかが気になるのは人の業。しかも、コメント付き星1は気になります。コメント付き星1って、相当な想いのはずなので、どんな意見の相違からそこに至ったのかに興味があります。なので、ChatGPTに相違点を整理してもらい、その仮想コメント者に返答をしてみたいと思います。


書籍の紹介→ 本を出版しました「DXリーダー必修講義 6つのキーテクノロジー」 - arclamp

付いたコメントは以下の通り。

星1 ただのSIerに都合のよいDX
本書で述べられているDX、アジャイルSIerにとって都合の良いもので、極めて表面的で理解は浅い。特にアジャイルを電車に例えるところは、アジャイル開発プロセスとしてしか理解できておらず、本質が理解できていないと言ってよいだろう。SIer主導のDXは、クラウド移行によるただのIT投資であり、同じことが繰り返されるだけである。いい加減、企業はこのような、金儲けしか頭にないSIerへの依存から脱却し、自立することでのみ、日本の真のDXが実現できることに気がつくべきである。自由とは誰かに与えてもらうものではなく、自らの手で掴みとるものであることを肝に銘じたい。

電車の例えについては書籍か、さっくり知りたい人はブログを参照ください。
スクラム導入には組織の取り組みが必要なことを電車にたとえてわかりやすく説明してみる - arclamp

ChatGPTによる整理

コメントにはSIer批判とかもありますが、双方の主張が明確な「スクラムを電車にたとえた部分」の相違についてChatGPTに整理してもらいました。もちろん、ChatGPTによる推測なので、ご本人の意見とは異なる可能性が大いにあることをご留意ください

1. アジャイルの捉え方の違い
  • コメント者: アジャイルは「思想」や「文化」であり、自己組織化や価値提供、変化への適応が本質。プロセスだけの説明は表面的で本質を捉えていないと考えている。
  • あなた: アジャイルの思想を否定せず、プロセスや仕組みを通じて実践を促し、その中で価値や思想を伝えるアプローチを取っている。
2. 実践(プロセス)と思想の関係
  • コメント者: 思想を第一義とし、プロセスを補助的なものと見なしている。
  • あなた: プロセスと思想は相互に補完的であり、具体的な実践を通じて思想を理解しやすくすると考えている。
3. 変化への対応と価値提供
  • コメント者: アジャイルの核心は「変化を歓迎し、価値を最大化すること」にあり、これが十分に伝わっていないと感じている。
  • あなた: 電車の例えを通じて、透明性や変化対応の仕組み(バックログの並び替え、スプリントの柔軟性)を説明しており、実践的に価値を伝えている。
結論

コメント者は思想的な深掘りを求めていますが、あなたはプロセスから実践的に思想を伝えるアプローチを取っています。思想の説明が不足していると感じた場合は、それを補完する説明を加えることで理解を促せます。

ChatGPTによる仮想コメント者への返答

なるほどね。

まず、アジャイルというのは「ビジネスにおける価値を最大化させるための重要な手段である」という点は同じだと考えます。

現在、アジャイル、特にスクラムは単なる開発プロセスではなく、DXを実現するための実践的なフレームワークとして標榜されています。これを実現するには、ITエンジニアではないビジネスサイドの人々にも、アジャイルをきちんと理解してもらう必要があります。

私の経験によれば、日本のエンタープライズITにおいてアジャイルがうまくいかない理由の多くは、開発チーム内ではなく、ビジネスサイドとの連携が不十分な点にあります。スクラムでは、ビジネスサイドは開発プロセスの傍観者ではなく、開発プロセスの中に織り込まれる存在です。ビジネスサイドが、適切なタイミングと大きさでやるべきことを決めなければ、アジャイルは機能しません

もちろん、アジャイルの思想や文化は重要です。ただ、それを言葉で説明だけでビジネスサイドに理解してもらうことは非常に困難です。なので、私は、まずはプロセスに従って実践し、その過程を通じて、アジャイルの思想や文化を体験的に学ぶしかない、という立場です。

電車の例は、DXに取り組むチームがスクラムの仕組みを理解し、また、スクラムが自社においてうまく機能しない理由を考えるのに良いたとえであると自負しています。特に、電車に乗る乗客を持ち込んでくるビジネスサイドの責任について明確に説明できる点が特徴的だと思っています。書籍の後半には、部門を超えて議論するためのワークショップの組み立ても記載してあります。

もうちょっと、ツッコんで書くと、日本のエンタープライズITにおいて、アジャイルの導入で思想や文化を第一義に説くのは悪手だと思っています。「変化を歓迎し、価値を最大化すること」には全く異論がないし、そうあるべきですが、大企業はベンチャーと異なり、現状の安定した事業が主流です。もちろん、「(今までよりは)変化を歓迎する」必要があるのですが、思想や文化だけが先走りすると「変化することが良いことだ。安定していることは悪いことだ」となってしまうケースがあります。

実際、アジャイルの思想や文化に感化された人々(いわゆる、アジャイル信者)が、既存ビジネスを安定的に推進している人々を批判しながら、ビジネス価値につながらないプロダクトを作っているといった事例を目をしたことがあります。こうなってしまうと既存組織と新組織が対立してしまい、せっかくの変化が全社に行き届かくなってしまいます。新組織においてアジャイルの思想や文化が実現されていたとしても、本業とは分断され、大したビジネス成果もあげられない「孤島の楽園」なら、なんの意味があるのでしょうか

そんなわけで「思想の説明が不足している」というよりも「いかに思想の説明をしないで、背後の原則(仕組み)を理解してもらうか」を努力しています。僕は「アジャイルソフトウェア開発宣言」よりも「アジャイル宣言の背後にある原則」の方が重要だと思っているのですが、電車の例は、この原則の中のいくつかの項目を理解してもらうために作られています。

まとめ

過去から、僕のアジャイルに対する意見は、なぜだかで一部で波紋を生みやすいのですが「アジャイルを利用してビジネス価値を上げる」という大前提は揺いでいないつもりです。技術を目的化せず、正しく手段として活用して欲しいと思うばかりです。

引き続き、Amazonの書評をお待ちしております!