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アクアリウム水槽(熱帯魚・金魚・水草)のおすすめと選び方

2015/02/05

ネイチャーアクアリウムのような美しい水草水槽や、熱帯魚・亀・金魚などの飼育を始めるときには当然ながら水槽が必要になります。しかし初めてアクアリウムを始めるときには当然ながら知識がないので、どんな製品を選んだら良いか分からないと思います。今回はそんな初心者の方向けに水槽の選び方を紹介します。

もちろん中級者以上の方にも役立つように、水槽選びで特に気を付ける点やおすすめ製品なども紹介します。買い替えや追加購入を検討中の方もぜひ参考にしてくださいね。

水槽購入の心構え

今水槽を購入しようとしているあなたは、他にも色々な製品の購入を検討しているはずです。ろ過フィルターや照明、ソイル、水草、熱帯魚など、アクアリウムには色々な飼育用品が必要だと気付いていると思います。

アクアリウムではどうしてもある程度の初期投資が必要になるので、購入予定品の一覧を見ながら合計金額を計算して、「うわ…結構高いなあ…」と思っているかもしれません。予算オーバーの場合はどこかで妥協しないといけないわけですが、私からは水槽は妥協するべきではない!と言わせてもらいます。

一番重要なアクアリウム用品は「水槽」

なぜかと言うと、水槽こそが一番長く使用するアクアリウム用品だからです。この趣味にハマっていると、水槽が増えることはあっても減ることってなかなか無いですからね(笑)。新しい水槽を買っても、それまで使っていた古い水槽はたたまずに別の熱帯魚や金魚などの生体を飼育するようになります。

今日から始めたい!アクアリウム・熱帯魚飼育の魅力12選

アクアリスト歴3年のK-kiがアクアリウムの魅力を12のポイントから解説します。アクアリウムに興味がある、始めたいけど迷っている人はぜひ読んでアクアリウムの魅力を知って下さい。アクアリウムが向いている人や問題点も紹介します。

そうやって長く水槽と付き合っていると、どうしても最初に妥協した点が気になってきます。後から我慢できなくなって買い替えてしまうよりは、最初に多少高いと感じても納得できる製品を買っておいたほうが安くつきます。なるべく妥協せず、「安物買いの銭失い」を避ける方向の選び方がおすすめです。

自分の目指すアクアリウムに適した水槽を選ぼう

一口にアクアリウムと言っても、実はその種類は様々です。水草で彩られた美しい水景を目指す「ネイチャーアクアリウム」があれば、巨大で風格のある魚を美しく育てることを目指した「大型魚・古代魚飼育」など、アクアリウムの種類によって目標も異なります。

アクアリウムの種類まとめ-水草水槽からアロワナやビオトープまで

アクアリウムには実は様々な種類があります。ネイチャーアクアリウムのようなレイアウトに拘る水草水槽、アロワナなど大型魚の飼育水槽、淡水水槽や海水水槽、大型水槽、小型水槽など様々です。そんなアクアリウムの種類をまとめます。

水槽選びの際には、自分がどんなアクアリウムを作りたいと思っていて、そのためにはどんな水槽が必要なのか、という視点で考えるようにしましょう。実現したいアクアリウムの種類によって、ふさわしい製品も変わってくるからです。

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水槽のサイズ

水槽の選び方のポイントとして、まずはサイズについて説明します。水槽の大きさや形状はメーカー間である程度共通しており、「規格水槽」「キューブ水槽」「スリム水槽」などの言葉を用いて表現されます。アクアリウムでは良くでてくる言葉なので、これらについては知っておいた方が何かと便利です。

また、サイズの中でも横幅は特に重要です。何故かと言うと、横幅の一致する水槽同士では照明器具やろ過装置などのアクアリウム用品を使いまわせる場合が多いからです。ではまず規格水槽から説明していきます。

規格水槽

日本では「規格水槽」と呼ばれる、標準的な縦・横・高さの組み合わせが決まっています。この規格に則った水槽は横幅を先頭に付けて、「60cm規格水槽」というように呼ばれます。以下にそれぞれの、横幅×奥行き×高さのサイズと水量をまとめます。

30cm規格水槽 300(mm)×180(mm)×240(mm)、約13リットル
45cm規格水槽 450(mm)×240(mm)×300(mm)、約32リットル
60cm規格水槽 600(mm)×300(mm)×360(mm)、約65リットル
90cm規格水槽 900(mm)×450(mm)×450(mm)、約182リットル
120cm規格水槽 1200(mm)×450(mm)×450(mm)、約243リットル
180cm規格水槽 1800(mm)×600(mm)×600(mm)、約648リットル

中でも60cm規格水槽はアクアリウムの王道ともいえるサイズです。様々なサイズの中でも最もスタンダードなため、ろ過フィルターや照明などの飼育用品も適合サイズの製品が充実している上に安価です。また、サイズの基準にもなっており、60cmよりも小さな水槽は小型水槽、大きなものは大型水槽と呼んだりもします。横幅150cmの水槽も一般的ですが、規格水槽のサイズがはっきりしなかったのでここでは省きました。

規格水槽のサイズは、横幅60cmまでは黄金比に近い値になっています。黄金比とは2つの線が最も美しく見える比のことで、様々なデザインに利用されています。例えば名刺も長辺と短辺の比が黄金比になっています。ちなみに黄金比はおおよそ1:1.618という値になります。

60cm規格水槽の高さと横幅の比は約1:1.67ですし、30cm水槽の奥行きと横幅の比も同じ値です。45cm水槽の高さ:横幅比は1.5なのでちょっと外れますが、まあそこそこ近いと言えます。60cm以上の場合には、横幅に応じた高さにすると水深が深くなってしまい、メンテナンス性を損ねるのもあって黄金比からは離れていくようです。

キューブ水槽

キューブ水槽は、縦・横・高さが全て同じ立方体になった水槽です。例えば30cmキューブなら、横幅×奥行き×高さのサイズは300(mm)×300(mm)×300(mm)となります。立方体は英語で”cube”(キューブ)なのでキューブ水槽と呼ばれます。代表的なサイズは以下のとおりです。

  • 20cmキューブ水槽
  • 25cmキューブ水槽
  • 27cmキューブ水槽
  • 30cmキューブ水槽
  • 45cmキューブ水槽

立方体の形状がオシャレに見えるため、特に小型水槽で近年人気が上昇中です。このタイプの中では、30cmキューブ水槽が一番スタンダードなサイズだと言えるでしょう。同じ横幅の規格水槽に比べると水量が多くなり水質が安定しやすいのがメリットですが、立方体という形状は水槽自体はオシャレに見えても、中のレイアウトを美しくまとめるのが難しいという難点もあります。

スリム水槽

スリム水槽はメーカー間であまりサイズが統一されていませんが、基本的には規格水槽の奥行き・高さを少し短くした製品です。大きな水槽は迫力がありますが、場所も取りますし重さによっては床の補強も必要です。スリム水槽では横幅をなるべく大きくして迫力を出しつつ、奥行き・高さを短くして場所や重量の問題を解決しようと試みています。

以下にサイズ例を紹介します。

45cmスリム水槽 450(mm)×200(mm)×220(mm)、約20リットル
60cmスリム水槽 600(mm)×200(mm)×260(mm)、約31リットル
90cmスリム水槽 900(mm)×300(mm)×360(mm)、約97リットル
120cmスリム水槽 1200(mm)×300(mm)×400(mm)、約144リットル

コンセプトとしては良いと思うのですが、実際には「90cmスリム水槽が置けるなら90cm規格水槽も置ける」という、長所を活かしきれていないシチュエーションが多いです。また、スリム水槽では物足りなくなって規格水槽が欲しくなったという話も良く聞きます。結局、壁に埋め込む場合など薄型が必須になる場合以外は、あまり活躍しない印象です…。

らんちゅう水槽

らんちゅう水槽は、規格水槽の高さを短くした浅型の製品です。金魚の一品種「らんちゅう」が、浅めの水深で飼育するのが良いとされているのに由来します。45cmや60cm水槽では、規格水槽の高さが23cmまたは26cmになったのがらんちゅう水槽として販売されています。90cm以上のサイズの水槽では、高さは30cm程度にしてある場合がほとんどのようです。

らんちゅうの飼育以外に、メダカの飼育なんかでも使っている人がいるようです。カメにおすすめされることもありますが、個人的には水量が稼げずろ過も効かせにくいのであまり推奨しません。熱帯魚や水草をメインにした通常のアクアリウムよりも、テラリウムやアクアテラリウムなど、より水上部分に目が行きやすいレイアウトでは使いやすいかもしれませんね。

その他のサイズ

水槽のサイズはここで紹介したものだけでなく、本当に色々なサイズが存在します。また、オーダーメイドで任意のサイズの水槽を作ってくれる業者もいるので、お金がある人はそういった選択肢も持てます。以下では上で紹介したサイズではないものの、認知度が高い製品をいくつか紹介します。

テトラ GA-60T

60cm規格水槽とほとんど同じサイズですが、高さが4cmだけ高いです。たった4cmと思うかもしれませんが、水草水槽のレイアウトが上手な人にはこのGA-60Tを使っている人が多くいます。理由は人それぞれかもしれませんが、個人的にはこの僅かな高さの違いでより黄金比に近づけられるのがポイントではないかと思っています。

高さ36cmの60cm規格水槽では、黄金比になるにはちょっとだけ高さが足りないんです。しかし高さ40cmにすると黄金比よりも3cm程度余裕ができ、水を張ると水中部分がちょうど黄金比くらいになります。こういった点が水草レイアウトの上手い人達の感性にあっているのではないかと推測しています(笑)。

60×45×45水槽

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60cm規格水槽の高さと奥行きを大きくしたサイズで、60cmワイド水槽とも呼ばれます。90cm規格水槽の横幅を3分の2にした形ですね。60cm規格水槽と比べて水量がかなり多くなり、水質が安定しやすい点が長所です。60cmでは物足りないけど90cmは大きすぎる…というような人が好んで使用しています。

ハイタイプ キューブ水槽

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キューブ水槽を縦に伸ばしたもので、水槽の中では珍しく縦長の形をしています。ピッタリサイズのスリムな水槽台と組み合わせると、かなりオシャレな雰囲気を出してくれます。

水槽サイズと扱いやすさ

水槽のサイズは見た目の迫力や用品の適合性だけでなく、その扱いやすさにも影響します。以下では、アクアリウムを管理する上で重要な要素で、かつ水槽のサイズに影響を受けやすいものを紹介します。

重量

当然ながら水槽が大きくなるとその重量も重くなります。60cm規格水槽なら10kgですが、90cm規格水槽ともなると水槽の重量だけで30~40kgになります。さらに、大きな水槽は手で掴みにくいので、ネット通販で届いた水槽を設置場所まで動かすだけでも一苦労です。

水槽設置後には中に水を入れるわけですが、水は1リットルで1kgの重量です。つまり、60cm水槽でも満水にすると水だけで60kg以上の重量があり、水換えも大変です。また、内部にはさらに石や砂利を入れていくわけですから、総重量はかなり重くなります。これは設置場所の選定にも響いてくるので、よく検討しておくようにしましょう。

水質安定性

大きな水槽は水量が多く重くなってしまいますが、その反面水質が安定しやすいのが長所です。例えば水温にしても、コップ一杯のお湯はすぐに冷めてしまいますが、風呂桶に一杯のお湯はなかなか冷めません。それと同じく、水が多少汚れたりしても、水量が多ければ熱帯魚、金魚や水草にダメージが及びにくいのです。

水槽の設置場所

水槽の設置場所にも、適不適があります。一度設置すると移動は難しいので、以下のポイントを参考にして慎重に設置場所を決めてください。

重量に耐えられるか

ガラス水槽の場合、大きくなると水槽だけでも数十kgになり、さらに中には水が入ります。水は1リットル1kgなので、120cmだと水槽と水だけで250kg以上の重量です。そこからさらに石、砂利、水槽台などで重量が増していき、総重量は300kg近くになるでしょう。

この重量をしっかり支えるため、水槽はかなり小型のものを除き必ず専用の水槽台の上に置きます。水槽台をおく場所についても、水平のとれた強度のある床を選び、畳の上などには絶対に置いてはいけません。

これらを怠ると水槽が歪んだり、水漏れをしたりする原因になります。120cm以上の水槽を設置する場合には床の強度が不足する場合もあるので、床の補強工事を行うことが多いです。詳しい方法は、水槽台について解説している以下のページを参考にしてください。

水槽台の選び方・おすすめ製品!デザインの種類と強度計算法

水を入れた水槽はとても重くなるため、水槽を支える水槽台や床には十分な強度(耐荷重)が必要です。また、デザインや機能性、サイズも重要です。アクアリウムを安全に楽しむために大切な水槽台の選び方と、おすすめ製品を紹介します。

設置当初は大丈夫でも、長期的に負荷が蓄積していき、ある日突然水槽が割れたり水漏れしたりする場合もあります。中には大量の水が入っているので、事故が起こると大惨事になるのは確実です。特に大型水槽を設置するときは、設置前に十分に場所を吟味してください。

電源は確保できるか

ろ過フィルター、照明、ヒーター、クーラーなど、熱帯魚や水草の飼育には様々なアクアリウム用品を使用しますが、それらを動かすためには当然電気が必要です。設置場所がコンセントから遠すぎると、非常に不便です。

しかしコンセントの近くに設置し過ぎると、今度は水漏れ時の漏電が心配です。そのため、コンセントから少し離れた場所に、電源タップを使用して電気を引っ張ってくる方法をおすすめします。

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このとき使用する電源タップは、水漏れに強いものを選ぶとより安心です。個人的には、パナソニックのザ・タップXが、水やホコリに強くアクアリウムには最適の電源タップだと思っています。

観賞・メンテナンスしやすいか

アクアリウムの目的は観賞なので、人が見やすい場所に置くのが大切です。同じように、メンテナンスのしやすさも考慮しておくべきでしょう。基本的には週に1回くらいは水換えが必要なので、その時に作業がやりにくいとかなりストレスになります。

また、美しくレイアウトできたアクアリウムは人に見せたくなるものなので、写真を撮ることも少なくないと思います。水景全体を撮影しやすいような場所へ設置するとなお良いでしょう。

近くに蛇口があるか

水景を維持し、熱帯魚や金魚を状態よく飼育するには定期的な水換えが欠かせません。そのために水を汲んできたり捨てたりするので、水道の蛇口や水を捨てられる場所に近いのが理想です。

水槽の素材

水槽はガラスで出来た「ガラス水槽」と、アクリルで出来た「アクリル水槽」に大別できます。その他にもFRP水槽というものもありますが、これはやや特殊な場合に使用されます。また、見栄えを気にしない濾過槽については「塩ビ」で作られる場合もあります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

ガラス

ガラスは水槽の素材の中では最も一般的で、多くの製品に利用されています。ガラスの特徴をまとめると以下のようになります。

  • 硬くて傷がつきにくい
  • 衝撃に弱く割れやすい
  • 透明度はまあまあ(高透明度ガラスもある)
  • 重い
  • 透明度が経年変化しない
  • 120cmくらいまではアクリルより安い

透明度についてはガラスの質や厚さに左右されますが、基本的にはアクリルよりは低いです。しかし、一部の高級な製品では高品質なクリアガラスを使用することで、アクリルに近い透明度を実現した製品もあります。ガラス同士を接着するにはシリコンでのシーリングが必要になり、どうしても接合面が目立ちやすいです。

ADAのキューブガーデンスペリアは、特殊な耐熱ガラスを高温で溶かして接合することによりこの接合面を目立たなくした高級品です。透明度には目を見張るものがありますが、それ以上に値段には目玉が飛び出そうになります(60cmで25万円)。

普通に使用している限り割れることはないですが、大型魚などが力一杯ぶつかると割れる場合もゼロではないので注意が必要です。120cm以下の水槽ではアクリルよりも断然安いので主流となっていますが、150cmくらいの大きさになると値段が逆転してアクリル製品よりもかなり高くなります。

アクリル

アクリルは透明度と耐衝撃性に長けた素材で、軽さと大型時の安価さから、150cm以上の大型水槽でよく使用されます。アクリル水槽の特徴をまとめると以下のようになります。

  • 傷がつきやすい
  • 衝撃に強く割れにくい
  • ガラスよりも透明度が高い
  • 軽い
  • 透明度は経年劣化する
  • 150cm以上の水槽ではガラスより安い
  • 燃える

傷がつきやすいとよく言われますが、丁寧に使用していればそんなに傷はつきません(もちろんガラスよりは傷つきやすいですが)。しかしコケ取り生体としてよく利用されるプレコは、その強力な歯でアクリルを齧り傷をつけてしまうことがあるので注意が必要です。

アクリルの接着方法には、化学反応を用いて硬化させる「重合接着」と、溶剤によって溶かしてくっつける「溶剤接着」の2種類があります。どちらもガラス水槽のシリコンのように目立ったりはしないので、アクリル水槽の接着面はガラスに比べると綺麗です。これら2つの接着方法のうち、重合接着の方が強度が強いので、アクリル水槽購入の際には接着方法も気にかけてみると良いでしょう。

また、アクリルはガラスと異なり可燃性の素材なので、もしヒーターの事故などで出火した場合に火力が増す原因になるかもしれません。まあ出火している時点で既にかなりヤバイので、この点は別に気にする必要はないと思いますが…。

FRP(繊維強化プラスチック)

FRPとは繊維強化プラスチックを指し、耐久性・耐蝕性・保温性優れさらに軽い素材です。また、毒性もない安全な素材です。しかし大きな欠点として、透明度が低い、もとい不透明なので、内部は上からしか見えないという弱点があります。そのような欠点を補うため、アクリルやガラスで窓をつけた窓付きFRP水槽という製品も存在します。

素材としては性能が高いのですが、やはりガラスやアクリルのフレームレス水槽と比べると見栄えではかなり劣りるので、通常の熱帯魚飼育や水草水槽では利用しません。また、恐らくコスト的な問題から小型の水槽にはあまり利用されず、大型魚飼育や濾過槽などに用いられることが多い素材です。

塩化ビニール(塩ビ)

塩化ビニールは水槽の素材としてはほとんど使われませんが、屋外で鯉や亀を飼育する際に使われる「ひょうたん池」や、濾過槽などの材料に利用されます。塩ビは透明度が低いので、観賞目的の水槽としての利用にはあまり適しません。

また、塩ビ板どうしを強力に接着するのが難しく、大型の容器の作成にも向きません。ごく限られた用途でのみ、使われる可能性があるという程度の認識で良いでしょう。

水槽のデザイン・形状

次は水槽のデザインについて説明します。大きな区別では、水槽のフレーム(枠)の有無と、曲げガラスか板ガラスかの違いがポイントになります。ろ過フィルターなどが水槽自体に組み込まれた一体型水槽という製品も存在します。

フレームレス水槽

縁にフレームが無いタイプの水槽で、水中を切り取ったようなスタイリッシュな景観になるのが特徴です。アクアリウムはインテリアでもあるので、枠ありより見栄えの良いフレームレスタイプが主流です。アクリル水槽は接着法がガラスと違うので、ほとんどがフレームレス水槽になります。

枠がない分強度に劣るように思えますが、枠あり水槽よりも厚いガラス板を使い接着力を強くして補っています。その分ガラスの透明度は枠あり水槽よりも多少劣る傾向にあります。水槽の底面には接地用の特別な加工は施されないので、水槽用マットなどを下に敷いて使用しましょう。

枠あり水槽

角部分に枠が付いているタイプの水槽です。どうしても枠が目立つためフレームレス水槽よりもデザイン的には劣ります。ただしガラス厚は薄いので、ガラスの透明度だけで言えば枠ありタイプのほうが高いです。価格については、枠あり水槽の方がフレームレス水槽よりも安い場合がほとんどです。

枠あり水槽の長所をまとめると、以下のような点が挙げられます。

  • 価格が安い
  • ガラスが薄く透明度が高い
  • 上部フィルターが使用できる
  • 強度が高い
  • 地震などがあっても水がこぼれにくい

長所は多いのですが、やはりデザイン性は重要な要素なので、K-kiとしてはフレームレス水槽をおすすめします。私の90cm水槽は安さ重視で枠あり水槽にしましたが、後々「フレームレスにしておけば良かった…」と思ってしまいました。アクアリウムをやる上でどうしても美観は重要になってくるので、余程の理由がなければフレームレス水槽の購入をおすすめします。

曲げガラス水槽

前面の角部分が曲げガラスになっているタイプの水槽です。前面にシリコンの接合面が無いため内部を綺麗に見せてくれます。この水槽が登場した時はかなり画期的で、非常に人気が出たそうです。

現在でも曲げガラス水槽を愛用している方はいますが、主流は板ガラスをシリコンで接合した角のある水槽です。曲げガラス水槽では角の部分が歪んで見えるので、正面からアクアリウムの写真を撮影したときに、端の部分が歪み不自然な写真となってしまうのが敬遠される理由とも言われています。また近年ではシリコンの透明度が向上し、接合部があまり目立たなくなってきたのも一因だと思います。

板ガラスと曲げガラスは好みによる部分もあるので、店頭で一度確認してみると良いでしょう。

一体型水槽

ろ過フィルターや照明などと一体になった水槽は、可愛く見えるかもしれませんがおすすめできません。フィルターや照明の変更ができないため汎用性に欠け、長くは使えないでしょう。デザイン的にもアクアリウム歴が長くなるほどシンプルな水槽を好む傾向にあるので、すぐに飽きが来てしまう恐れがあります。

オーバーフロー水槽

オーバーフロー水槽は、なんと底に穴があいている水槽です。穴の部分にパイプを立てて、下に設置する独立したろ過槽とポンプで水を循環させる、ろ過フィルターまで含めたシステムを指します。かなり大掛かりなシステムになり、水槽以外にも濾過槽やポンプなど色々な飼育用品が必要になります。

ここでは詳しい説明は省きますが、ハッキリ言って上級者向けのシステムです。海水魚飼育では一般的ですが、初めて淡水魚飼育用の水槽を買う場合にこの水槽を選ぶことはあまりないでしょう。もしこのタイプの水槽を購入するのなら、よく勉強してからにしてください。

水槽の品質

水槽を選ぶ際にはその品質も重要な要素です。この項目では、どのような点に着目して水槽の品質を見定めれば良いか説明していきます。

透明度・接合面

透明度は水槽選びにはかなり重要な要素です。ガラス・アクリルなど素材の種類や、板厚によって透明度は変化します。また、ガラス同士の接合面では、シリコンの種類・厚みによって見栄えが変わってきます。

例えば、シリコンに気泡が入っていると強度的に弱くなりますし、見栄えも悪いです。アクリルの接合面でも接着が下手だと気泡が入っている場合があります。

一般的に水槽が大きいほどガラスの厚みは増して透明度は下がっていきます。また、ガラス同士のシリコンによる接着は職人の手作業で行われる場合が多く、製品の一つ一つで異なります。気になる場合は店頭で確認するほうが良いでしょう。

透明度が高いと水槽は美しく見えて写真映りも良くなります。かといって、ひと目で分かるほどの違いではなく、2つ並べて比べると違いがわかる程度です。透明度を追い求めだすと値段も際限なく上がっていくので、ある程度妥協しても問題ないポイントとも言えます。

接合面については、シリコンの厚みが一定でなかったり、ガラスがずれていたりするものは避けます。シリコンが薄いほうが好みの人は多く、確かにそのほうが綺麗ですが、厚いシリコンのほうが安心感があると感じる人もいるので、現物を見て自分の気に入る厚みを探してみると良いかもしれません。

強度

上の方にも書きましたが、水槽は万一事故が起こると大惨事になってしまいます。それを避けるためにも強度は重要な要素です。

水槽ごとの強度を比較するのはなかなか難しいのですが、主に以下の要素によって強度が変化します。

  • フレームの有無
  • ガラスの厚み
  • シリコンの量

つまり、見栄えの良い水槽ほど強度が低い傾向にあるんですね。その面では、思い切ってアクリル水槽を使っておけばかなり安心できます。まあ実際のところ強度不足が問題になることは少ないので、あまり気にしないのもひとつの手です。

ブラックシリコン アクロ60N(60×30×36cm)

どうしても強度が気になる方は、枠あり水槽でも普通の製品よりはスタイリッシュな「ステンレスフレーム水槽」を購入したり、強度的に優れるシリコンである「ブラックシリコン」が使われた水槽を購入したりするのが良いと思います。こういった製品なら、好みによっては普通のフレームレス水槽よりもカッコいいと感じる人もいるでしょう。

信頼性

水槽がどれだけ質の良い作りになっているか、水漏れしたりしないか、というような信頼性は目で見てもなかなか分かりません。結局、メーカーの評判で判断する場合がほとんどだと思います。ある程度名前の通ったメーカーの製品には、それなりの信頼が置けるというものでしょう。

そこで、次は水槽を作っているメーカーを紹介していきます。

水槽メーカー

ADA(アクアデザインアマノ)

メーカーADA – アクアデザインアマノ

ADAは写真家の天野尚氏が創立したアクアリウムメーカーです。ネイチャーアクアリウムを提唱し、この業界を牽引している会社でもあります。ただのメーカーというよりはブランドじみた側面も持っていて、製品にはガラス製でデザインの美しいものが多いですが全体的に高めの値段設定です。

ガラス製品を得意としているため、水槽は他社と比べて高品質です。透明度が高い高品質クリアガラスを使い、シリコンはかなり薄めに盛られたフレームレス水槽「キューブガーデン」シリーズは、多くのアクアリストが愛用しています。

プレコ

メーカーオリジナル水槽デザイン・製造|株式会社プレココーポレーション

プレコは高品質なガラス水槽に特化したアクアリウムメーカーです。他の会社が水槽だけでなくろ過フィルターや照明などいろいろな商品を扱うのに対し、プレコは水槽と水槽台に特化しています。その品質は高く評価されていて、「グラシア」シリーズはADAのキューブガーデンと並ぶ品質と言われています。

ADAは会社の方針として通信販売を行っていませんが、プレコの製品はネット通販でも入手可能です。住んでいる場所によっては、ADAのキューブガーデンよりもプレコのGLASIAの方が入手しやすい方は多いと思います。

コトブキ

メーカー生活ロマンを創造する│コトブキ工芸

水槽メーカーではADAとプレコが品質(透明度)でも値段でも頭ひとつ抜けていますが、その他のメーカーにはあまり大きな差がありません。そこそこの品質の水槽をそこそこの値段で販売している、まさにそんな印象です。

その「そこそこ」なメーカーの中から敢えておすすめを選ぶとすれば、私はコトブキを推します。シリコンが厚めに盛られているのが嫌いな方もいるかもしれませんが、その分強度的に優れています。またシリコンでのシーリングが基本的にロボットで行われているため、厚みは均一です。ガラスの質感も個人的には悪く無いと思います。私も亀用の90cm水槽はコトブキ製品を使用しています。

まあその他のメーカーと大きな差はないと思うんですが、迷ったらコトブキにしてみてもいいんじゃないでしょうか。

その他のメーカー

ここで紹介した以外にも、ニッソー、GEX、テトラ、エーハイムなどはコトブキと同程度の「そこそこ」の水槽メーカーで、信頼に足る製品を作っています。またアクアリウム関連のネット通販大手のチャームも、自前の水槽である「アクロ」シリーズを販売しています。

ここまでに紹介したメーカー製の水槽なら、特に問題なく使用できると思います。あとは予算や好みなどのによってメーカーを選定して下さい。

水槽の価格

ここまでに書いた内容の反復になりますが、サイズが大きく品質(透明度など)の高い水槽は当然ながら高価になります。また、枠あり水槽よりもフレームレス水槽の方が高価なので、水槽のデザインも価格に影響するといえるでしょう。

素材については、120cm水槽くらいまではガラス製のほうがアクリル製よりも安価ですが、それ以上の大きさになるとアクリル製の方がかなり安くなります。またオーバーフロー水槽など加工が施されているものも高くなります。

妥協できる部分・できない部分を考えて、自分の納得の行く水槽をなるべく安く購入してくださいね。

おすすめの水槽と選び方

では最後に、対象や目的別におすすめの水槽を紹介しておきます。水槽選びに困ったときには参考にしてみてください。

初心者向けの水槽

初心者は、スタンダードで管理がしやすく、今後水槽を増やしたとしてもサブで使えるような水槽を選ぶのが良いでしょう。そこで、60cm規格水槽と30cmキューブ水槽をおすすめします。

60cm規格水槽

60cm水槽は、必要十分な水量は確保されているため管理がしやすく、スタンダードなサイズなので用品も充実しています。オールマイティに活躍してくれるので、一本は持っていて損はないでしょう。最初は大きく感じるかもしれませんが、本格的な水草レイアウトをしようとすると、これくらいのサイズがないと見栄えの良いレイアウトを作るのは難しいです。

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コトブキのレグラスフラットは値段も高くなく、価格に見合った品質でおすすめの水槽です。

30cmキューブ水槽

60cm水槽は大きすぎて嫌だ、と感じる人には30cmキューブ水槽をおすすめします。仮にアクアリウムにハマってもっと大きな水槽が欲しくなっても、30cmキューブ水槽は水草のストックやトリートメントなど何かしら使い道があるので、役に立たないことはないでしょう。

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30cmキューブ水槽も同じくコトブキから、クリスタルキューブ 300をオススメします。ネット通販大手のcharmでは、大体2000円以下とこのサイズの水槽ではかなり安めの価格で販売されています。安いのも大きな魅力ですね。

透明度が高い水槽

アクアリウムを趣味にしているとだんだん水槽の透明度が気にかかってくる人も多いです。ここでは透明度が高いと評判の水槽を紹介します。ただし、透明度を追い求め続けると際限なくお金がかかるので、ある程度で妥協しましょうね…(笑)。

キューブガーデン

参考キューブガーデン | ADA – PRODUCT – 水槽関連用品

水槽の透明度といえばやっぱりADAですね。ADAのキューブガーデンはやや高めの価格設定ですが、それだけの価値がある満足感の高い製品です。透明な水槽にうっすらと見えるADAのロゴに興奮する人もいるとかいないとか…。ADAは基本的に通販を行っていないので、購入の際は近くのADA販売特約店で購入してください。販売特約店は以下のリンク先で探せます。

参考ADA – SHOP – 販売特約店をさがす

透明度を純粋に追い求めるなら、同じくADA製の「キューブガーデンスぺリア」の方が高透明度ですが、あまりにも金額が高いのでここでは除外しました。

アクリル水槽

透明度を重視するのであれば、ガラスではなくアクリル製の水槽を使用するのも一つの方法です。

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アズワン(As One)
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Amazon経由で水槽屋.comが販売しているこちらの水槽は、60cmで2万円程度とガラス水槽に比べてかなり高いですが、アクリル水槽の中では安い方です。150cm以上の大型水槽ではガラス製よりもアクリル製の方が安くなりますが、60cm水槽だとこれくらいの差があります。購入予定のサイズとも照らし合わせて、差額分の価値があると思う場合にはアクリル製を購入するのも一つの方法です。

大型魚や亀などの生体飼育重視の水槽

大型魚や亀などはよく食べてよく糞をするため、水をかなり汚しやすいです。かといって、大型魚を飼育できるだけの大きな水槽の水換えを頻繁に行うのは簡単ではありません。そこで高い濾過能力を実現できる水槽システムを使用する必要があります。このような場合におすすめできるのは、オーバーフロー水槽です。

オーバーフロー水槽

オーバーフロー水槽は、水槽に穴をあけてパイプを接続し、水槽の下に設置する独立したろ過槽と水を循環させる、ろ過フィルターまで含めた水槽システムのため、購入時には水槽だけでなく濾過槽、ポンプ、配管用の塩ビ管、ウールボックスなど様々な飼育用品が必要になります。

レッドシー REEFER 170 ブラック オーバーフロー水槽

必要な飼育用品一式がセットになっている製品を購入すると、10万円くらいかかることも珍しくありません。また購入後も組み立てなどの作業が必要です。かなり情熱を持ってアクアリウムに取り組んでいる人でないと、なかなか手が出せないかもしれませんね…。ちなみに飼育セットを購入する場合は、東日本と西日本の電機の周波数の違い(50Hz・60Hz)に注意してください。


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前回の濾過槽の自作に引き続き、ウールボックスの自作方法を解説します。ウールボックスは物理濾過によって水が汚れるのを防ぐオーバーフロー濾過システムでも重要なものです。メンテナンス性向上のため引き出しタイプを自作しました。


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オーバーフロー水槽を自作!水槽に給排水用の穴をあける方法を解説

オーバーフロー水槽自作のためにガラス水槽へ穴をあける方法を紹介します。オーバーフローはろ過能力が高くアクアリウムで人気のシステムです。ダイヤモンドコアドリルでの穴のあけ方はもちろん、穴のサイズや位置の決め方も解説します。

オーバーフロー水槽は高すぎてさすがに買えない!という人は、自作してしまうというのも一つの方法です。手間はかかりますが、自分の要求にピッタリの性能の水槽をかなり安く手に入れられるので、一考の余地はありますよ。このブログでもオーバーフロー水槽の自作についての記事がいくつかあるので、そちらも参考にして下さいね。

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長文記事になってしまいましたが、水槽を選ぶ際のポイントや選び方、おすすめの製品などを紹介しました。シンプルなテーマのようで、詳しく書くとこれだけのボリュームになるんですね。たくさんの水槽から満足できる製品を選ぶのは大変かもしれませんが、楽しい作業でもあります。じっくり吟味して、納得のいく水槽を選んでください。

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K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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