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オーバーフロー水槽を自作!水槽に給排水用の穴をあける方法を解説

2019/09/01

オーバーフロー水槽を自作!水槽に給排水用の穴をあける方法を解説

4~5年ぶりに新規水槽を立ち上げることにしました、K-ki(K-ki@AquaTurtlium)です。久しぶりの立ち上げなのでワクワクが止まりません!!!

今回立ち上げる水槽はオーバーフロー水槽にします。それも、以前のようなダブルサイフォン式オーバーフローではなく、水槽に穴をあけるガチのオーバーフロー水槽です!

既製品を購入することも考えましたが、既製品にはない仕様で調整したい部分が多かったので、水槽周りはほぼ自作することにしました。そんなこんなで今回は、手始めかつ最大の関門である「水槽の穴あけ」の方法を紹介します!

今回のオーバーフロー水槽自作に関連するページはこちらの連載にまとめていきます。順次記事を追加していくので、ぜひ関連ページも読んでみてください!

まずはオーバーフロー水槽の仕様を決めよう

オーバーフロー水槽を知らない人はあまりいないと思いますが、一応軽く説明しておきましょう。

オーバーフロー水槽の大まかな仕組み

オーバーフロー水槽とは、水槽の下にろ過槽を設置し、水槽とろ過槽の間で水を循環させる水槽システムのことです。ろ過槽から水槽へポンプで水を汲み上げ、水槽にあけた穴に立てたパイプの高さを超えた分の水がろ過槽へ溢れ落ちる(オーバーフローする)仕組みです。

今回は、このろ過槽へ水を落とすための穴をあけます。この穴の位置・大きさを決めるためには、以下の仕様を決定する必要があります。

給排水管の設置方法

オーバーフロー水槽の肝となるのが給水・排水を行う配管です。この配管にはいくつかのタイプがあるので、まずはどのタイプにするか決める必要があります。

三重管

パイプを三重に重ねて設置する、上の商品のようなタイプの配管です。内側から「給水管」「排水管」「外管」と呼ばれます。それぞれの役割は以下の通りです。

給水管

ろ過槽の水をポンプを使って水槽内へ給水するためのパイプです。

排水管

水槽の水をろ過槽へ落とすためのパイプです。水槽の穴はこのパイプの外径に合わせてあけることになります。

外管

排水管の外側にかぶせるパイプで、上と下にスリットを入れるのが一般的です。スリットから吸い込んだ水が排水管によりろ過槽へ排水されます。外管なしの場合は水面付近の水しか排水できませんが、外管を使うことで底面付近の水も排水できるようになります。

このタイプの配管ではパイプを三重にしているため、場所を取らずコンパクトに設置できます。オーバーフロー管による見た目の圧迫感が少なく、インテリア性の高い配管です。海水魚の飼育(マリンアクアリウム)ではおそらく一番メジャーな配管方法です。

二重管+コーナーカバー

三重管の一番外側のパイプ(外管)を、コーナーカバーに替えた上の商品のようなタイプです。コーナーカバーで配管を守れるため、力の強い大型魚や水棲爬虫類の飼育で採用されることが多いです。

コーナーカバーは黒の塩ビ板などで作られることが多く、透明パイプの三重管と比べて存在感はあるものの汚れが目立ちにくいのも長所です。

一重管

排水と給水のためにそれぞれ別の穴をあけるタイプの配管です。2つ穴をあけなければいけませんが、それぞれの穴は小さくて済みます。また、二重管や三重管で必要になる特殊なパイプ(ピストルパイプ)が不要です。給水と排水の場所を離れさせて、一方向の水流を作るなどの工夫もできます。

サイドオーバーフロー

穴を水槽の底面ではなく側面にあける方法です。底面に穴をあける場合、必然的に水槽の底から水面まで1本のパイプが通るため場所を取ってしまいますが、サイドオーバーフローなら水面近くに穴をあけることでパイプが占める空間を減らすことができます。しかし、底面の汚れを吸い込むことはできません。

水槽の下ではなく横をパイプが通るため、水槽台の天板に穴をあける必要がなく配管の自由度が高い気もしますが、とにかく目立ちます。個人的には強度的にも大丈夫なのかな?という不安が若干あり、あまり採用するメリットを感じません。

給排水パイプの太さと穴径

配管のタイプを決めたら、次はパイプの太さを決めましょう。パイプの太さが決まればそれに対応して水槽にあける穴の大きさ(穴径)も決まります。

3重管用台座 40A×65A ガラス・アクリル水槽兼用

オーバーフロー水槽を作る場合、水槽にあけた穴に上のようなオーバーフロー用の土台を接着するのが一般的です。台座には対応する塩ビ管(またはアクリルパイプ)の太さが決まっているので、パイプの太さを決める=台座を決めるということです。

パイプの太さを決めるには、オーバーフロー水槽で1時間あたり水を何回循環させるかを決める必要があります。一般的にアクアリウムのろ過では、5~10回転くらいが目安とされています。この回転数に応じた流量を流すにはどのくらいの太さのパイプが必要か考えればよいわけです。

しかし、この計算を正確にするのは実際には難しいため、水槽のサイズに応じた排水管の太さ及び対応する穴径のある程度の目安があります。それを表にまとめたものが以下になります。

水槽サイズとオーバーフロー配管の太さ・穴径の目安
水槽サイズ 排水管の呼び径 給水管の呼び径 穴径
60cm~90cm水槽 40A 13A 58~60mm
90cm~150cm水槽 50A 16A 70~72mm
150cm水槽~ 65A 16A 89~91mm

この表を参考にしつつ、既製品のオーバーフロー水槽のスペックを見て、穴の大きさからパイプの太さを推測して決めるのが良いと思います。なお、ここに記載している「呼び径」とは、塩ビ管の太さを示す規格です。例えば40Aなら、外径48mmのパイプを指します。

給排水管の位置

最後に穴をあける位置を決めます。穴の位置を端に寄せれば寄せるほどパイプが邪魔にならなくなりますが、水槽の強度が下がります。また、水槽を設置する水槽台の天板穴位置と合わせる必要があります。

これも既製品を参考に決めるのが良いと思いますが、φ60前後の穴の場合、一般的には水槽の端から80~90mm程度の位置に穴の中心が来るようにする場合が多いようです。

決定したオーバーフロー水槽の仕様

以上を踏まえて、穴をあける作業を開始する前にオーバーフロー水槽の仕様を決定しておきます。今回、私は60cm水槽を使用することにしたため、排水管40A、給水管13Aのサイズを採用しました。従って、穴径は60mmとし、穴位置は水槽右奥、右と奥の端から数えて80mmの位置に中心が来るよう穴をあけることにします。

オーバーフロー水槽の穴あけ位置

図でまとめるとこんな感じですね。穴あけの前に最低でもここまでのイメージを固めておく必要があります。

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水槽の穴あけのために用意するもの

オーバーフロー水槽の仕様を決めたら、次は必要なものを揃えましょう。K-kiが水槽に穴をあけた際には、以下のものを使用しました。

水槽

ADA キューブガーデン 6045

当然ですが水槽が必要ですね。今回はADAのオールガラス水槽「キューブガーデン」を採用しました。サイズは幅60×奥行き45×高さ45cmです。90cmも考えましたが、飼育する生体に必要な水量と設置場所の兼ね合いから60ワイドにしました。

キューブガーデンの採用理由は「見栄えが良いから」、これに尽きます。ガラスの透明度もそうですが、ガラスの接着に使用するシリコンを最小限に抑えているため、とてもスッキリした水槽に仕上がっています。シリコンの仕上げについて言えば、間違いなくトップクラスの水槽です。

お値段はやはり高いですが、お店によっては定価の2割引きとか3割引きで販売しているところもあります。ADA特約店を巡って安いショップを探してみるのも良いでしょう。

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ネイチャーアクアリウムのような美しい水草水槽や、熱帯魚・亀・金魚等の飼育に必要な水槽を購入する時のポイントをまとめました。サイズ・設置場所・素材・デザイン・品質・メーカーなど多岐にわたる要点やおすすめの水槽を紹介します。

水槽を選ぶ際のポイントはこちらのページでまとめています。良かったら参考にしてください。

工具

今回使用した工具は以下の3種類です。

  • 電動ドリル
  • ダイヤモンドコアドリルビット
  • ドリルガイド

K-kiはガラス水槽の穴あけは今回が初めてなので、全て新しく購入しました。購入した商品を簡単に紹介しておきます。

マキタ 充電式ドライバドリル 10.8V DF330DWSP

電動工具の国内最大手メーカー「マキタ」の電動ドリルドライバーです。似た工具に「インパクトドライバー」というものがありますが、こちらは衝撃で穴をあけるため、ガラス水槽に使用すると割れてしまいます。ドリルドライバーを使いましょう。

正直なところガラス水槽の穴あけにはオーバースペックですが、バッテリーをマキタ製の他の工具に利用できる汎用性と、あれば今後DIYの幅が広がるだろうということで、ちょっと奮発しました。

ダイヤモンドコアドリル

今回は40Aの排水管に対応した60mmの穴をあけるため、φ60のダイヤモンドコアドリルが必要です。Amazon、ヨドバシ、モノタロウあたりを探して一番安く手に入るものを選びました。

やっぱりノーブランド品はAmazonが一番安いですね。どこの馬の骨とも知れないモノではありますが、結果的に今回の穴あけでは問題はありませんでした。

ドリルガイド

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こちらもAmazonで購入しました。穴あけの際にダイヤモンドコアドリルがずれないよう保持する道具です。

穴径が小さい場合は、電着タイプといって両面テープで固定できるガイドがあり便利そうでしたが、穴径60mmでは対応するものがなかったのでこちらにしました。

その他

ガラスに穴をあける際には、冷却水が必要です。ホースなどで水をかけ流しにできるようにしておくと良いと思います。

水槽にオーバーフロー用の給排水穴をあける作業手順

それではいよいよ、具体的に水槽に穴をあける手順を紹介していきます。

穴あけ位置に印をつける

まずは穴あけ位置に印をつけます。後で取り付けるドリルガイドが大きく、水槽をひっくり返して裏面から固定することになるので、この時点でひっくり返しておきました。

上にも書いたように、今回は水槽の端から80mmの位置を中心に、直径60mmの穴をあけます。今回は油性マジックで印をつけました。ガラスなので消しゴムとかでこすれば印は後で消せます。

ドリルドライバーにダイヤモンドコアドリルビットを装着

電動ドリルドライバーにダイヤモンドコアドリルビットを装着しておきましょう。ビットの径は合っているか、しっかり固定されているか、よく確認しておきます。

ドリルガイドとドリルドライバーを固定する

水槽に穴をあけるためドリルガイドを固定する

先ほど決めた穴あけの位置にドリルガイドを固定します。この手のドリルガイドはお風呂で使うフックのような、フック部分を引き起こすことで負圧になり吸着する吸盤になっています。

ドリルガイドはドリルビットの径に合わせて調節する必要があるので、このときドリルドライバーも一緒に固定して、穴があく位置が意図通りになるかよく確認してください。

裏面をマスキングテープで抑える

この作業は必須ではありません。ガラス水槽の穴あけでは裏面にあて板(穴をあけたときに穴のフチが欠けるのを防ぐために押し当てる板)をするのが難しい場合が多いため、せめてもの気休めにマスキングテープであて板の代わりをさせています。

正直なところ効果はよくわかりませんが、K-kiが試した限りでは、マスキングテープで裏面を抑えたほうがフチの欠けがマシでした。また、マスキングテープを2~3重にしておくと、穴をあけたときに穴部分のガラスが落下するのを防いでくれます。穴部分のガラスが落ちたときに跳ね返って水槽に当たり、水槽が割れるような事故が起こらないとも限らないので、この部分は地味に役立つと感じました。

冷却水を掛けながら電動ドリルでガラスを削る

ドリルガイドを固定したら、ホースなどを用意し冷却水を掛け流せるように準備します。準備が整ったら、電動ドリルの電源を入れ、ダイヤモンドコアドリルでガラスを削り穴をあけます。

ガラス水槽にダイヤモンドコアドリルで穴をあける

補足説明

穴あけのコツは主に2つです。

  • 力を入れすぎないこと
  • 水平に穴をあけること

力を入れすぎない

力を入れすぎるとガラスが割れます。

水平に穴をあける

水平を保って穴をあけないと、ドリルがガラスを貫通したときに、一部分はまだガラスの厚みが残っていることになります。この残った部分は、貫通時に割れるため、穴のフチの欠けに繋がります。

ガラス水槽に穴をあける際の注意事項:穴の水平を保たないと縁が欠ける

水槽の穴あけの場合は、上の写真のように横から見ることで穴を水平にあけられているか確認できます。こまめに横から水平が取れているか確認しながら穴をあけましょう。

注意

ガラス水槽の穴あけは、ダイヤモンドコアドリルでガラスを削るため、かなりの騒音が発生します。賃貸マンション等の場合は間違いなく近所迷惑になるので、なるべく昼間・短時間の作業に努めましょう。

貫通したら穴あけ完了!

穴部分を通じて冷却水が下に落ちるようになったらガラスの穴あけは完了です。ひっくり返していた水槽を元に戻し、マスキングテープを剥がして穴があいているか確認しましょう。

ガラス水槽にあけたオーバーフロー用の給排水穴

いい感じに穴があいていますね!穴が水平になるようにかなり気を配りながら作業したこともあり、穴のフチの欠けも少なめに抑えられました。

慎重に作業したこともあり、今回は8mm厚のガラスにφ60mmの穴をあけるのに1時間くらいかかりました。慣れた人ならこの3分の1くらいの時間で穴をあけられるようですが、初めての穴あけ&初めてのキューブガーデンにガクブルのK-kiはこんなもんです。それでも穴自体は上手くあけられたので一安心です!

なお、切断面は鋭利で手を切りやすいため、触る場合は十分に注意してください。

初めての場合はガラス板などで練習するべき!

ここまでの解説を見るとすんなり穴あけに成功しているみたいに思えますが、実は全然そんなことはありません。さすがに初めての穴あけで定価が3万円近い水槽に挑む気にはなれなかったので、以前購入した60cm水槽に付属のガラスフタで練習しています。

ガラスに穴をあける練習 4回目でやっとまともな穴が空きました

この練習、実は4回やってやっと満足の行く穴があけられるようになったんです。右から順に1回目、2回目、3回目、4回目の穴ですが、最初はコツが掴めておらず、1回目はガラスの端まで亀裂が走り、2回目はさらに力を掛けすぎてガラスごと真っ二つにしています。3回目は穴の水平が取れていなかったために穴のフチから数cmの亀裂が生じており、散々な状態でした。

ここまで苦労したのは、穴径が大きめだったことに加え、ガラスフタの厚みが3mmと薄いため割れやすかったこと等があると思います。ですがやはり、最初から水槽に穴をあけなくて良かったです。

オーバーフロー水槽を自作するブログや動画を見ていると、皆さん割と簡単そうに穴をあけていますが、実際はそこまで簡単ではないというのがやってみた感想です。穴あけに挑戦する際には、やはり何回か練習は必要だと思います。

穴あけ加工完了後の水槽

穴あけ加工が完了した水槽を、表側からもう一度確認しておきましょう。

穴あけ加工が完了した水槽(ADA キューブガーデン 6045)

やっぱりきれいに穴があいてますね。穴のフチの欠けは全くないわけではありませんが、ほとんど気になりません。結論としては、ガラス水槽の穴あけは決して簡単ではありませんが、しっかり準備すれば初めてでも綺麗な穴をあけられることがわかりました!

…と、きれいにまとめるはずだったんですが、とんでもないオチがついてしまいました。

角が欠けてしまったADAのオールガラス水槽(キューブガーデン6045)

か、欠けてるぅぅぅううううう!!!!!!!

穴あけ完了後、水槽をひっくり返すときにコンクリのベランダで水槽をこすってしまい、こんな無残な姿になってしまいました。水槽の角は発泡スチロールで保護していたんですが、マスキングテープで貼り付けていたために途中で剥がれてしまい、そのまま作業を継続していたら「ゴリッ!」って…。

幸いにも水漏れにつながるような深い傷ではなく、フチのガラスがちょっと欠けただけなので、多少不安はありますが水槽はこのまま使用することにします。ただ、しょっぱなからもんのすごくテンションが下がりました…。

YouTubeでも水槽穴あけの方法を配信中

今回のオーバーフロー水槽自作のためのガラスへの穴あけ加工の模様は、YouTubeで動画の形でも配信しています。ほとんど稼働してなかったYouTubeチャンネルですが、これを期にもうちょっと動画投稿してみようかな…。

実際にガラス水槽への穴あけに挑戦する場合は、作業の様子を動画で確認したほうが分かりやすいと思うので、ぜひYouTubeの動画も見てみてくださいね。そしてあわよくば、チャンネル登録してください…!

YouTubeチャンネル


K-ki

オーバーフロー水槽自作の第一歩として、ガラス水槽への穴あけの方法を紹介しました。この第一歩が非常にハードルが高いせいで、オーバーフロー水槽の自作はなかなか手出しできない部分があります。実際にやってみて感じたのは、簡単ではないものの慎重にやれば誰でもできる作業だということです。憧れのオーバーフロー水槽に向けて、一歩踏み出してみませんか!?

次回は、穴をあけた水槽に、オーバーフロー水槽のろ過配管をするために必要な「台座」を接着します。ぜひ、こちらも読んでください:)

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K-ki

K8ki・けーきはK-kiのシノニム。 AquaTurtlium(アクアタートリウム)を運営しています。 生き物とガジェットが好きなデジタル式自然派人間。でも専門は航空宇宙工学だったりします。 好きなことはとことん追求するタイプ。

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