「私たちはカラーズ!この街を守る!」
「1ミリも守って無ぇよ」
「はっ リーダー! 向こうから助けを呼ぶ声が」
「大変だ! すぐに行かないと」
「さらばだー」「斎藤! 片づけよろしく」「私たちは忙しいんだ」
「なにー!待てー!クソガキー!」
上野の街を舞台に表紙の3人の女の子が「カラーズ」を名乗り街の平和を守ると称して遊んだり悪戯したりするだけの漫画。
最初読んだ時は「苺ましまろ」のパクリかと思って、同じ「月刊コミック電撃大王」掲載だし不正にパクったわけでもないだろうけど、なんだ?と思ってる間に読んでみたら結構面白いと思ってたらアニメ化もされて結構好評。
抱腹絶倒のギャグ…もたまにあるんですけど、どっちかというと日常寄りでオチもスンッとした落ちてないオチ多め。「苺ましまろ」と「よつばと!」の中間にあるような作品。そういえば「よつばと!」も電撃大王。
もうストーリーもオチもクソもなくて、なんか可愛い傍若無人な馬鹿ガキが思いつきで適当なこと言ってるだけなんですけど、なんでこんな面白いんでしょ。
発売前日まで最終巻ってことに気づかなくて、気づいた瞬間は「ちょ…待てよ…!」ってなりました。完全にキムタクやったわ俺。
よく「ギャグ漫画家は精神の消耗が激しい」と言われますが、ギャグコメディ作品、特に吉田戦車以来のシュール系・ナンセンス系の作品は長期化すると笑いが深く狭くなっていってシュール酔いを起こすというか、「この漫画は何が面白かったのか」を作者も読者も自家中毒でバランス崩して忘れちゃうみたいな経験ってないですか。「ピューと吹く!ジャガー」を単行本で何冊もイッキ読みしたときのあの感覚というか。
今なお続く某日常コメディ作品とか、自分もう「正直おもんない」と思いながら完全に惰性とキャラの愛着だけで読んでたりするんですが。
この作品もキュートなルックスの割りに、作品の当初から各エピソードのオチをあまり重視せず、キャラのシュールな言動と省略の美に満ちた散文的でピーキーなギャグコメディで、いかにも「巻数を重ねていくとシュール酔いを起こしそう」な漫画でした。今巻の完結はネタ切れと言うよりは「面白いうちの勇気ある撤退」という感じがします。
最終話も「たぶんそういう感じで終わるんだろうなー」と思ってたそういう感じで、この漫画らしくシレッとスンッと終わりました。
ストーリーというより、上野を舞台に可愛らしいキャラたちを動かす箱庭のような漫画でしたけど、とても好きな作品だったんで終わっちゃってとても寂しいです。ずっと眺めていたかった。
奇しくも同じ「電撃大王」の「苺ましまろ」の巻数に追いついたところで完結。「苺ましまろ」「よつばと!」と違って読者を待たせることなくコンスタントにアウトプットし続けた上でスパッと終わってくれる、そう言う意味でもとても読者フレンドリーな作品でした。正直もっと評価されていい作品だと思うんだけどね。
別作品や新作も期待していますが、またいつか忘れた頃に、続きの9巻がシレッと出たりすることがあったりなんかするといいなーと思います。
楽しい漫画をありがとうございました。
aqm.hatenablog.jp
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