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トム・ハーディ版ヴェノム完結「ヴェノム:ジ・ラスト・ダンス」(2024)

ぷらすです。

先日、初日・初回の上映で鑑賞してきました。『ヴェノム:ジ・ラスト・ダンス』

SSU(ソニー・スパイダー・ユニバース)シリーズ最初の作品で、マーベルの大人気キャラクター、ヴェノムを主役に据えた三部作完結編です。

というわけで今回は、ネタバレを気にせず感想を書いていくので、まだ本作を未鑑賞で内容を知りたくない人はお気を付けください。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

トム・ハーディが主人公を続投し、マーベルコミックに登場するキャラクター、ヴェノムを描く『ヴェノム』の第3弾。ヴェノムの秘密が明らかになり、それを狙う地球外生命体のシンビオートとの激しいバトルを映し出す。監督などを務めるのは、前2作で脚本などを担当したケリー・マーセル。『死の谷間』などのキウェテル・イジョフォーのほか、ジュノー・テンプル、リス・エヴァンスらがキャストに名を連ねる。(シネマトゥディより引用)

感想

SSUって何なのさ

というわけで、まずはSSU(ソニー・スパイダー・ユニバース)と「ヴェノム」が何か分からない人のためにざっくり解説していこうと思います。

SSU(ソニー・スパイダー・ユニバース)は、物凄く乱暴に言うと「スパイダーマン」に登場するキャラクターを主人公に据えた作品群のことです。

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「え?スパイダーマンってMCUじゃないの?」と思う人もいるかと思いますが、現在、スパイダーマンの映画化権を所有しているのはソニーで、MCUとソニーが提携し、スパイダーマンの一部権利を共有する形でMCUはスパイダーマンの映画を制作してたんですね。

一方のソニーは、自社が権利を持っているスパイダーマンのキャラクターを主人公に据えたスピンオフ的なユニバース「SSU」を展開。その第一弾が2018年公開の「ヴェノム」です。

ヴェノムは宇宙からやってきたシンビオートという寄生型宇宙生物で、色々あってトム・ハーディ演じる新聞記者エディ・ブロックと融合。思いがけずバディとなった“二人“は協力しながら様々な敵と戦うという。
日本で言えば「寄生獣」的なストーリー。

この「ヴェノム」のヒットを受けてSSUは「モービウス」(2022)「マダム・ウェブ」(2024)を公開したものの、この2作は興行成績・批評的にも散々だったんですね。個人的にはそこまで嫌いじゃないんですが。うーん。

三部作完結編に相応しい作品に

そんな感じで、SSU第一弾としてスタートした「ヴェノム」でしたが、個人的な感想としてはヴェノムというキャラクターの設定を観客に理解させるため色々盛り込み過ぎた感じで、ぶっちゃけかなりとっ散らかった印象でした。

しかし、そんなストーリー構成の粗を補って余りあるほど、トム・ハーディ演じるエディとヴェノムのある種ブロマンス的な関係性が日本ではネットを中心に話題となり、主演が大スターのトム・ハーディだったこともあって大ヒットに繋がったんですね。

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続く第2作「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」では、前作のエピローグでカメオ登場した原作ファンには大人気キャラクター、カーネイジをヴィランに迎え前作よりもスケールアップした作品でしたが、この時期は丁度MCUとソニーの間でスパイダーマンを統合する流れがあって、この作品内でもマルチバース設定などが持ち込まれたことで色々散らかった内容に。エピローグでも明らかにMCUとの統合を示唆する動きがありましたが、その後、MCUのマルチバースサーガの失敗もあり計画は白紙に戻されたようで、結局は物語が会社同士の舞台裏に振り回された形になってしまい、評価の方もイマイチな結果に。

そして本作は、そんな前2作でも脚本を担当したケリー・マーセルが監督も担当。ヴェノムのキャラクターや性格、過去2作でヴェノムやエディとのキャラも観客に浸透し、MCUとの絡みもなくなり、物語をヴェノムとエディの関係性に焦点を絞った事で個人的には3作中で一番面白い作品になったと思いましたよ!

あと、MCUや親会社のディズニー作品、もっと言えば多くのハリウッド映画では、物語の中に社会的・政治的な思想や主張みたいなものが入っていて、特に近年はそれが目立ちすぎて説教臭さを感じたり、観ていて疲れる事も多いんですが、SSU作品の場合、良くも悪くもそういう主義主張が全くないのでめっちゃ気楽に観られるんですよね。

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本作も、エディとベノムだけが持つ重要な「鍵」を狙って地球にやってくる過去一ヤバイ敵と、シンビオートを捕獲・研究する軍に狙われる二人のロードムービーになっていて、物語や構成はある種のテンプレに沿っていて特に目新しさはないし先も読めるんですが、その分、エディ&ベノムを主軸にした“キャラもの“として日本のアニメに近い感覚で観られるし、劇中、ヴェノムの寄生や自在に変形するという特性を活かした川でのチェイスシーンや、クライマックスのアクションシーンなどは、3作中一番見ごたえがあって、完結編に相応しい作品になったと思いました。

本作公開前にスパイダーマン第4弾の発表もあったので、もしかしたらエピローグなどでトム・ホランドのカメオ出演やMCUとSSU統合の“匂わせ“があるかもと思って観ていたんですが、そういうのも一切なく「ヴェノム」三部作としてキッチリ終わったのも、個人的には好感が持てましたね。

まぁ、ヴェノムは人気キャラなので、そのうち別キャスト・別設定でMCUスパイダーマンと合流するかもですが。

あえて言えば

そんな感じで個人的にはめっちゃ楽しんだ本作ですが、これは三部作で脚本を担当、本作では監督も兼任したケリー・マーセルのクセなのかもですが、本作でもせっかく魅力的なキャラクターが多数登場するのに、それぞれの描きこみが足りないのでキャラクターの行動や展開が唐突に感じたり、物語自体が薄味に感じてしまう部分はあるかも。

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とはいえ、そんな粗も込みでSSUの味と言えなくもないし、何よりやっぱ、トム・ハーディ演じるエディとヴェノムの二人が魅力的に描かれているので、それ以外の事はそんなにノイズには感じませんでした。

ちなみに僕は今回「吹き替え版」で鑑賞したんですが、エディ役の諏訪部順一さんとヴェノム役の中村獅童さんの演技も素晴らしかったので、吹き替え版もおススメですよ。

興味のある方は是非!!