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「JKは読者にウケる」「JKはバカでエロい」をクリシェで伝える、京都大学フリーマガジン「チョベタ」JK特集

京都大学のフリーマガジン「Chot★Better」(通称チョベタ)。2015年の秋号の特集は「JK」。

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2週間ほど前、このフリマガが話題になっていた。フリマガについて触れた画像付きツイートが1万リツイート以上拡散され、大手まとめサイトなども取り上げたからだ。

「Chot★Better」は京都大学の学生を中心にして作成される季刊フリーマガジン。履修情報とお得なクーポン、そして毎号「特集」がつけられている。公式サイトはこちら(2015年になってからはあまり更新されていないもよう?)。

Chot★Better.net

ホームページによると、これまでの特集は「インド再発見」「彼氏のいない京大美女」「ラブホテル」など多岐にわたる。編集部員(学部一回生~三回生が中心)のアイデアによって、かなり自由な特集セレクトがされているようだ。

 

さて、JK特集。フリマガは表紙を含めて32ページほどの小冊子なので、特集といってもそこまでボリュームがあるわけではない。目次はだいたいこんな感じだ。

04 WE LOVE♡JK…いわゆる巻頭言

05 JK座談会…男子大学生による「JK萌え」トーク

06 制服美女図鑑…現役女子大学生に制服を着てもらう企画

08 JKへのアプローチ術…どうやればJKに近づけるのか?のテクニック

10 JKのキ・モ・チすごろく…JKのツイッターを追いかけていくテイストのすごろく

12 JKと付き合ううえで知っておきたい法律のハナシ…条例大丈夫?ダメだったわ~!というコーナー。

13 くすのきメモリアル…ときめきメモリアルのパロディのウソ広告。

20 JKクロスワード…JKにまつわる問題でできたクロスワードパズル。問題を解くと「おにいちゃんだいすき♡」のメッセージが浮かび上がる

以上がJKにまつわる企画。

 

「色気」推し巻頭言

基本方針としては、「JKって萌えるよね!」。ただしその裏にはバカにしているニュアンスもある。

巻頭言にはこうある。

女子高生、略してJK。大人でも子供でもない、そんな不安定でどこか危なっかしさを感じさせる絶妙な年代の少女達。彼女達からは鮮やかで、それでいて不思議な色気が放たれています。この魅力を前に理性を保つことは不可能。

「JKの基本情報」として、「平均体重52kg…抱き心地がよさそうな体型」「恋愛のことで頭がいっぱい!」などの文言が並ぶ。

JKの魅力は「まっすぐな心」「無限の可能性」「みずみずしい身体」「特有のノスタルジー」の4つ。

まだ未完成なJKの身体は、僕達の秘めたる激情をそそります。これはまさにロマン!そう!!JKの身体とはロマンなのです!!

もうこの時点で不思議。あまりにも言ってることがテンプレ的、クリシェ的ではないか?

編集部員はだいだい18歳~21歳の男女。つまり、女性はほんの数年前までJKだったし、男性も共学ならばクラスに、男子校でもだいたい塾に、JKが存在していたはずだ。でも彼らのJKの表現の仕方は、生身の「女子高生」というより、創作物やインターネット上の「JK」という感じがする。

 

JKは純粋、JDは非純粋と語る座談会

続く座談会はゲスい。

「(「JKとJDの違い」について聞かれて)JKの方が純粋で心が綺麗で、何も計算していない感じの子が多いと思います」

「(高校の時、偶然着替えを見てしまったJKに腋毛が生えていて)何て言うか、その処理し切れていない感じが、めっちゃ良かったです」(共学出身・1回生男子の発言)

「高校卒業した人がJKを好きになるのって、おっさんがアイドル追いかけるのと似てるよな。おっさんによってはその子と付き合いたいって訳じゃない人もいるやん。親心みたいな。自分が昔頑張れなかった青春を頑張ってくれっていう応援の感情っていう感じかな」(男子校出身・3回生男子の発言) 

 この発言が、だいたい21歳の男の口から出ているという衝撃……。これなんて言えばいいのかな、大2病とか……? 大学生が高校生を「若いw」「青春だわ~」と言っちゃうの、気持ちはわかるけどその年代から離れれば離れるほどちょっとキツいっすね……。

 

おふざけコーナーで迷惑行為を推奨

JKへのアプローチ術は、「プリクラの中で待つ」「模試監督で消しゴムを拾う」「バスの中で照らしてあげる」「本棚の裏から覗き込む」の4点。

R25の「家でやろう」的テイストの、おふざけコーナー。「こんなんでアプローチできるわけないじゃんw」というツッコミまで含めてコーナーとして成立している感じです。「プリクラの中で待つ」はそもそもプリクラコーナーへの男性立ち入り禁止の原因にもなっている迷惑行為なので、ダメ、ゼッタイ。

 

JK=バカというイメージ

JKのキモチすごろくは、ディズニーと三代目JSBが好きなJKの日々を追いかけるもので、完全に「スイーツ(笑)」のニュアンスがある。

なんてったってコーナー下のリードが「JKは恋に友情に大忙し。いろんなことに夢中で、でもちょっぴりおばかさん」。……京大にいる元JKは果たしてこんなJKだったでしょうか?

 

JKは性欲の対象でしかない

「JKと付き合ううえで知っておきたい法律のハナシ」コーナーの出だしはこういう文章。

高校時代を勉強に費やし、非リアの道をひた走ってきた京大生男子諸君。JKと付き合うことも経験せずにここまで来たことでしょう。

このフリマガは、京大の構内で無料配布されている。京大は当たり前だが男子校ではない(男女比的には男子のほうが多いけど)。読者層を「非リアの男子」に絞った潔さに思わず半笑い。

「JKの裸を撮ってもいいですか?」「JKとエッチしてもいいですか?」という質問が並ぶ法律コーナー。もちろんこういうストレートなQ&Aは必要だろうけど、こんなに堂々と書かれると「僕たちはJKに性欲を抱いています!」と主張しているようにしか見えない。

これが男性週刊誌だったらまあいい。「サムライELO」なんて毎号こんな感じだ。だけどこれはしつこいようだけど一応京大生みんなを対象にしたフリマガ。その辺の感覚がすっぽり抜けているようにしか見えない。

 

「読者にウケる」を意識する怖さ

このフリマガは、デザインもよくできていて、商業誌っぽい体裁を整えている。これを毎期発行している編集部には、ノウハウや技術が蓄積されているんだと思う。

しかし今回のJK特集は、あまりにも商業主義的な「これが読者にウケる」が暴走してしまっている気がする。

・世の中でJKはいいものとされている。JKは読者にウケる!

・JKってバカでエロいよね~

・京大のフリマガでJKを取り扱うのはおもしろいんじゃないか?

こんなふうに見えてしまう。

京大には元JKはいっぱいいる。彼女たちのJK生活は、今回の誌面で挙げられているものとはかなり違ったはずだ。しかしその匂いはまったくない。それは「そんなJK像を取り上げても萌えない」からなのか?

 

こういう、偏見まみれのJK特集は、おっさん向け商業媒体に任せておけばいい。今回のJK特集で書かれているJK像やJKにまつわる想いは、全部「どこかで見たことのある」ものでしかない。インターネット的に、商業的に、「これがウケるんでしょ?」と過剰適応した特集になってしまっている。

大学生のいいところは高校生に近いところだ。編集部員も元JKだった。京大に合格する女性はどういうJK生活を送ったのかとか、私はすごく興味があるよ。そういう特集は、彼らにとっては「ウケない」ものだったのかな。