「センザンコウ」って何者? 意外と知られていないこの絶滅危惧種について学ぼう

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硬いうろこに覆われた体と独特な歩き方。

まるで特撮映画に出てくる怪獣のようにも見える独特な風貌をしています。

 

日本では「センザンコウ」、英語では「パンゴリン」と呼ばれるこの動物。

はたしてその名前になじみのある人はどれくらいいるのでしょうか?

 

私も今までこの動物は聞いたことがなく、この写真を見たときはアルマジロの一種かと思ってしまいました。

ここでみなさんと一緒に学んでいきたいと思います。

 

 

この動物もまた絶滅の危機に瀕している多くの動物の一種であり、世界で最も密輸のターゲットにされている動物です。

一部の推定では、世界で野生動物を違法売買している闇市の20%がこの動物の取引で占められていると言われています。

 

 

英語名の「パンゴリン」は、マレー語の「ペングリン」(巻き上がる、の意味)からきていると言われています。

アルマジロなどと同じく、身に危険が及ぶと体を丸くし、うろこに包まれた硬いボールと化す、そんな様子から名付けられたものです。

 

この動物の祖先については意見が分かれているようです。

以前はアリクイやナマケモノなどと同じ祖先であると考えられていましたが、現在の分類学ではハイエナやクマ、オオカミなどと祖先が一緒であるという説が有力視されています。

 

センザンコウはすでに8千万年にわたってこの地上に存在し続けていることが分かっており、すでに絶滅した種もあります。

現在では中国、マレーシア、インド、フィリピンにそれぞれ別々の4種、加えてアフリカにもまた別の4種類が生息しており、全部で8種類のセンザンコウが確認されています。

 

 

 

 

センザンコウは哺乳動物です。

うろこで体が覆われている唯一の哺乳動物とされています。

センザンコウのうろこはケラチンが成分となっています。人の爪やサイの角、鳥の足の爪などと同じ成分です。

うろこは全体重の20%を占めるほどの重さがあり、とても硬いため外敵から身を守ることができるようになっています。

しかし、これが中国では漢方薬の原料として古くから流通しているのです。

乾燥させて火であぶって使うらしく、まひ症状を和らげる、母乳を促す、膿を出すなどの効果があると信じられているそうです。

中国でセンザンコウのうろこが闇市で取引されているのはこの漢方薬目当てで、1キロ当たり3千ドルを超える価格がつけられています。

またうろこを大量に買い集めてコートを作っている闇業者もいるようです。 

 

センザンコウの天敵は、ライオン、トラ、ヒョウなどです。

しかしこれら獰猛な肉食動物たちでも、硬いうろこに包まれた丸いボールには手も足も出ません。

たとえライオンでも、センザンコウの硬いうろこを噛み砕くことはできないのです。

 

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また硬いボールになったときに、尻尾だけを伸ばして振り回すこともあります。

うろこはとても鋭く、襲ってくる動物の皮膚を切り裂くことも出来るほどです。

 

さらにはスカンクと同じように、悪臭のするガスを肛門の近くにある腺から発することもあります。

 

以上の通り、この動物は素早く逃げたりせずその場で丸くなってしまうという習性があるため、逆に密猟者にとってはとても簡単に捕獲できる動物としてターゲットにされてしまうのです。

毎年10万匹のセンザンコウがアフリカやアジア諸国から中国やベトナムに輸出されています。

闇市ではうろこに加え、肉も食用として売り飛ばされています。

 

現在、センザンコウの8種類すべてが国際自然保護連合(IUCN)の希少動物レッド・リストに載ってしまっています。

 

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(センザンコウの赤ちゃんは生後3ヶ月までお母さんの尻尾につかまって生活する)

 

   

 

www.telegraph.co.uk

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