「Yahoo!アクセス解析」と「GoogleAnalytics」のコンバージョン機能を比較してみた

先週リリースされたYahoo!アクセス解析(以下「Y!解析」)のコンバージョン機能。無料アクセス解析ツールの代表格でもあるGoogleAnalytics(以下「GA」のコンバージョン機能と比較をしてみました。


最初に比較した結果をまとめておきます。

成果までの導線を分析し手軽に成果を計測したい場合はGAがオススメ。

成果ページの数が多く訪問回数単位でも見たい場合はY!解析がオススメ。


★比較表

項目 Y!解析 GA
設定可能数 ○10 △4
計測指標 ○PV・訪問回数・売り上げ △PV・売り上げ(目標値)
専用タグ入れ*1 ×あり ○なし
成果判別方法 タグが入っているページ URL条件で判別
付随機能 ×なし ○成果までの経路分析


※内容に誤りがありましたら、コメント等でお知らせください。適宜、修正させていただきます。

ここから先は、最近登場したY!解析のコンバージョン機能の設定方法*2と比較表の詳細について書きます。


Y!解析のコンバージョン機能 -設定方法

1.ログインをして、上記タブから「解析用コード取得」を選択

2.HTTP/HTTPSのどちらかを選び、「コンバージョンを測定するための解析用コードを作成する」にチェックを入れる。



3.「目標アクション設定ページ」のリンクを押し、「アクション名」「ユニーク」の設定を行い「更新」する



4.1.及び2.のステップを繰り返す*3

5.「目標アクション」をプルダウンから選ぶ。「売り上げ」の目標を使う場合「売上金額」を任意で設定

6.計測タグを成果として計測したいページに追加する


※レポートは「マーケティング>コンバージョン」のメニューから閲覧可能


詳細比較

二つのツールのコンバージョン機能をもう少し細かく比較してみましょう。

成果ページの設定数
項目 Y!解析 GA
設定可能数 ○10 △4


Y!解析の方が設定出来る数が多いです。サイトでの成果数が多い場合は、Y!解析の方が使いやすいでしょう。GAでも出来なくはないのですが、複数のレポートを見ることになってしまうので面倒です。

GAブログより:各プロファイルには目標を4つまで設定できます。 1 つのウェブ サイトで 5 つ以上の目標をトラッキングする場合は、このサイトのプロファイルを複製する必要がございます。 http://www.google.com/support/googleanalytics/bin/answer.py?answer=55493&hl=ja

サイト内で成果となるページが5つ以上あるサイトは限られているかなと思います。EC系サイトであれば4つで足りるかもしれません。しかし人材系のサイトなどでは4つは足りない可能性があります。例えば、会員登録・メルマガ登録・レジュメ入力・お気に入り追加・説明会エントリー・面接エントリーだけでも6つです。


このような場合はGAでは物足りないでしょう。また多くの有料ツールは10個以上設定出来る物が多いので、それらと比較してしまうと不利かもしれません。


計測指標
項目 Y!解析 GA
計測指標 ○PV・訪問回数・売り上げ △PV・売り上げ(目標値)


Y!解析は「ユニーク」という設定があり、これを設定すると訪問回数単位での成果カウントが出来ます(UUではない事に注意)。わかりやすい例として、以下の画像を見てみてください。

アクション数が「5」、ユニークアクション数が「1」という風に二つの数値が出てきます。例えば成果ページを「資料請求」に設定したとしましょう。1回の訪問で資料請求を5回した場合に、画像のような数値が出てきます。


GAでは「5」という数値しか表示されません。「訪問回数の何割が成果に1回でもたどり着いたか?」という数値を出したい場合は、Y!解析の「ユニーク」を使うことで、より実体に近い数値が計測出来ます。


専用タグ入れ
項目 Y!解析 GA
専用タグ入れ*4 ×あり ○なし


どちらのツールも計測タグをカスタマイズすることで、動的に売り上げ金額を入れたりする事が出来ます。ここでの違いは、単純に成果の数をカウントしたい時に専用のタグを入れる必要があるか?ないか?というものです。

GAは画面だけでの設定で完結するのですが、Y!解析の場合は専用タグを該当箇所に入れる必要があり、手間がかかります。特に1つのCGIで入力・確認・完了を司っている場合、完了時にのみ専用タグで計測情報を飛ばす必要があります。GAは後述する成果判別方法でこの課題をクリアしています。


成果判別方法
項目 Y!解析 GA
成果判別方法 タグが入っているページ URL条件で判別

Y!解析は専用タグが入っているページが対象になるため、前述の課題や手間が発生する可能性があります。もちろん静的なHTMLが成果であれば特に問題はありません。


GAはURL条件で判別が出来ます。


正規表現なども使えるため、http://example.com/form.cgi?step=end みたいなパラメータも成果ページの設定条件として使え、より柔軟な設定が可能となっています。


付随機能
項目 Y!解析 GA
付随機能 ×なし ○成果までの経路分析


付随機能としてGAでは「目標到達プロセス」というものを設定出来る機能があります。成果に辿り着くまでのステップを最大10個まで登録し、遷移数や率を見るといった内容です。


例)TOP(STEP1)→検索結果(STEP2)→詳細閲覧(STEP3)→資料請求フォーム入力画面(STEP4)→入力確認画面(STEP5)資料請求完了(成果ページ)

登録プロセスでのボトルネックがわかりやすい便利な機能です。Y!解析でも導線分析を使って行えないことはないのですが、GAの手法の方がより短時間で欲しい情報を得られることが出来ます。


まとめ

Y!解析でコンバージョン機能がリリースされ、ビジネスユースとしても検討の土台に上がる状態に来たかと思います。現時点では、GAのほうがオンライン・オフライン(書籍等)のサポートや事例も多いのは事実です。しかし、リアルタイム性をはじめY!解析ならではの特徴も多く(参考:Google Analyticsの対抗馬?「Yahoo!アクセス解析」使用レポート)、これからサポートをする代理店やWeb制作会社も増えてくることでしょう。

例1)アイレップがGoogle AnalyticsとYahoo!アクセス解析の導入・運用サービスを開始


例2)ASPアクセス解析ツールからここまでビジュアル化ができるのか!数字の山を「宝の山」に変えるデータ読み込みサービスの主な対応ツールにY!解析が入っています。


今後も機能追加をいろいろ予定しているようですし、GAには無い何かキラーな機能・サポート・使いやすさが出てくれば、利用者数が一気に増えるのではと期待しています。コンバージョン機能に限らず、この二つの検索エンジンが提供している*5アクセス解析サービスは似ているようで、それぞれ違う特徴を持っています。


※「両方とも入れる」という方法も充分ありえる選択肢です。二つのツールを入れる「ダブルタギング」に関しては、アクセス解析サービスの分類と、「ダブルタギング」についてという記事も参照してみてください。

*1:両方とも専用タグでカスタマイズする事は可能

*2:GAのコンバージョン機能の使い方は各所で紹介されているので割愛

*3:この辺はインターフェースに改善の余地ありですね

*4:両方とも専用タグでカスタマイズする事は可能

*5:中国発の検索エンジンBaiduでも「Baidu.com 中国検索エンジン業界初となるアクセス解析ツール 「Baidu Statistics」(中国語標記:「百度統計」)をリリース(2009/08/07)」というニュースもあります。