ここのところ、SNSのデータをどうアクセス解析やマーケティングに活用できるか?みたいなことを考えていました。まだ、まとまりきっていないのですが、その内容を書いてみようと思います。
※2009/03/12 加筆&誤字脱字修正
記事は以下の5点の内容を説明していきます。
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最初に:「Twitterからマーケティング情報が取得できるツールの紹介」
本編
1)ツールで得られた情報の活用法
2)企業とSNSサイトとの付き合い方
3)本来、SNSサイトやSNSユーザーをどのような指標で分析するべきか
4)SNS解析の課題
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最初に「Twitterからマーケティング情報が取得できるツールの紹介」
世の中にはいろいろなSNSがあるのですが、今回は米国生まれの、一番ツールが充実している「Twitter」をピックアップしてみました。まずはこれらSNSから、マーケティング情報が取得できるツールを紹介いたします。ここでいうマーケティング情報とは、サービス・サイト・商品等の改善に使える有益なユーザーの声の事を指しています。
1.Twitter検索 ★オススメ★
URL:http://twitter.1x1.jp/search/
日本語対応のTwitter内検索。投稿日時の降順で検索ワードについて言及されているコメントを一覧で表示します。会社名やサービスで検索すると様々な意見が入手できます。
2.Twiple ★オススメ★
Twitter、はてなハイク、Wassr、Timelogをはじめとする「ミニブログ」の日本語対応の横断検索サイト。Twitter検索より広範囲に調査をしてくれます。レイアウトはTwitter検索のほうが見やすいとは思いますが、Twitter以外の場所でも言及が多そうな話題の場合は便利です。
3.buzztter
日本のTwitterのみがどうやら対象。今話題のワードをリストアップしたり、ワードを入力するとそのワードについて言及があった書き込みを表示。自動更新の機能もついています。どちらかというとリアルタイムに大勢の間で話題になっている出来事を把握・ウォッチするためのサービスです。
4.Twist
Google Trendsのように時系列でのキーワード言及数を比較することができます。また最近の言及コメントもみられます。残念ながら日本語非対応ですが、ローマ字で記載されるようなサービスや製品を持っている場合は便利かと。
5.Twittalizer
URL:http://twitalyzer.com/twitalyzer/
個人の投稿傾向や影響度合いを調べるツールです。企業アカウントを持っている場合に便利です。しかし、これ以外にも、このサービスにGoogle Analyticsのログを取り込むと、サイトにどれくらいのアクセスが、どのユーザーのアカウントから送られてきたか?という調査ができます。つまり、自分の企業のアクセスに貢献しているユーザーが一目瞭然に。直帰率や、そのユーザーの影響力(Twittalizerのサイトで独自に計算)といった指標などもあわせて見られます。データのインポートはこちらから。
6.Tweetstats
URL:http://tweetstats.com/
こちらも個人の投稿傾向やパターンを見るサービスですが、右上の「Trends」をクリックすると、今はやっている話題がタグクラウドで表示されます。残念ながら日本語は非対応です。
1)ツールで得られた情報の活用法
さてこれらツールで得られた情報を企業はどう活用するべきなのか?
自分の会社が提供しているサービスや製品の評判を確認し、それを改善に活かすというのは大きなメリットです。ユーザーの生の声の入手というのは今まで面倒*1あるいはお金がかかりました*2それがこれらSNSサービスの台頭により、ユーザーの声が,
ほぼ無料かつ簡単に集められるようになりました。
このような情報を社内に共有し、他の人にも読んでもらえるようにする事は非常に大切です。特に新しいプロモーションや製品のリリースを行った場合は、時間あたりの言及数や、ユーザーの感想などを定期的にウォッチすることを推奨いたします。
また、ツールを使って情報を定期的に取得する事により、サイトあるいはサービスにトラブルがあることを察知した場合、いち早くその情報を入手し対応できる可能性が高いです。実際に、サービスの障害やトラブルに関しては、ブログ以上にTwitterやMIXIといったサービスの方が早く言及され、広まっていきますので、芽のうち摘むことができます。
ある程度バイラルマーケティングに取り組んでいる、あるいは取り組もうとしている企業であれば、あなたの商品について多く話していたり、サイトは多くのユーザーを送っている人を特定することができるので、そういった人とコンタクトを取り、さらに情報を入手したり、協力してもらう事も一つの選択肢かもしれません。こういった取り組みに関する課題は「5)SNS解析の課題」で記載いたします。
他にも自社製品やサービスについて困っている人がいれば、助けてあげる事によって、商品に対する悪いイメージを払拭したり、企業イメージを高めることができます。
2)企業とSNSサイトとの付き合い方
さて、企業はこういったSNSサイトとどう接すればいいのか?米国では会社のアカウントを持つ企業なども増えてきています。SNSとの接し方、使い方に関して、海外の事例も含めいろいろな情報を聞いたり、読んでみたりして、自分なりにTIPSをまとめてみました。参考になりそうなものを活用してみてください。
企業がSNSと接する場合に気をつけるポイント
★アカウントを作って、ユーザーとコミュニケーションする場合
・企業で担当者をつける場合は、SNSやブログの経験があり、勘所がわかっている人を選んだほうが良い。ピントがずれている人がやってしまうと、災害を引き越してしまうだろう。
・コメントを書くときは会社の意見なのか、個人の意見なのかを明確にして書くこと。個人である場合は、自分がどういう立場の人であるかを明確にしよう。
・書き込む場合は何かしらの価値を提供するべき。この際プロモーション色は弱くしよう。まずは困っているユーザーを手助けすることから始めるべき。
・自分のアカウントに大勢の人を集めるのは影響力を大きくしたり、プロモーションを行いやすくするためではない。より大勢の人の意見を聞き、助けてあげるためである。
・必要に応じで読者からコメントを求めよう。相互コミュニケーションがこういったSNSサービスの魅力である。
・知っていることだけを話すようにしよう。嘘をついてはいけないし、見栄をはってはいけない。そういった事は検索があるインターネット上の世界ではすぐに露呈してしまう。
★情報を使う場合
・Twitter関連ツール以外にも、ブログ検索ツールや、はてなブックマーク、Feedburner等、情報を取得できる方法は多いです。無料のツールも活用し、まずは自分たちの会社やサービスについてよく言及されている場所を見つけてみましょう。
・あなたのサービスについて語っているユーザーを自社サイトに集めることも大切ですが、まずはユーザーが集まっている場所に自分たちが行く事が大丈夫です。その場所とは、MIXIからもしれない、Twitterかもしれない、Yahoo!知恵袋かもしれない、はたまたモバゲーかもしれない。
・ユーザーの情報をそのまま鵜呑みにしてはいけない。Amazonのレビューのように一つのコメントが大勢の購買に影響を与えることもあるが、企業の判断は一つのコメントでのビジネス判断をしないように気をつけよう。あまり過敏になる事も良くない。
・影響力がある人は積極的に活用しよう。もし悲しいことにあなたの企業やサービスのアンチサイトがある場合は、逆にそういったユーザーの意識を変えられれば大きな成果を得られる。
・アクセス解析と同じで時系列での分析が必要。定期的に情報を取得する仕組みやフローを確立し計画を立てて情報収集と分析をおこなおう。
・定量的な情報と定性的な情報をあわせて報告しよう。その際、自分好みの情報を取捨選択しないようにするようにこころがけよう。
3)本来、SNSサイトやSNSユーザーをどのような指標で分析するべきか
現在、外部のサイトから取得できる情報は非常に限られています。更にアクセス解析との紐付けも非常に限られており、せいぜいリファラー情報くらいしか取得出来ていません。では、今の仕様を忘れたとして、好きな情報が入手できるのであれば、どういう情報を入手したいか?を考えてみました。
またあわせて、ユーザーの声の入手場所もリストアップ。これらの情報は、1か月ほど前にディスカッションをする機会があり、その情報を元に自分でも追加をしています。
★入手したい情報
●コメントを書いている人の個人属性
年齢・性別・趣味・地理情報・職種・年収・購買したいもの・興味があるジャンル
●コメントを書いている人の影響力
フォロワー数(例:マイミク数)・サイトやサービスへのアクセス数・書き込みあたりの閲覧数・信頼度・活用年数・記事数・得意なジャンル・コメントの内容そのもの・記載コメントに対する言及数やはてなブックマーク・トラックバック数・コメント数・GoogleRank
●サイトへの影響
総客数・直帰率・その後リピートする数・コンバージョンレート・記載コメントが言及されたサイトからの流入数・流入者の属性
●ブランディング
好意的なコメント・否定的なコメント・与えた感情・その後の行動
★データソース(上記の情報(の一部でも)入手できる場所)
・SNSサイト(MIXIからTwitterまで広義な意味で)
・ブログ
・掲示板
・チャット
・グループインタビュー
・検索エンジン
・ログ解析データ・サイト内検索ワード
・パネルデータ(VRIやNetRatings等)
・企業内で持っている各種オフラインデータ
・サポートへの問い合わせ
・ユーザーからの投書や意見
上記以外にも必要な項目やデータソースはあるかと思いますが、いったん主要な物を洗い出してみました。
これら情報をどうやって入手できるのか?現実的ではないものも多く含まれています。こういったユーザーの情報を持っている企業からより多くの情報を出してもらう必要があり、相互努力によりそれを実現させる事を模索出来ればと思っています。既に一部の情報はAPIの公開などによって取得可能となっている物もあります。
情報を出してもらうためには、それら会社に対してお金を提供している、広告主から要望していくのも一つの方法でしょう。広告出稿が厳しい昨今、最適な媒体への広告出稿を行うには、サービスやサイト側がより情報を提供することによって、「届けたい層に正しい情報を届ける」ことができるようになり、CPAが下がり更なる広告出稿につながるかと思います。
媒体側はメディアシートで自分のサイトの特徴をアピールしていますが、多くのサイトがPVと簡単な属性程度にとどまっています。もっと詳細な属性を広告主に提供する事によってWin-Winの関係が気付けたらな〜と思ったりします。
また、アクセス会社もできることは多々あると思います。他の企業のログを見せてくれ!とまではいわないものの、同業種のトレンドであったり平均値を公開してくれる事によって比較出来たりすると参考になるのではないでしょうか。こちらに関してはGoogle Analyticsでは一部データを提供してくれているものの、現状の形だと活用までは難しいかと思います。アクセス解析ツールとそれ以外のツールとの連携(いわゆるBIツールであったり、オムニチュア社のGenesisであったり)は、より最適な情報活用と収集のために求められていくのではないでしょうか。
4)SNS解析の課題
前項目で記載した課題が、解析のためには一番大きな課題かと。情報の入手方法と統合方法。これらは、すぐには解決できない問題ですが、将来的には解決が必要な問題だという風に認識しています。
それ以外にある課題としては「指標がまだはっきりと定義されていない」ことも大きな課題でしょう。閲覧者の感情の好悪をどう数値化するのか?どれくらい買う気になっているかを何をもって把握するのか?ここ数年議論されている内容ですが、明確な結論はまだ出ていません。今後も答えを出すのは非常に難しいでしょう。
解析の観点からちょっと離れると、ユーザーのこういった声をどういった基準で信頼し、それを投資判断に活かすのか?コメントを書いたユーザーの数とコメント数だけで判断していいのか?もしその場合でも、「何件」あったら検討するべきなのか?こういった指標もなかったりします。
SNSの解析と活用というジャンルは、まだトライ&エラーの段階にあります。しかし「いくつかのツールやサービスが開始しており、SNSの利用は今後もまだ伸びること」そして「ユーザーの声はそういった場所に一番多く存在している」事を考えると、今後の進化は必ず起こるでしょうし、それに期待したいところです。