おでん文庫の本棚

大人もこどももみんなで味わう児童文学をご紹介

10代で読みたかった本

 こんにちは!最近、マイペースがたたって今日も書くのが真夜中に…。ブログを書くときの視界の癒しにポケモンのヌオーのぬいぐるみを置いているのですが、ちょっと足場が悪いせいでのけぞっていて、あごしかみえない。でもそんなアングルもいとかわゆです。

 

 さてさて、本日紹介するのは久しぶりにおでん文庫の本棚に置いているこちらの本です。

 『ペーパーボーイ』

  ヴィンス・ヴォーター 作 原田 勝 訳

 

 岩波文庫から出ている、10代からの海外文学シリーズ〈STAMP BOOKS〉の中にある一冊です。たまたま手に取った『ペーパーボーイ』にジーンときて、STAMP BOOKSのその他の本を読んでみようと思っていたのがそのままに、時間がそれなりに過ぎてしまったことを、ここで書きながら思い出しては苦い気持ちになるわけですが…。それにしても、10代に向けた本というのを大人になってから、しかもここ数年で読むようになったのですが、読みたい気持ちがあると同時に、読むのを躊躇する気持ちが湧いてきてしまうところがあります。

 

 ここ数年、児童文学の本をよく読むようになった頃、10代を対象とした物語だと意識して最初に手に取ったのが『コービーの海』という本でした。

suzuki-syuppan.com

 

 きれいな海の色をした表紙にイルカと女の子が親しく触れ合っている様子の絵が印象的で、動物との交流がある物語なら楽しく読めるのではないかという、それくらいの気持ちで読み始めています。このとき、10代向けというのがどういう意味を持つのか全く当てが無かったので、表紙に興味を持った割に自分はすぐに気がついたのかどうか、今では忘れてしまいましたが、この女の子の足をよく見ると片足が義足です。物語を最後まで読み切りましたが、自分が楽しむための読書を求めていたのが実際に読んでみたら想像していたよりハードだった(自分の一方的な思い違いです)ことに軽い衝撃を受けたのでした。これが10代の読み物かと。

 

 そもそも10代といえば、思春期であったり、多感なお年頃とも言われる年代になりますが、その当時は何をもってそう言うのかがよく分からず、実態を自分で掴めていたかというとそうでもなかったです。それが10代向けの本を読んでいて、もしやと思い当たることがいくつか出てきたのでした。その中で今回挙げたいのが、10代というのは、自分を取り巻く環境や人というのを、よく見ているということです。社会の中での自分の立ち位置を意識し始めるような気がします。

 

 立ち位置というのは地位だとかお金持ちだとか、そういった上と下の話ではなくて、家族、友達、学校の先生、近所の人のいった人の輪があって、そこに自分が属しているという認識です。本を読んでいると、もう少し年齢が下がった物語を読んでいると、主人公が中心に据えられて物語が進行していくように感じるのですが、10代となると、主人公を取り巻く人たちの存在は欠かせないように思えてきます。

 

 以前ブログでも紹介をした『つるばら村のパン屋さん』あったり、『小さな山神スズナ姫』などは、主人公の行動や考えなどが物語を動かしていくのが主体のように思い、主人公と一緒に面白楽しく、もしくはドキドキひやひやだったり、涙しながら、さまざまな物語を体験していく。これが10代向けとなると、主人公を取り巻く人物たちというのが重要になっていくのではないかと思います。

 

 例えば、家族の話。身近な存在だからこそ、ときには疎ましく思うことや気恥ずかしい気持ちになることが自分はありました。嬉しい楽しい大好き!みたいな、単純な感情で表せるものでなくなってくるし、更には親の人間関係にも目がいってそれでまた考えさせられることも。人のことを見るようになって単純ではない感情を知り、人を見る目もできてきて、大げさに言うと、例えば、いいやつ、わるいやつといった判断みたいなものも自分の中でなんとなく出来上がっていきますよね。

 

 ただ、ここでは、善悪を決めつけるという話ではなくて、人の発言や行動によって、自分の足元がぐらついたり、もしくは固まっていくようなことがあることを言いたいと思います。私はこの人によって足元がぐらつく部分と固める部分の両方が物語で描かれていることに意味があると思っています。冒頭に読むのを躊躇う、と書いたのがこの足元がぐらつく部分を読んでいるときで、苦しいのですが、読み終えたころには自分の弱気よりも強気が奮い立たされるような気持ちになります。10代のころに知りたかったと猛烈に思う…けれども、今から読んだって遅くはないのだという実感もあります。

 

 今回紹介する本も、良くも悪くもさまざまな人との関係が描かれている中で、主人公がどんな風に感じたのかを知ることができます。そして、物語の中に出てくる大人の存在意義とは何なのか…

 

 と、本当は今回、物語に登場する大人の話をしようと思ったのですが、長くなりそうなのでそれは次回書くかも?ちょっと自信が無くてすみません。ではでは次回もどうぞよろしくお願いいたします。

 

---

 

おでん文庫の活動を応援していただけたら嬉しいです!

↓↓↓

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ