英語公用語化についてのまとめと、私見 | フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記

英語公用語化についてのまとめと、私見

ユニクロ・楽天が、英語の公用語化を発表した。
柳井正会長兼社長は毎日新聞の取材に「日本の会社が世界企業として生き残るため」と語った。
三木谷浩史・楽天会長兼社長――英語化をやる


なぜ英語公用語化というと、グローバル市場で成功するのに役立つからだ。

例えば、人材確保ができる。
日本語が公用語のままでは、海外からの一流人材は集まらない。
日本人が英語をしゃべれるようになれば、海外の人も日本で働きやすくなる。

また、マネジメントの効率も上がる。
新興国の支社のガバナンスを考えても、本社の経営陣が当然のように英語で話せることは重要
企業集団としての一体性を保持するため「社内公用語」で文書や話語を一本化することは確かに合理的

優れた新商品・サービスも期待できる。
グローバルにコミュニケーションできるといろんなノウハウを吸収できる。なぜ楽天が強いかというと、僕が世界中の成功例にアクセスして、いいアイデアを見つけてくるから。
(英語が重要になるのは)一般的に日本企業が不得意といわれているプロダクトとサービスを結びつける部分、特に開発者間のエコシステムを作る部分なのではないか。


一方、英語公用語化はデメリットが大きい、という批判もある。

仕事の業務の効率性が落ちるかもしれない。
社内でのブレストなどまで母語で無い言語でコミュニケーションを行うことで思考能力までが圧倒的に下がる
役 員会や経営会議は、会話もすべて英語。ウチの日本法人は、外国人の役員がひとりもいないのに

優秀な人材がむしろ確保しづらくなる、という声もある。
優秀な日本人の人材をそこまでして呼び込むことが出来るのか。
(優秀な人材が)逆に出て行く可能性も高くなります。
英語ができるだけで仕事はまったくできない人間が跋扈するようになる


そもそも、英語公用語化とは何だろうか。

まず、何をもって公用語かという点について、判断基準が別れている。
日本のオフィスも含めて、幹部による会議や文書は基本的に英語とする
日本語禁止、日本語狩りではありません。日本人の開発メンバーどおしでブレストするときは日本語でやればいいんです。
たとえばフランス語はカナダの公用語のひとつですが、カナダでフランス語の使用が強制されているわけではありません

また、英語での業務遂行を確実なものとするために、TOEIC目標が必然的に付随する、というのも特徴だ。
新卒採用者の場合、入社3年目程度でTOEICのスコア600点以上、管理職級で700点、執行役員候補級では750点以上が求められる。
サムスンの新入社員には、TOEICが900点以上を課しています
韓国では大企業に就職するのにTOEIC900点が必要とされる



どうやら、英語公用語化が良い・悪い、については、下記の基準が重要なポイントになりそうだ。

(1) デメリットをもたらさないよう、ルールを設定・順守できるか
(英語は道具でしかないので、) 「道具を使ってやる仕事の完遂」が「道具運用技術の巧拙」よりも優先する(というルールが必要)

(2) 目指す英語レベルを明確にできるか
共通語としての英語では、最低限度の意思疎通ができれば十分
例えばスティーブ・ジョブズの経営者としてのカリスマを支えているのは、まぎれもなく彼の言葉の力だ。しかし仮にジョブズと同レベルの才能を持つ日本人経営者がいたとして、英語を用いてその才能をジョブズ並に発揮するのはまず不可能だ。ジョブズが英語でやってるのと同レベルの仕事を日本語ではできないのと同じように

(3) グローバル化に適した人事制度改革を同時に進められるか
やるべきは「多様性を認める」こと
ザンギョウやカロウシはそのまま言葉が輸出されるほど海外の人にとっては想像もつかない状態
国籍、性別、年齢、雇用形態を問わず同じ仕事なら同じ報酬でなければならない。
楽天の役員構成は20人中20人が日本人ですし、ファーストリテイリングも10人中10人が日本人


以上は、これまでのウェブ記事のまとめ。 
以下は、僕の私見。



ユニクロのやり方は、特に(3)について、一歩進んでいるように思う。
幹部社員の賃金体系も世界で統一し、店長クラスの海外異動を日常化させる。新卒採用も外国人を増やし、11年入社は600人の半数、12年は1000人の3分の2、13年は1500人の4分の3を外国人にする計画だ。

また、楽天の(2)はかなり明確だと思う。
2 年間は猶予を与える。2年後に英語ができない執行役員はみんなクビです。


おそらく、(1)~(3)をそつなくこなすことが重要だと思われる。



ところで、日本人の英語能力の低さは、先生の質の低さが根本的な問題、という話もある。
英語の教員の養成方法に問題があって、英語を使える教員(大学の教員も含めて)が非常に少ないということが最大の問題
い ちばん重要なのは、中学校の英語の先生をみな外国人か本当にペラペラしゃべれる人に替えること。

だが、これは間違っていると思う。

   効果 = 質 × 量

問題になっているのは、勉強方法という質ではなく、絶対的な学習量だ。
学校英語教育だけでは、それがどんなにまともなものであっても、TOEICで500点切っていて当たり前である。
TOEICスコア を100点伸ばすには、ネイティブスピーカーによる英会話研修で300時間前後かかる
日本人が英語を習得(日常生活に不自由しないレベル)する場合はこの資料をもとにすると、少なくとも3000時間以上の学習が必要。
日本人は、中学から大学卒業までに、実質1000時間程度の学校英語教育を受けている


つまり、日本人が英語能力を伸ばすためには、選択肢は2つしかない。

・学校教育の中で、英語の時間を倍以上にする (国語・算数・理科・社会の時間を半分になる?)
・学校教育以外の方法で、英語を勉強する。


では、学校教育以外で英語勉強量を確保するにはどうしたらいいか?
それを徹底的に考えて、レアジョブをつくった。

・安いから続く (25分129円~の英会話レッスン
・楽しいから続く (全てのレッスンを外国人とのマンツーマン
・手軽だから続く (平日深夜や土日にご自宅でレッスン。5分前まで予約可能


「日本人の英語能力を底上げできるか?」

これが、レアジョブが取り組んでいる課題だ。
1000人以上の講師をはじめとして、
マッキンゼーBCGやリクルートなど を出身とするスタッフが、日夜取り組んでいる。

個人向けサービス では累計受講者数3万人を突破した。
法人向けサービス も好調だ。

日本を変えていきたいと思っている。