昨年末に、2021年のSEOを振り返るとして記事を投稿しました。
ここで、「ホスト貸し・サブディレクトリ貸しの横行」について触れました。
ここ数日Twitterを中心にこのホスト貸しビジネスについての議論が起こりました。
(その中には私自身反省というか考えさせられることもありました。。)
ただ今日はここで特定の事業者に対して何かを言おうとは思いません。その事業者がホスト貸しをしていたり仲介していたりする証拠を私自身は持っていませんし、仮に持っていたとしてもSEO業界の人間が特定事業者ばかりをたたくことは、叩かれない他の事業者を喜ばせてより一層地下に潜らせる恐れがあると考えているためです。(抑止力になるかもしれませんが)
自分自身含めてリンクスパムをやっていたSEO事業者が「リンクやっています!」と表で一切言わないばかりか外部登壇など目立つことを嫌がっていたのを思い出します。
ただ、今回この問題をSEO業界以外から提起していただいたのは非常にありがたく思いますし、SEO事業者以外の方なら特定の事業者の名前を出されるのもやむを得ないというか全然問題ないと思います。
ホスト貸しは借り手だけでなく貸し手にもリスクが?
さて、前置きが長くなりましたがサイト・ホストの貸し借り、サブディレクトリの貸し借り、いわゆる寄生サイト(以下ホスト貸し)は本当におすすめできません。
いままでは正直なところ最後の賭けでやってしまうところがあっても仕方ない部分があるかもしれないと若干許容する気持ちもあったのですが、先日のGoogleのSeptember 2022 Core Update によって、ホスト貸しは本当におすすめできなくなりました。(
正直借りる側は上がらないことも多々あるし、上がっていても落ちることもあるという以外たいしたリスクはないのかもしれません。貸してくれるところを求めて移転を繰り返せばよいのかもしれませんし・・・
一方で貸し手側はこのコアアップデート実際はその前のアップデートから傾向は見られていると思いますが)によって局面が変わったと思います。比較的多くの借り手が下落するという現象が起きるとともに複数の貸し手側が下落する現象が確認できています。
もちろんコアアップデート中に起こったことなので、100%サブディレクトリを貸していることが原因とは言えませんし統計学的にどうなのかと言われると、そんなに母数がないのでなんとも言えませんが、辻さんもTwitterでおっしゃっていましたが私もサブディレクトリ貸しが下落の原因だと思われる事象を複数確認しています。
参考までにこちらのデータとグラフをご覧ください。
ホスト貸しをしている56サイトについて9月のコアアップデートでの上昇、下落の前後比較をしています。
上昇 | 3 | 5.4% |
やや上昇 | 4 | 7.1% |
変化なし | 28 | 50.0% |
やや下落 | 5 | 8.9% |
下落 | 16 | 28.6% |
全体 | 56 | 100.0% |
変化なしが最も多かったものの上昇に比べて下落がかなり多いところは気になります。
ただ、今回のアップデートはホスト貸しにおける"借りているサブディレクトリ"、要は寄生部分だけが落ちているケースはかなり目立ちましたので必然的なものだとは思います。
そこで、これらの中でいくつかのサイトにおいて寄生部分を除いた"純サイト"部分だけがどうなっているかを調べてみました。
こちらは某メディアです。かなりトラフィックのあるサイトでサブディレクトリは落ちているもの、落ちていないものがありましたがそれ以外の部分も普通ではなかなか見ないレベルでの大幅下落となっていました。
最近よく問題になる医院・クリニックのサイトのサブディレクトリを貸しているパターンです。
5月の下落が壮絶すぎますので今回も単純なコアアップデートの影響かもしれませんが、下がっていることに変わりはありません。サブディレクトリにノイズコンテンツが入ることで専門性が下がってしまうことだってないとは言い切れないように思います。
ややエンタメ寄りのメディアです。こちらも大幅に下落しています。
今回のコアップデートで下落するような理由が特段見当たらないようなサイトです。
某ニュースサイトです。ニュースも一部サイト上下動しているので単純な普通のコアアップデート影響である可能性はありますが大幅に下落しています。
数は少ないですが、大幅下落しているところはどうやらサブディレクトリだけが落ちているわけではないように思われます。
因果と相関の話と同じで、貸しているものが引っ張ったのか借りているものが引っ張ったのかはわかりませんが。
ただ、繰り返しになりますが、サブディレクトリを貸しているサイト全体が下落している率が比較的高いことと、その他の下落サイトと比較して下落要因が見当たらないのに落ちているサブディレクトリ貸ししているサイトが複数あったことは事実です。
個人的に今はサブディレクトリを貸しているサイト、すなわちホスト貸しをしているサイト、貸し手側が落ちる可能性が十分にあると考えています。
これはペナルティ的なものかもしれませんし、ホスト全体のトピック性の問題かもしれません。
サイト全体が特定のトピックを持っている場合に、サブディレクトリにそのトピックと関係のないトピックが入ってくることによって、トピック性がぶれてしまうのではなかとも思います。
いずれにしても、リンクスパムで被リンクを受けている側だけでなく発リンクしている側にもリスクがあるように、ホスト貸しにおいてはすでに貸し手にも、というか貸し手にこそ大きなランク下落のリスクが伴うと考えていたほうが良いと思います。
サブディレクトリが検索されても本サイトのサイト名が表示
さらに、先日よりモバイルの検索でサイト名が表示されるようになっています。
ホスト貸しをしていると、貸しているサブディレクトリ部分が検索されても貸し手側のサイト名が表示されます。
検索者からすると誤って過度にその情報を信頼してしまう可能性があることが懸念されますが、ホスト・サブディレクトリの貸し手からしたら、「病院なのに比較コンテンツなんてやってるのか・・」とか「保険会社なのにクレジットカードの比較コンテンツなんてやってるのか」とか検索者に違和感を持たれる可能性があります。大袈裟に言えばブランド毀損につながる可能性があると思います。
まとめ
現時点でホスト貸しにおいて
・サブディレクトリ配下を貸している側が落ちる可能性が出てきた
・サブディレクトリ配下が検索されても貸し手のサイト名が出ることでブランド毀損する可能性が出てきた
ということが言えます。
さらっと書きましたが、これは非常に危険なことだと思います。
「手間なくレベニューシェアで収益が得られます」
のような謳い文句で営業してくる仲介業者がたくさんあるはずです。
手間なく収益が得られることにリスクがないと思いますか?
そんなリスクまで犯してホスト・サブディレクトリを貸しますか?
この記事を書いた理由は、「借りる側」と「仲介業者」にとってはおいしすぎてきっと”変わらない”と思ったからです。
彼らが変わらざるを得なくなるようなGoogleの大きな変化もあるとしても少し先になるかと思います。
なので、結局最後に一番損をする「貸す側」の方にこのリスクの認識が広がってくれればと思います。
P.S.
どこまでがホスト貸しなのか?は私もよくわかりません。
コーポーレートサイト含め自社運営のサイトの下はOKなのか?
それともトピックが違ったらダメなのか?
そのあたりの問題は難しくて私も何が正解なのかわかっていません。
ただ、第三者にサブディレクトリを貸してしまう行為はリスクが高すぎると思います。
木村 賢 (Twitter:@kimuyan)