ASMR 機材備忘録 (2024年)

長年 ASMR 機材の情報交換等ができたらいいなぁと思ってまして。

いろいろワイヤレス環境を整えて聴いてみたのもあって、 まずは自分の体験から始めようかなと。

有線

まず、ワイヤレスという話をする前に、有線の話をしておくべきかと思い。

そもそも、私見ながら、音質を重視するなら有線の方がいいと未だに思っています。 また、 ASMR を聴く場合に外出中というケースは少ないでしょうし、 有線でも問題ないだろうという意見もあるかもしれません。

一方で、 ASMR 体験上では、有線のケーブルすら煩わしいのも確かでしょう。 耳かきなんかでも、膝枕を想定して 「じゃあ今度こっち向いてね」とか言われることもよくあります。 「じゃあ寝返りを打とうか」というときに、コードが絡まったり、 スマホがコードに引っ張られて身体の下に動いたり、 最悪抜けたりする、と。

加えて、 PC に接続するならともかく、 最近のスマートフォンやタブレットにはそもそも端子がついていないものも少なくありません。 また、 PC から線を引っ張ってくるのだとしても、 睡眠誘導に ASMR を聴くのに、ベッドまで伸ばせる環境があるか、という話もあり。 もちろん、スマホの充電ポートもとい USB ポートに刺して使える変換ケーブルなんかもありますが、 大体の場合充電ができなくなります。 じゃあ充電ポート一体のものを使えばいいかというと、ただでさえイヤホンのケーブルが絡まるのに、 充電ケーブルまで絡まるのは許容しづらいものがあります。

更に言えば、イヤホンのサイズも大きい。 これは他のワイヤレスイヤホンにも共通しますが、 寝ながら聴く場合、多少でも横向きの姿勢を取りたいと思っても、 耳が圧迫されてしまいます。 まぁ、直立姿勢で使うことが想定されているでしょうから、 普通はそこまで極端な小ささは求められないでしょうし、当然と言えば当然ですね。

オーディオレシーバー

別解として、 Bluetooth オーディオレシーバーを使うという方法があります。 個人的な経験としては、これは案外良いものでして、あまり音質劣化を感じません。 より正確に言えば、ワイヤレスイヤホンの性能よりも、 オーディオレシーバー+有線イヤホンの方が音質が良いと感じます。

具体的には、前まで JPRiDE JPT1 というのを使っていました。 あくまで ASMR 用とは断っておきますと、 これと、例えば final の E500 と組み合わせると、 Sony の WF-1000XM5 に勝るとも劣らない音に感じられます。

安い点も魅力で、オーディオレシーバーと合わせても COTSUBU の半額くらいで揃えられます。 *1

難点を上げるなら、有線イヤホンと同様の煩わしさと、 後は充電の問題でしょうか。

基本的には、オーディオレシーバーは使いながら充電ができません、というより、しません。 特に ASMR 視聴の場合、スマホから伸びる線が鬱陶しかったというのに、 それをコンセントなり充電器とつなぐとなれば本末点灯です。

加えて、充電し忘れも起きやすいイメージです。 使っていないときに充電すればいい話なのですが、 ワイヤレスイヤホンは使わないときにはケースに戻す意識が強い一方、 オーディオレシーバ―を充電ケーブルに挿し直す意識は弱くなりがちです。 そうして放置した結果、いつの間にか充電切れになっていることもしばしば。 まぁ、これは慣れの問題ですね。

後、先に「前まで JPRiDE JPT1 というのを使っていました」と言った通り、 機材的な問題で今は使っていません。 というのも、稀に非常に不快なブツブツ音が入るからです。 これが不快すぎてしばらくオーディオレシーバーという 選択肢に見向きもしなくなっていました。

しかしながら、別の事情で Fiio BTR15 を入手したこともあり、今では見直しています。 先述のものよりかなり高額ではありますが、 不快な音がすることもなく高音質になり、そこそこ満足しています。 今回の記事もその購入がきっかけだったりと。

話が逸れましたが、結論として、 休憩中にしろ作業中にしろ、寝ていないときに使うならいい選択肢なのですが、 睡眠中には合っていないように思います。

ワイヤレスイヤホン

では、本題のワイヤレスイヤホンについて。 ここまでの話を読んだ人なら、 「要は最低音質の機材だろ」という感想を抱かれているかもしれませんが。

実際、何か語れるほどの機種を持っている訳ではありません。 私が持っているものでまともなのは、 COTSUBU、 COTSUBU for ASMR *2、 SONY の WF-1000XM5 くらいです。 正確にはもう少し古いのもいくつかありますが、 そもそも音質的に納得できない時代の産物なので触れません。 *3

COTSUBU はいずれも ASMR 用としては十分な性能です。 また、何よりもその名前の通り小さいのが特徴で、 横向きになって枕に押し付けられようが圧迫感を感じません。 もちろん、全くないわけではありませんが、視聴・睡眠の支障になる程ではなりません。

一方、 WF-1000XM5 はノイズキャンセリング性能が高く、 また、音楽を聴く場合は (ワイヤレスイヤホンとしては) 高音質、というのが特徴です。 ただ、 ASMR 体験という意味では、 COTSUBU に劣ると感じられました。 それはサイズが大きいというだけでなく、音質の面においても。

お得意のノイズキャンセリング機能も、 電車の音はもちろん、店内の雑踏レベルでも完全に搔き消せる訳ではないので、 外出時に ASMR を聴けるようになるという訳でもありません *4。 いやまぁ、聴くだけならできるでしょうが、 もともと静かな場所で聴くのでなければ、 良い体験にはならないでしょう。

少なくとも私としては、ノイズキャンセリング性能に限界を感じますので、 結局 ASMR には静かな室内が求められます。 それなら COTSUBU でいい、と思います。 *5

他の同価格帯のワイヤレスイヤホンは試せていませんが、 恐らく同じような性能なのかなぁと思っています。 使ったことはありませんが、多分 final の ZE8000 MK2 とかも、 紹介文を読む限りは音楽用っぽいですし、 ASMR 向きではないのかなぁ、と (情報提供求む)。

トランスミッター

いやいや、でも、私がワイヤレスの実力を出し切れていないだけかもしれません。

ここまで言っておきながら、私は iPhone にスマホ環境を汚染されてから長らく、 高音質配信ができるワイヤレスデバイスを持っていません。 PC なんか TP-link アダプタで Bluetooth させていて、1000円ほどしかしません。

というわけで、 FiiO BTA30Pro を試してみました *6。 これは LDAC (Sony 専用のハイレゾ音源を再生可能な Bluetooth 用コーデック) を扱える Bluetooth トランスミッターです。 これを使って PC からの音を高音質で飛ばして、 同じく Sony 製の WF-1000XM5 で聴けば、 高品質な体験ができること間違いなし、と。

……と、思っていた時期が私にも(ry

結論から言うと、 ASMR 向けの環境ではありませんでした。

ASMR 音源には、 WAV と MP3、後は YouTube 再生やら DLsite プレーヤー等があると思います。 当然ながらハイレゾ体験をしようと思うなら、少なくとも WAV 音源が必要かと思われます。 YouTube ならともかく DLsite 音源とかなら普通にありますので、 そういうので聴いてはみました。

ですが、何音源だろうと、軒並み変わって聴こえない、というのが私の感想です。 その辺りは耳が腐ってると揶揄されても仕方ないかもしれません。

そもそも ASMR ではなく楽曲を聴く場合でも、 WAV と MP3 はあまり変わらず、 LDAC だろうが iPhone 接続だろうがただの Bluetooth ドングル接続だろうが、 品質が変わらないと感じるほどには耳g(ry

流石に YouTube で言うところの最低音質レベルだと違いが分かりますし、 ハイレゾの、それも 96 KHz 以上の音源を LDAC で聴くとはっきりと違いが分かります。 ただ、 48 KHz の WAV 音源では、個人的にはあまり差が分かりませんでした。 そして、 DLsite でも 96 KHz のハイレゾ音源を出してる作品は寡聞にして知りません。

ということで、安くはない買い物だったものの、 ハイレゾ音源を集めている訳でもない私にとっては宝の持ち腐れという感じでした。 *7

結論

結論として、音質順としては、以下のようなイメージを持っています。

  • 再生機器 → プラグ → 有線イヤホン
  • 再生機器 → Bluetooth → レシーバー → 有線イヤホン
  • 再生機器 → Bluetooth → ワイヤレスイヤホン

音質重視ならこの順で機材を揃えるのが良いように思います。

ワイヤレスイヤホンが良い場合は、 COTSUBU がいい、もしくは、 COTSUBU で十分かと思います。

WF-1000XM5 は、 ASMR 体験用としてはオーバースペックですし、 おそらくそれ以外の音質重視系のワイヤレスイヤホンも同じようなものかと 勝手に思っています (私見も私見)。 もちろん、「私は音楽も聴くし通勤通学中にも使うからノイキャンも要る」という人には 適した性能だとは思いますが。

他のイヤホン・ヘッドホン

ここからは余談です。

WF-1000XM5 の他にも、 とにかく音質重視でヘッドホンやらイヤホンやらを買ってみた時期があって、 高額なものも含めて無駄に何種類か持っています。 *8

ほぼすべて座りながら等でしか使えませんが、 それらの ASMR 適正について簡単にまとめておこうと思います (アンプもありますが、正直勧められただけで詳しくないので扱いません。 ワイヤレスイヤホンには使えませんし)。

もちろん音響知識なんかないので、ふわっとした個人的な感想になります。

いろいろ眺めると、 ASMR 向けのイヤホン・ヘッドホンの紹介は結構あります。 でも、そうでもないイヤホン・ヘッドホンを使ったときにどんな風になるかについて知りたい、 という人も居るんじゃないかと思います。 というか、私が、高額なイヤホン・ヘッドホンが用をなすのかとか、 音楽と ASMR の両立ができるのか等々、知りたいなと思っているので。

ということで、いろいろと聴いてみた結果を情報共有しようと思います。 *9

AONIC 5 / SHURE

かなり買うのに勇気がいったやつですね。 買った当時はそこそこ最新のやつだったと思います (もちろんもっと高額なものもありましたが)。

これだけ高額なイヤホンだと、音楽はもちろん、 ASMR でもさすがに final の E500 や COTSUBU よりは良い音がします。 ただ、高音を再現しすぎているのか、耳かき音等が耳に刺さる音に聴こえることがあるのが玉に瑕。

また、明らかに違いが感じられるとはいえ、劇的に変わるというほどでもありません。 そういう意味で、 ASMR 専用イヤホンの凄さが伺えます。

実のところこれのワイヤレス化デバイスも持っていますが、 これも早すぎた産物ですね……。

MDR-27M2 / SONY

買うのに勇k(ry

でかくて高額なヘッドホンの割に、挿し口がミニプラグで使いまわしがいいヘッドホンです (最悪な紹介)。

音楽体験は素晴らしいの一言。 ハイレゾ向けを謡っているだけあってその辺りはかなり高音質です。

一方、ヘッドホンということもあり、 ASMR 向けかというと微妙です。 音質が悪いという訳では決してないですし、 環境音や肩たたきみたいな比較的距離のあるものには、悪くないかなと思います。

しかしながら、耳や頭に密着して音を出すようなケースではどうしても距離を感じてしまいます。 その辺は ASMR 向けイヤホン、というより、カナル型イヤホン全般に負けると思います。

ATH-EW9 / audio-technica

今となっては珍しい (?) 耳掛け式オンイヤーヘッドホン *10 です。 ウッドモデルという点でも珍しいですね。 ケーブルが短いのが玉に瑕。

音楽を聴いてみると、先の AONIC 5 や MDR-27M2 が 忠実な音再現ができていると感じる一方で、 こちらはなんか良い感じに色付けされて聴こえる、という感じです。 響きが良いというか、ノリが良いというか……、 まぁ表現力がないので雑な感想で勘弁してください。

これは ASMR でも同じで、正直 ASMR に関しては 先の 2つより響きが良いと感じることすらあります。 ただ、やはりオンイヤーなので、密着した音には向いていません。 耳掛け式ですが、バンドか何かで耳に押し付けたらもっと良くなるかもしれません (頭が痛くなりそうですが)。

Bose Noise Cancelling Headphones 700 / BOSE

結構ワイヤレスイヤホン・ヘッドホンの黎明期に出てきたヘッドホンの一つというイメージ。 今だともっと高性能なモデルが出てると思います。 公式 HP だと販売終了とか出てますし。

BOSE ということもあって低音が凄いでして、よく言われる「ボンボン」というのを感じます。 同じ曲を聴いても全く別の印象を持てるくらいの響き具合。 だからといって不自然に聴こえるという訳ではない辺り、技術の粋を感じます。

ASMR でも低音の強調ぶりを感じます。 「ASMR で低音ってなんだよ」と思うかもしれませんが、 例えば囁きや吐息の微妙な余韻とか、動いたときに布や肌が擦れる音とか、 そういう微妙な所作が強調される感じでしょうか。

ただ、環境音やホワイトノイズがある ASMR だと、 それが強調されてしまって聴きづらい印象もありました。

密着感は他のヘッドホンよりは強いと思います。 ただ、耳かきレベルの「耳の中の音」までの近接感は再現できないと感じます。

ATH-W1000 / audio-technica

  • 公式 HP: もうない
  • 価格帯: おぼえてない (数万円くらい?)
  • 形状: 有線・密閉型ヘッドホン

ATH-EW9 が大きくなったような、ウッドモデルのヘッドホン。

あまりにも昔に買ったので色々と覚えていません。 何なら検索しても HP が出てきません。 全く参考にならなさそうですが、大事に使ってるものでもあるので、 一応評価しておこうと思います。

古い機種だからか、そもそも古くなっているからかもしれませんが、音楽的な性能は低め。 正確には、楽器の音はよく響きますが、ボーカルが弱め。

ASMR 向けかというと、例によって密着した音には弱め。 一方、遠い音については聴き劣りしないように思います。 何なら、同じヘッドホンの MDR-27M2 よりは距離を近くに感じる印象 (距離の表現力が小さいだけかもしれませんが)。

OPENFIT / SHOKZ

  • 公式 HP: https://jp.shokz.com/products/openfit
  • 価格帯: 2万円前後
  • 形状: 無線・オープンイヤーイヤホン

無線のオープンイヤーイヤホン *11

音楽としては、高価格帯のものには劣るとしても、高音質に聴こえます。 オープンイヤーということもあって響きは良いように感じますが、 音源に忠実というよりは、少し色付けされている感じ。 他のイヤホン・ヘッドホンと比べると、音になんか違和感を感じる、というか *12。 そのせいか、少し聴き疲れしやすい気もします。

閑話休題。

ASMR 向けとしては、思いの外性能が高いと感じます。 音楽向けとしては少し残念な評価をしましたが、 ASMR なら音の響きは普通に良いかなと。 更に、オープンイヤーなのに、距離がある音の立体感があるのはもちろん、 密着した音でもそこそこちゃんと密着して聴こえる感じがします。 さすがに耳かき等はちょっと厳しいですが。

ただ、サイズが大きいのと、外音を拾うというので、使う場面は限られるでしょう。 加えて言えば、音漏れも凄いです。一人で散歩なりランニングなりするだけならともかく、 人混みの中や、室内でも人が近くにいるところで使うのはお勧めしません。 *13

総評

まぁ当たり前といえば当たり前なのですが、 どれだけ高級なヘッドホンでも、 ASMR 向けという意味ではカナルイヤホンに負ける、という印象です。

また、高額すぎる (音楽向けの) イヤホンは、 確かに音質は上がるのですが、 ASMR の尖った音を強く再現しすぎるのかもしれない、という感想を抱きました。 コスパで考えるなら、無理に高いのを探し回るよりは、 E500 でも十分じゃないかな、という気も。

ワイヤレスは先述の通り COTSUBU がいいかな、と。 次の候補としては、もう先行予約は終了しましたが、 年末の ZE500 for ASMR に期待かなと思っています。 *14

*1:最新の COTSUBU 3D とかではないので、もしかしたら今は事情が違うかもしれませんが。

*2:Patra Edition。2024年末には新しいのが届きますね。

*3:WF-1000XM3 とかね……。時代が早すぎたんでしょう。

*4:補足しておくと、これは座ったり静止したりできる場合の話です。 2024年11月からは自動車だけでなく自転車運転中でもイヤホンは違法になったということもあり、 (ましてやノイズキャンセリングして聴くのは) 絶対に止めましょう。

*5:ノイズキャンセリングの性能は、事故予防のために、 上限が設けられているとか聴いたことがあります (不確定情報) が、 そういう上限を取っ払えるモードとかがあれば、 もしかしたら外でも実用に耐えうるのかもしれませんね (あったらあったで危険なので、結局困る訳ですが)。

*6:Fiio の回し者ではありません。もしそう見えたなら、 いろいろおすすめをしてきたネット民が回し者なのです (eイヤホンとか)。

*7:YouTube やニコ動の歌みたにそんな音質を求めてはいけない。

*8:本当のマニアからすれば鼻で笑われるレベルの額でしょうが。

*9:ただ、使わなくなった有線イヤホンはそのまま いくえふめい (なぜか変換できない) になることが多いので、 イヤホンの方がいろいろ持っていたはずなのに、その辺りは紹介できません……。

*10:という言い方が正しいのか自信はない。

*11:という言い方が正しいのか自s(ry )))。

耳を塞がないので、イヤホンを付けていても外の音が聴こえます。 耳が蒸れないという点も合わせて、 外出時やフィットネス向けのイヤホンですね。 防水性能もあり、歩行やランニング程度なら問題なく使える、かもしれません。 ((大音量で聴いてたりしてたら危ないだろうけれども。

*12:あえて言うなら、音にまとまりが無く聴こえるとか、 特定の音が小さいように感じるとか、逆にキーンとしたりとか、 ボーカルが強めに聴こえるとか、そういう感じでしょうか。 聴き比べてそう思うというレベルなので、 普通に聴く分にはそれほど目くじらを立てなくてもいい気がします。

*13:楽曲ならともかく、そんなところで ASMR を聴いている人がいるかは分かりませんが……。

*14:「未発表新モデル」とのことなので、後々通常販売もされると思いますが、どうなんでしょう。