先日修理したラジオから取り外した不良のコンデンサを貰えたから、内部がどの様な構造になっているのか解体してみる。
アメリカでいう所の、バンブービーやブラックビューティー、ブラックキャットの類の黒いコンデンサに似たデザインであるが、あれらは樹脂モールド。
耐熱性に優れた物であるが、これは如何であろうか。
コテを当てても、ライターで炙っても、ブクブクと油臭い煙を上げながら溶け出した。
ニオイからしても推測通り、コールタール(ピッチ)である。
眞空管製品で、昔馴染みなピッチではあるが、耐熱性にはやや劣る。
とは言っても、トランスの封入や電解コンデンサのパッキン前の封入には流し込んで、隙間埋めや振動防止には良くやったものだが、どちらにせよ、ピッチ部分が露出している使い方は、あまり見かけない。
これはそれで言うと、シャーシ内へ収まるから、シャーシが外装(?)と言ったら、そうなるのかも知れない。
合理的な考え方?
既に柔らかさはなく、ヒビ割れが生じている状態。
崩し易いという事は、かなり油分は抜けたものと思われる。
シャバくするならば、マシン油を足せば、幾らでもシャバくなるが、あまりやり過ぎると、固まりが悪くなってベタベタになる。
これは以前勤めていた工場で、ピッチ封入を毎週の様に行っていたから知っている。
焼いている時の、あの煙を相当吸っただろうから、肺癌になっても不思議ではないかも(笑)
洋モクとどちらが害かは知らないが(笑)恐らく、ディーゼルの排気ガスを公道で吸っているであろうバイカーの人の方が、余程肺癌率は高そうに思う。
ピッチモールドは3mm程はあるか。
中身は思った通り、タル巻きオイルペーパーだ。
作り方は戦前の日本と同じである。
然し乍ら、ボビンが違った。
我國では、中空ボビンであったが、これはガラスの棒が入っているではないか。
なるほど、なかなか凝っておる。
ただ、中空ボビン同様に、ガラスボビンがあるのにも関わらず、巻き方が撓んでいる。
これでは、隙間もシワも出来て、絶縁が悪くなる可能性は十二分にあるし、容量を大きくするには不利である。
そういう観点からすると、我國の中空ボビン方式で、ガラス棒無しに作らせたら、もっと撓んで、良品が出来なかったかも知れない。
そう言う点、手先が器用な日本人の凄い所(?)かも知れない。
まぁまぁ、結局のところ撓んでいる物も少なく無いのではあるけれども(^ω^;;)
アルミの電極箔は無垢箔であるから、現行の蒸着方式よりも、品質は上等である。
ただしかし、この銅箔が一部に巻かれているのをご覧頂けたら分かる通り、この部分が端子になるのであって、一番巻き終わりの剥の部分と、この銅箔が触れている箇所とでは、距離が違う。
距離が長くなれば長くなる程、抵抗値が増す。
従って、これは無垢箔でなければ、インピーダンスが上がってしまう事になる。
だから、最近の蒸着方式の物は、巻かれたすぐ横にメタリコンを流し入れ、全層の箔に端子が繋がれた状態にして、インピーダンスの上昇を防いでいる。
参考にTDKより一部抜粋。
この銅箔を合間に挟み込むやり方も、やはり古い国産の作り方と同様である。
ガラス棒を火で炙って拭いてやると綺麗なものである。
面取りもしてあるし、専用に量産していたのであろう。
もし戦前の国産だったのならば、恐らく折って其の儘を使いそうな気がする(^^;;
外装巻きの紙を、辞書やら本の紙を再利用していた製品がある位であるから…(^^;;
尚、KOA社はまだ現存しています…
恐らく、これを作っていた社員も知っている社員も居ないでしょう。バラす人はそうそう居なさそうですが(笑)