【音ゲー】課題曲を決める こんな深い夜

※この記事は B4UT Advent Calendar 2024 の参加記事です。他の記事は下の URL から見ることができます。

 

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B4UT をはじめ、最近の音ゲーサークルではサークル内・サークル間問わず活発に交流戦が行われている。交流戦を運営するうえで悩みの種になりうるものとして、「マッチングの課題曲選定」がある。おれもちょいちょい課題曲選定にかかわることもある。せっかくなので、どういうプロセスで課題曲を選んでいるかを書き残しておこうと思う。

 

本当は「【プロセカ】『荊棘の道は何処へ』『傷だらけの手で、私達は』感想」とか書きたい

 

 

課題曲ってなーんだ

たいていの交流戦では、両者が用意した自選曲を互いに 1 曲ずつプレイして、そのスコアで勝敗を競う。ところが大抵の音楽ゲームでは「100 円で 3 曲」が一般的であること、さらに勝ち星制で勝敗を決める場合には 2 曲よりも 3 曲のほうが勝敗がはっきりしやすくていいという理由から、お互いの自選曲とは別の曲を用意することが多い。これを課題曲とか、あるいは運営指定課題とか呼んだりする。

で、現在よく見るフォーマットは事前に課題曲が 3 曲指定され、その中から当日なんらかの方法で 1 曲を決定するというもの。なんらかの方法というのは、お互いが 1 曲ずつプレイしたくない曲を選んで残ったものにする、とか、当日にくじ引きで決める、とか、いろいろな方法がある。とにかく今回の記事は、事前に 3 曲選んで、当日その中から 1 曲選ぶ、というフォーマットを仮定して書くことにする。

なお課題曲は別に 3 曲用意する必要はなく、 1 曲を指定するだけでも十分である。とくに、その機種において実力があまり高くないプレイヤー同士のマッチングの場合は、課題曲をあえて 1 曲にするのも良い手段だと思う。 3 曲対策するの大変だし。

 

課題曲の選定手順

具体的に課題曲を選ぶ手順。実際のところはあいまいに運用しているところも多いけど、成文化にあたってはちゃんと順序がついてたほうがいいと思うので、やることを順序立てて説明することにする。

 

無理なら別の人にお願いする

意外と大事。できない課題曲選定はしない。

とくに部内戦の運営などは、その機種をプレーしている人が運営陣に誰もいないということが起こりうる。その場合はもう仕方がないので、声をかけられる範囲で課題曲選定ができそうな人を探す。とくにプレイ人口の少ない機種で起こりがちな問題なので、たとえばサークル内の交流戦であれば(本番の出場者と利害関係のない)サークル外の人に依頼をするなどでもいい。

 

難易度を決める

マッチングした両者の実力を見て、課題曲の難易度を決める。難易度の目安としては、ざっくりといわゆる「スコア狙い」ができるくらいの難易度にする。どれくらいのスコアをもって「スコア狙い」といえるかはかなり幅があるので言及しがたいが、逆に「この実力でこのレベルから選曲すると大変なことになりそう」という例はいくつか挙げることができる。以下はその例。

  • maimai レート 15000 程度(いわゆる虹レなりたて)のマッチングでは、レベル 13+ からは一曲も選ばない。
  • IIDX 八段のマッチングでは、☆11 からは選ばない。
  • SDVX VF19.000 のマッチングでは、レベル 19 からは選ばない。

「より高得点を出す」という行為が極端に苦にならないようなレベル選定をすれば問題ないと思う。

 

選ばない候補を弾く

選曲プールを決めたら次にやることは「楽曲を決める」ではなく、選ばない楽曲を決めることである。以下のような譜面は弾く。

 

難しすぎる譜面

その難易度帯で極端に難しい譜面、詐称クラスと呼ばれる譜面は候補から外す。たとえば CHUNITHM にある Alma (MAS) はレベル13+に位置するが、こいつを課題曲リストに入れてしまうと大変なことになる。同様に、DDR の足15から選曲するなら間違っても PARANOiA ~HADES~ (DIFFICULT) をリストに入れてはいけない。

多くの音楽ゲームには有志によってつくられた細分化された難易度表もあるので、それを参考にしてもいいと思う。

 

尖った譜面

いわゆる癖の強い譜面も避ける。もちろん対策が大変だから、というのも理由になるが、その手の譜面は「相手に絶対勝てる曲」として自選曲に選ばれる可能性が大きい。そのため、課題曲として選んでしまうとどちらか(あるいは両方)のプレイヤーの選択肢を潰してしまうことになりかねない。各機種ごとに良く知られた癖譜面はいっぱいあるので

 

要解禁譜面

バチクソ上級者どうしのマッチングは別にして*1、だいたいのマッチングでは解禁に労力が必要な譜面は避けたほうがいい。プレイする側は相応の時間を消費しなければいけないし、最悪課題曲がプレイできません、ということもありうる。

解禁にほとんど労力が必要ないなら、代替の選択肢がない場合はまあ仕方がないかなと思う。SOUND VOLTEX を例にとると、BLASTER GATE と Ω Dimension の楽曲は 200 円払えば一発で解禁できる*2のでまあよし。HEXA DIVER の楽曲は選ばない。

 

被りにも気を払う

いくつかの曲を選曲プールから外したら、課題曲セットを選ぶ。選んではいけない曲は大抵外したので、基本的には何を選んでもよろしい。しかしながら、次の点については 3 曲の間でバラけさせられるといい。

  • 楽曲の速さ
  • 譜面の傾向(IIDX のノーツレーダーなど)
  • 楽曲ジャンル(ゲキチュウマイにおける)
  • 譜面の初出時期(譜面傾向が時代によって変わるゲームは多い)

とくに楽曲の速さを散らばすことは強く意識したい。一般的に速い曲はそれ特有の難しさがあるので

 

実例

いくつかの機種で課題曲セットを選んだ。

 

Dance Dance Revolution

こちらは部内戦で実際に使われた課題曲リスト。すでに「足15で3曲」というオーダーが出ていたので、よさげな足15を選ぶ。

実はおれの手元にはDDRの足15でも特に良質な譜面を集めた鉄板リストがあるので、まずはその中から選ぶ。みなさんも参考にしてください

  • エンドルフィン
  • 星屑の夜果て
  • HARD BRAIN*3
  • MAX 300
  • ΩVERSOUL
  • Our Love

この手の課題曲として MAX 300 や HARD BRAIN は擦られまくってる印象があるので、少し趣向を変えて難しめのエンドルフィンをチョイス。

ぼーっと足15リストを眺めていたらオモコロの MAD で知った Debug Dance があったのでこれを選びたい。譜面をチェックして、詐称クラスの難しさではないこと & 尖った譜面傾向でないことを確認してリストイン。

 

youtu.be

内定した2つの楽曲を見て、似通った中速 (160bpm, 151bpm) でどちらもソフランなし、だから残りはソフランつきの高速から選びたい、という頭で譜面一覧を眺める。結果として目についた THIS IS MY LAST RESORT をチョイス。対策をサボると露骨にスコアがとれない点も課題曲向き。

 

課題曲

  • エンドルフィン (EXPERT, 15)
  • Debug Dance (EXPERT, 15)
  • THIS IS MY LAST RESORT (EXPERT, 15)

 

maimai

これも B4UT のイベントで実際に用いられた課題曲リスト。マッチングした両プレイヤーのレーティングは 15200 程度。

このレベルであれば課題曲は全部 13 でOK。そのうち癖の強い曲を外していく。たとえば Blew Moon (MAS) とか Blew Moon (Re:MAS) とかは入れない。

難易度13のリストをぼーっと眺めつつ、適当に曲をピックアップする。楽曲が好みで譜面の出来もいい共感覚おばけと、後半の流しが面白いかつ差がつきそうな P-qoq をチョイス。

この時点でスタンダード譜面とでらっくす譜面が1曲ずつ、ジャンルではポップス*4とオリジナルが1曲ずつ。初出バージョンがどちらもやや古いので、比較的新しめのボーカロイド楽曲をざっと漁って課題曲によさそうなものを探す。

結果的に譜面もよく新しめの楽曲であるマーシャルマキシマイザーを選んで終了。

 

課題曲

  • 共感覚おばけ (MASTER, 13)
  • マーシャル・マキシマイザー (MASTER, 13)
  • P-qoq (MASTER, 13)

 

CHUNITHM

ここからは「もしこういうマッチングが組まれたらどうなるか」という仮定でモデルケースを考える。とりあえず、プレイ人口の多いチュウニズムで書いてみる*5。今回は、レート 16.50 くらいの二人がマッチングすると仮定しよう。B4UT はあまりに先鋭化しているので 17.00 以上がゴロゴロいるが、まあそういう場合には別の 17.00 の人が課題曲を考えてくれると思います。

 

譜面定数 14.5 で SSS を取ると単曲レーティングが 16.5 になる。ということは難易度 14 のなかでも比較的上位の譜面を選べばいい勝負になるだろう。

オリジナル曲から SQUAD-Phvntom- (MAS) 、オリジナルじゃない曲から Hydra (MAS) をそれぞれチョイス。 NightTheater (MAS) も楽曲譜面ともに好きだから選びたいが、こういうしっかり指押し力が問われる譜面はどちらかが自選にするかもしれないな~と思い見送り。

NightTheater を見送った分、少し難易度が低くかつ指押しを要求される譜面を探してみる。14.3 にも目を通すと Hyper Active (MAS) が見つかったのでこれを追加。さっき選んだ 2 曲はどちらかといえば新しめの曲なので、ちょっと世代の違う曲を入れてみたい。

 

課題曲

  • Hydra (MASTER, 14)
  • Hyper Active (MASTER, 14)
  • SQUAD-Phvntom- (MASTER, 14)

 

beatmania IIDX

運営の都合などで、どうしても自分の実力より上のマッチで課題曲を選定しないといけないこともある。ここでは、プレイ人口が多くて、そのなかでも上級者の割合が特に多い(と思われる) IIDX SP を例に、地力にそぐわない課題曲選定を任されたときのケースを示したい。おれは SP 八段なので正真正銘エアプによる課題曲決定である。

IIDX については先人の知恵がたくさん転がっているので、ある程度エアプでも対処しやすい。たとえばこれが GITADORA だと課題曲選定という作業はエアプには不可能に近い。譜面動画から譜面傾向がわかりにくいし、スコアのつけ方も特殊*6だし、インターネットで見つけられる情報も少ないし、そもそも公式がつけている難易度がぜんぜんあてにならない。

 

今回はおおよそ皆伝を取りたての人どうしのマッチングを仮定する。ちょっと調べてみると、皆伝取得ブログというのはたくさん出てくる。たとえばこれ

 

keionkakimasen.hatenadiary.com

皆伝に受かったばかりの人はだいたい IIDX ハード難易度表の地力 A+ レベルにちょこちょこハードがついていて、地力 A にはそれなりにハードがついていることがわかる。とはいえ、ハードできるほどの地力があるから地力 A から選べばいいのか~というと、必ずしもそういうわけではない。

上のブログでハードクリアしているリザルト画像を見てみると、だいたいそのスコアランクは A とか B くらいである。とてもではないが「スコア狙いをできる」というにはあまりにも難易度が高すぎることがわかる。ということで、課題曲はさらに難易度を下げて、地力 C, D のあたりから選ぼうかな~ということになる。

 

幸い IIDX については、いわゆる「尖った譜面」がぜんぶ個人差 C, D といった区分に放り込まれているので、安心して地力 C, D のなかから好きな曲を選ぶ。ただそれだと似たり寄ったりになる可能性があるので、個人差 D くらいからマイルドなのを一曲入れてもいいかな~という気分。

ざっと難易度表を眺めて、ふつうに曲が好きな L.F.O (A) と CN や連皿などやや味付けの濃い TECHNO Style Essentials (A) をチョイス。曲の速度も上手く散らせていい感じ。

譜面動画やコメントを見る限り、ふたつとも少し特徴のある譜面なので、個人差 D から選ぶ計画は破棄。同時押し譜面があるといいかな~と思いながら表を見てみたら Say YEEAAHH (A) がいい感じ。残り一枠をこれで埋めて課題曲選定終わり。

 

課題曲

  • L.F.O (ANOTHER, ☆12)
  • Say YEEAAHH (ANOTHER, ☆12)
  • TECHNO Style Essentials (ANOTHER, ☆12)

 

エアプが決めた課題曲なので、 B4UT の手ごろな皆伝*7に先輩権限をふるって添削をさせた。帰ってきたコメントはこんな感じ

  • 難易度感覚は悪くない
  • L.F.O (A) は良い
  • TECHNO Style Essentials (A) は 42-48 小節の長いトリルで勝負が決まってしまいやすいので、課題曲には入れたくない
  • Say YEEAAHH (A) はハネリズムが多く、皆伝をとりたての人がスコアを狙うとなると厳しい
  • BPM を散らしつつ調整するなら TECHNO Style Essentials (A) ã‚’ Friction[!]Function (A) に入れ替えるとよさそう
  • CN を課題曲に盛り込むなら L.F.O (A) / 神のシナリオ (A) / Ghost Pulse (A) というセットもよい。

有益な情報をいただきありがとうございます。よく考えたら音ゲーサークルには 17.00 と同じくらい皆伝もいっぱいいるので、やはりエアプは出しゃばらずにうまい人に課題曲選定を任せたほうがいい。

 

まとめ

  • 課題曲選びは難しいので、詳しい人に任せられるときは任せちゃおう
  • 曲を選ぶ前に「選ばない曲」をリストアップしよう
  • 楽曲の速さや譜面の特徴をうまくばらけさせよう

 

B4UT のみならず、音ゲーサークルで交流戦運営を行うみなさまの助けになればと思います。

 

おまけ

身内のチームでチームコースを作成しました

ATTACK 以下 100 で終了。超緩い

選曲理由は次の通り。

  • X7124 : いまは 12 月で、 この曲は曲名に「12」が入っているので。
  • larva : 12 月は寒く、この曲の作曲者名は寒そうなので。
  • ヒュブリスの頂に聳えるのは: 12 月は雪の季節で、この曲は曲名に「スノー」が入っているので。

 

*1:どうせ全部解禁しているので。

*2:厳密には「200 円払ったうえで楽曲をクリアすれば解禁」だが、前項にしたがっていればクリア不可能な楽曲は選ばれないはずである。

*3:リスト内でも特に良質な譜面で、課題曲のほか実力調査にも使える。全員やれ

*4:後で調べたら共感覚おばけはniconico & ボーカロイドのくくりだった。失敗

*5:この節はバージョンアップ以前に書かれたものです。新作稼働に伴いレートシステムとか難易度とかが全部変わっちゃいました泣

*6:多くの交流戦では通常スコアの代わりに「達成率」を競うことが多い。この達成率はノーツごとの判定だけでなく「どれだけコンボを繋げるか」にも依存するので、単純に判定の取りやすい曲=スコアの出やすい曲、とはならない。

*7:@iLiss557_Ort