キュウリの血と肉

モッス・カプロョモール・エニスポラ

いま行くと吉!壮瞥(そうべつりんごめぐりに行きました)

10月20日(金)から「第37回そうべつりんごまつり そうべつりんごめぐり」が開催されています。

10月3日(火)に生えた告知がこれ。

「壮瞥町りんご大使」に!?「木下ひなた」が!?!?就任!?!?!?

これは大変。過去には『木下ひなたの田舎を探ろう!』をぱにろく( @kq826f )さんと共著した動物です。行く必要があります。

 

ひなたのオタクが弘前に来た回の画像をずっと使っている

よく見たらブログのアイコンもひなただし(さっき気づいた)。オープニングセレモニーに合わせて、胆振管内は壮瞥町へ行くことにしました。

【注】この記事は果てしなく長い!りんごめぐりが始まるまでに約5000文字を費やしています。りんごめぐり部分のみ読みたい場合は、☟の目次から「10月20日」に飛んでください。

高まる機運

なんだか今年の秋は随分りんごづいています。

『青森りんごジュース約100点』出ます

青森県内で売っているりんごジュースを100種類以上集めて試飲*1したり、来夏に出したい本に向けて札幌でりんご狩りをしたり。

札幌市南区豊滝・篠原果樹園

国内における西洋りんご栽培発祥の地である七飯町(渡島管内)も見ました。

七飯官園跡

 

もちろん、ミリオンづいてもいます。ミリアニも下田*2と盛岡*3と豊洲*4と札幌*5で観たし。弘前から観に行こうとすると結構大変です。

最寄りにしても比較的距離があるため、もうどこで観ても実質0kmみたいなところがあります。

函館空港も使ったし。センチュリーマリーナ函館*6も泊まったし。

11月1日(水)からは「アイドルマスター ミリオンライブ!×天然温泉湯~ねる」コラボが始まります。奈緒に温泉案件、圧倒的感謝。それにしても催し物が多い。流石に全部は追い切れません。

 

さらに、胆振づいてもいます。青森と室蘭を結ぶ航路が10月2日(月)に爆誕。

かなりお安い

さっぽろりんごめぐり(?)の帰り、初便に乗れてしまいました。今回も、往路にこの航路を利用して津軽海峡遠泳大会を回避しています。

室蘭発初便

いきます🍎

10月18日

15:45 室蘭フェリーターミナル

というわけで、まずはフェリーでしょっぱい川を渡ります。

青森→室蘭は朝発夕方着で結構お便利。

白鳥大橋をくぐる

室蘭に着くなり、まずは新聞を買う必要がありました。18日付の道新(地方面)に今回の記事が生えていたためです。

フェリーターミナルからホテルへ行く間に2軒あるコンビニのどちらかで買おうと思っていたところ、どちらも売り切れていました。時間帯が時間帯だからね、仕方ないね。

代わりに地元紙・室蘭民報を買ってホテルへ向かいました。この選択がOKで、室蘭民報にも記事が出ていたのでした。

『室蘭民報』(2023.10.18 朝刊)

今月の頭は中島町(東室蘭駅付近)に泊まったので、こんどは中央町(室蘭駅付近)で泊まることにしました。

ホテルミリオン

!?

 

2点リーダ

!?

 

久しぶりに見ました

!?

 

激しい。でも、フロントのoba3は親切だし、朝食もいい感じでした。

泊まるだけなら5兆点。

 

ホテルで中島町の道新販売所におTELTELしたのちJRに乗り、無事に道新も確保。yokatta~

『北海道新聞』(2023.10.18 朝刊)

 

毎週通いたい

で、大鳳。3週間ぶりの大鳳。

ピーマンも良い

やきとり、5兆点。

 

納豆っていつ食べてもいいですよね

揚げ納豆、5兆点。

 

ふきがうめ~のよ

おでん、5兆点。合わせて500兆点。

 

毛羽先?

 

10月19日

7:00 ホテルミリオン

翌朝、重要指名手配被疑者の皆さんに見送られてチェックアウト。いよいよ壮瞥を目指します。

 

室蘭駅では駅員の居らない時間があって、マイケル・サンデルみたいな案内板が働いています。

これからの「列車」の話をしよう

室蘭を7:07に出る長万部行きで伊達紋別へ。この時間帯は伊達へ通う高校生でごった返しています。途中の崎守で降りる人もちらほら。

BC9巻P16に登場した駅舎

伊達紋別で降りて、大滝行きのバスに乗り換えます。これは国鉄胆振線(伊達紋別~俱知安)の廃止代替であって、昨年の9月末で大滝~喜茂別が滅んでいます。

For Hommachi-HigashidanchiではなくOtakiとするのはかなり正しい

昨年の9月といえば、ちょうど喜茂別~俱知安で胆振線バスに乗っている*7わけで、なぜ廃止区間を乗らなかったのか?というアレはあります。

2022/9/15 喜茂別

本当に初めて見た海はどこか分かりませんが、伊達の海はかなり早い段階で見ているはずです。思い出せる限りでは、伊達の砂浜が最古の海に関する記憶です。オカヒジキが生えているのを見ました。基本的に淡水と仲良くして生きてきたため、海といえば伊達、海といえばオカヒジキみたいなところがあります。経海値が低すぎる。

大滝行きのバスは海にそっぽを向いて転がります。高校生多め。

途中で室蘭発のバスに追いついて、壮瞥役場前まで続行で走っていました。室蘭~洞爺湖温泉のバスは、6時17分に室蘭駅前を出ます。これではホテルの朝食は無理。7時7分のJRで伊達紋別まで行くことにしました。

ちょっとした通学ラッシュがある
8:50 新山沼展望公園

壮瞥役場前で降車し、天気の崩れないうちに新山沼展望公園へ急ぎます。

昭和新山へ歩いていくのは結構大変

新山沼は、昭和新山の形成によって壮瞥川*8が堰き止められできた沼で、展望台からは沼(の手前に元気に生えている電柱)を見ることができます。

おっ、電柱ゥー!

噴出物を簡単に観察できる学習露頭

露頭もあって二度おいしい。

公共交通機関で訪れる場合、壮瞥のまちなか(滝之町)と昭和新山の両方に行くとなれば難儀しますが、新山沼なら簡単です。

北の湖記念館前停で降車してヌルッと歩けば新山沼がありますし、少し頑張って坂を登れば展望公園もあります。おまけに道には歩道もあるときた。えらい。

ただし高低差はそこそこある
9:05 壮瞥町郷土史料館・横綱北の湖記念館

でかい

展望公園から下ってきたら9時5分。ちょうど壮瞥町郷土史料館が開いたところです。

壮瞥が生んだパワフル人間・横綱北の湖記念館と一緒になっており、順路の前半はお相撲100%、後半は壮瞥100%。境目はきっぱり分かれていないため、相撲相撲相撲火山相撲相撲火山火山相撲火山火山火山……という感じ。

北の湖vs日本の活火山 北の湖の全勝
10:15 壮瞥小屋(紫明苑)

滝之町の中心へ向かいつつ、橋口文蔵(1853-1903)が建てた壮瞥小屋(紫明苑)を見ましょう。

外装・内装ともに後年かなり手が加えられている

橋口文蔵は薩摩の生まれ。明治14年(1881)までマサチューセッツ農科大学(クラーク博士が学長だった)で大規模農業を実験し、帰国後は開拓使・北海道庁に勤めたのち、21年(1888)から24年(1891)まで札幌農学校長(北海道大学の前身)の職にあった人です。

壮瞥においては、未開地10万坪を払い下げ、管理人を置いて小作方式の農場を開設、小作人を入植させて開拓を始めました。当時の開拓民は人力で鍬を振って新地を起こし、整地や除草なども全て人の手で行っていました。対して橋口は、アメリカから洋式の農具(プラウ*9・ディスクハロー*10・カルチベータ*11等)を輸入し、畜力を利用した近代的農法を取り入れました。これらの農具を小作人に貸与・指導し、橋口農場を模範的農場として経営したものです。

また、明治23年(1890)ごろからはりんごの栽培を始め、壮瞥でりんごを大規模に栽培した初めての人でもあります。

紫明苑に建つ開墾記念碑
10:25 壮瞥町役場

平成20年(2008)竣工

朝にバスを降りた役場まで戻ってきました。左半分が役場、右半分が地域交流センター山美湖(やまびこ)。

りんごめぐりのスタートを翌日に控え、役場の入口には幟が立っていました。本当に大使になるんだねえ……

そうきたか!

山美湖には図書室が入っています。夕方、町史を読みに訪れました。

!?

 

!?

 

!?

 

すごい。BC9巻が図書室の入口にいます。しかも2冊。予習を忘れた人にもやさしい。

 

滝之下中心部

時を戻しましょう。道の駅へ向かいつつ、BC9巻の舞台めぐりをしました。

 

9å·»P47

壮瞥神社⛩

 

9å·»P25

Aマート🏪

 

9å·»P27

農協前停🚏

 

BCの聖地について、詳細は『ぱにろぐ』の記事に載っていますから、本記事では割愛します。

kq826f.hatenablog.com

 

SOUBETU

恐怖!りんごを狩るりんご

このキャラクターは「そうべつくだもの村」のもので(名称不明)、各果樹園への案内看板のほか、ガイドマップにも登場しています。

 

11:45 道の駅そうべつ情報館i

でかい

道の駅そうべつ情報館i(アイ)に着いています。

壮瞥町・伊達市・豊浦町・洞爺湖町に跨るジオパーク「洞爺湖有珠山ジオパーク」の展示・学習施設を兼ねており、2階「火山防災学び館」では有珠山や昭和新山を主として、噴火とその減災・防災について知ることができます。

火山に関する情報を簡単なかたちで網羅している

 

むろん直売(農産物直売所サムズ)もあって、「りんごめぐり」の対象店舗になっています。くだものコーナーは建物自体分かれており、果樹栽培の盛んなさまが見て取れます。

りんごは翌日しこたま買うので、加工品を探します。

NEW商品でりんごパウンドケーキがあって踊っていました。パウンドケーキ大好き人間。翌日にはひなたの手描きポップが生えていたらしい。見はぐって泣いています。

 

12:15 地域のあそびば ミナミナ・ヨツカド商店

ミナミナさん☜☞ヨツカド商店さん

次いで、道の駅向かいに建っている「地域のあそびば ミナミナ」さん・「ヨツカド商店」さんにお邪魔しました。

一棟を共有しており、左手がミナミナさん・右手がヨツカド商店さんです。「りんごめぐり」の拠点となる施設でもあります。

ミナミナさん。翌日びっくり

コーヒーとタルト。うれしい。

 

そしてチャイ。めちゃくちゃうれしい。

 

14:10 壮瞥滝

天候が回復してきました。滝の町停近くにある壮瞥滝を見に行きます。

滝の町停横のトイレにはりんごのサイン。

トイレ自体は使えなかった

この辺りは不動町とも呼ばれ、壮瞥の農業発祥の地ということになっています。

明治12年(1879)に千葉力之助(岩手出身)、13年(1880)に庄司定吉(宮城出身)、佐藤又六(有珠郡紋鼈村出身)の計3軒が入植しました。千葉は大麻の栽培適地としてここを選定し、14年(1881)には実際に大麻の栽培を始めています。

このころ、開拓使では苹果(りんご)の栽培を奨励していました。当地にも13年にりんご・梅・漆などが配布され、前述の3軒が栽植しました。

つまり、ここが壮瞥の果樹栽培発祥地であって、トイレにりんごのサインがあるのは大正解、というわけなんですね。

不動会館

 

壮瞥滝は壮瞥川の湖岸から約70mのところにあります。

往時は道南で最も壮観な滝として観光客を集め、飛沫が霧となって高く吹き上げる様子から"下から雨が降るところ"と呼ばれることもありました。

壮瞥滝

壮瞥における近代農業の嚆矢・橋口文蔵は、紀行文中で次のように描写しています。

"壮瞥に至れば瀑布前に当り、直下十数仭、其の広さ五弓許、白雲一帯天上より垂れ、明珠細大雨となりて降り、銀粉飛散岩上堆を為し、軽煙濛々山堅を薮ふ、予が一行も亦画中に在るが如し"(壮瞥町史より)

大正8年(1919)11月、株式会社日本製鋼所が壮瞥川の水を利用した水力発電所を建設するにあたって水路を設けたため、壮瞥滝は流路から外れました。滝を失ったことで町民や観光客はしょんぼり。

町は滝の復活のため、昭和46年(1971)6月に北海道電力株式会社(ほくでん)と交渉を行いました。結果、毎年4月から11月までの間、0.4t/sの水量を滝に落とすことになりました。やったね。

壮瞥滝とは別に走っている流路
16:55 飲み喰い処ひさご

滝を見、図書室で調べ物をし、これで19日にやるべきことは果たしました。自由です。しかもブーブーを運転しないので、お酒を飲むことができます。そして、滝之町には居酒屋があります。当然入ります。

入口は脇

「飲み喰い処ひさご」さん。16時半からやっていてうれしい。泊まるホテルまでの終バスが18時台ですから、開店と同時に飲み始めれば2時間弱滞在することができます。

 

軟骨唐揚げ・やきとり・ライムサワーでスタート。100那由多点。

 

店主さんや常連さんと、壮瞥のりんご生産、過去のりんごまつり、そして今回のりんごめぐりの話で盛り上がりました。

青森や長野の隙間を縫うように出荷していたこと。今までの形でりんごまつりができなくなってしまったこと。スタンプラリーはその打開策であることなど、資料を追うだけでは分からないお話を聞くことができました。

 

いか納豆・国稀を吸い込んでいます。100那由多点。

 

なぜ?話の流れで拙著をお渡しすることになりました。

なぜ?3万点。しめて200那由多飛んで3万点。なぜ?ついでに国稀がもう1本飛んできました。商工会長さんごちそうさまでした。

 

2時間弱のつもりが4時間いました。バスが終わっています。ひさごの奥さんに車で送ってもらってホテルへ移動しました。

伊達に戻って泊まる手もありましたが、せっかくなら壮瞥に泊まりたいところです。壮瞥温泉「ホテル中の島」を予約しました。温泉の大浴場がありますが、着くなり寝てしまったので入りそびれています(1敗)。

壮瞥に泊まるのは小学生以来。テレビで洞爺サンパレスのCMを観、せがんで連れていってもらいました。なんてったって宇宙一~

ホテル中の島

10月20日

7:50 壮瞥温泉

突き当たりは洞爺湖

そうべつりんごめぐり初日です。

オタクの朝は早い。8時前のバスで滝之町へ向かいます。この便を逃すと次は10時台。オープニングセレモニーは9時半開始ですから、どうあがいても間に合いません。

洞爺湖を撮りなさいよ

境界見出板があります。林野庁測定規程に基づいて境界検測を行った証です。境界検測は以下の手順を踏む必要があります。

①検測資料の検討 ②隣接所有者の確認 ③隣接地所有者に対する検測通知書の作成 ④基準点の確認 ⑤検測・境界点位置の決定 ⑥検測杭の設置 ⑦補点及び予備標の設置 ⑧境界番号の変更 ⑨境界線の刈払い ⑩検測手簿記載 ⑪境界標識の埋設及び補修 ⑫境界見出しの設置 ⑬検測上疑義が生じた場合の処理 ⑭隣接地所有者等から異議の申立てがあった場合の処理 ⑮成果等の整理

なんでこんな話をしたんだ?もう5000文字も使っています。りんごめぐりの話が一向に始まらず、怒っている人もありましょう。ご安心ください。ちょうどバスが来たのでこの話は終わりです。

ユースホステル前 7:58発
9:20 地域のあそびば ミナミナ

8時半前には道の駅着。しばらく待ちぼうけです。

しれっといる

プルーン・トマト・りんご・ソフトクリーム・ひなた。しれっと混ざっています。こういうのいいよね。

車で来た人、前の日に乗って転がった伊達(・室蘭)からのバスで来たPも次第に現れ、オープニングセレモニーには30人前後が集まりました。9:15頃にはミナミナさんが開き、小上がりに通されてセレモニーの開始を待ちます。

(この法被ほしくない?)

 

セレモニーは9:30に予定通りスタート。

オープニングセレモニーの様子

■実行委員長挨拶

「いつでもお越しいただいて、壮瞥町を知っていただきたい」

■町長挨拶

「ななろくご……ナムコでした(笑)」

■メッセージ代読(地域おこし協力隊・まえはしふみこさん)

「大好きなりんごに携わるお仕事ができて、とってもうれしいべさ」

■委嘱状交付

町からバンナムへ

www.instagram.com

☝セレモニーのアーカイブが残っています☝

キャラクター・木下ひなたではなく、人間・木下ひなたとして扱われていたことにえも言われぬ嬉しさがありました。実在性。

 

10:15 そうべつくだもの村

さて、オープニングセレモニーも無事終わり、早速りんごめぐりを始めます。

今回のスタンプラリーは「そうべつくだもの村」と呼ばれる一帯で開催されます。道の駅から国道453号線を東へ約1.3km地点の間に、十数軒の観光果樹園がひしめいているため、徒歩でも容易に巡ることができます。なお荷物量

 

現在の大字は滝之町ですが、集落名は「阿波国(あわこく)」。明治17年(1884)に徳島県から鎌田新三郎を団長に、阿波国団体十九戸が移住して形成されました。

他の集落では小作農が大半を占めるのに対し、阿波国は自作農がほとんどで、肥沃な土地・安定した天候に助けられて収入も多かったようです。従って納税も多くあり、明治31年(1898)頃には阿波国の二十数戸で村税の50%(!?)を占めたほどでした。

阿波国停(矢野果樹園そば)

団長・鎌田新三郎は藍栽培を生業とする鎌田家の二男で、明治9年(1876)には高知県令(現在の県知事のような人)から紺屋・藍商業の免許を受けています。団体の人々も藍栽培の経験がありましたから、阿波国ではまず藍の栽培が鎌田により奨励されました。

鎌田の指導奨励により、阿波国の藍は東京や越後の藍証人と取引されるまでに発展しました。しかし、藍は肥沃な畑に、さらに多くの施肥をして栽培する作物であって、ある程度の資力を必要とします。その上、刈取りや乾燥に多くの手間がかかり稼働力も要るとなれば、栽培者は限られることになります。結局、農家数・作付面積ともに伸びはなく、明治35年(1902)の農産物生産統計調査では藍の作付・生産量は計上されていません。

翻って、りんごはどうだったでしょうか。壮瞥のりんご生産は不動町の3世帯に始まり、次いで橋口文蔵が大規模に展開したことは先に述べた通りです。明治23年(1890)年から約10年の間、壮瞥住民は橋口の指導のもとにりんごを盛んに栽植しました。栽植した人々の中に、阿波国の矢野弥平・浜田嘉平・木原利八郎があります。彼らは各屋敷に3、4本を植え、後継者である矢野亀之丞・浜田八太郎・木原義作らが殖やして果樹園の経営を行いました。病害虫の未防除による衰退などもありましたが、その後復興し、りんごを含む果樹は藍に代わる換金作物として阿波国に定着したのでした。

現在、明治23年(1890)に植えられた個体が現存しており、壮瞥町産業記念樹の指定を受けています。

 

そういうわけで、りんごめぐりの一か所目はその個体があり、また、前の晩に5代目園主・英彰さんと盃を交わしたご縁もある「くだもの農家浜田園」さんにしました。道の駅方面から行くと、大きな「はまだ」の文字が目立ちます。

クソデカはまだ

りんごめぐりでは、1品種あたり500円以上購入することで、スタンプを捺してもらえます。捺印の欄は16個。時期によって収穫適期を迎える品種が異なるため、全てを集めるには複数回訪れる必要がありますが、もちろんコンプリートを待たずして応募することもできます。

今回はB賞・洞爺サンパレスリゾート&スパ ペア宿泊券を狙うべく、7品種を目指すことにしました。

プルーンもあってうれしい

浜田園さんでは「ひめかみ」を入手。「ふじ」と「紅玉」のかけ合わせで、親の特性をバランスよく受け継いでいます。

 

共通の丸いスタンプと、果樹園名のスタンプを捺してもらいます。浜田園さんの捺印第一号になりました。このスタンプもグッズ化してほしい。

 

無事にりんごを買ったところで、壮瞥で一番年季の入った個体を案内してもらいました。

双幹になっており、根元は保護されている

品種は「祝」。現存する日本最古の「祝」は青森県つがる市柏の個体で、明治11年(1878)に栽植されたものですが、12年後に栽植されたこちらも負けず劣らずの樹齢を誇っています。

 

2軒目へ急ぎましょう。ミナミナさんに一番近い道の駅の直売所からスタートする人が多いと踏んで、一番離れた果樹園へ向かいます。

阿波国停すぐそば、「矢野果樹園」さん。この日はお休みでした。ざんねん。平日だからか、ちらほらお休みがあります。

 

参加店舗(果樹園)にはポスターの掲示がある

お隣にある「近藤果樹園」さん。ここでは「昂林」を買いました。

昂林は「ふじ」の枝変わり(遺伝形質とは異なるものが枝単位で生じる現象)で、いわゆる「早生ふじ」の系統です。ふじは世界で最も生産量が多い品種ですが、極晩生であって、北海道では完熟しないうちに冬を迎えてしまう、という問題があります。でも、熟期が早い早生ふじならOK。

 

おいしそう

「ほりぐち果樹園」さんでは「トキ」と迷って「シナノドルチェ」を購入。

「トキ」は甘いりんごの代表格で、壮瞥でもよく生産されているため、壮瞥のりんごを見る上では買う必要がありましたが、「シナノドルチェは酸っぱいよ!」という店員さんの声につられて択から外れてしまいました。酸っぱいりんごが好き。

シナノドルチェは2005年に登録された長野生まれの品種です。「ゴールデンデリシャス」と「千秋」を親に持つ品種で、同じ交配組み合わせでは「シナノゴールド」も生まれています。

トキもあるよ

 

ほりぐち果樹園さんからすぐのところに、「浜田○留*12果樹園」さんの年季が入った看板が生えていますが、これは罠です。実際の店舗はもう少し道の駅側。

 

なしも出ている

最初に入った浜田園さんのお向かいは「壮瞥たかしな果樹園」さん。「昂林」と同じ早生ふじの仲間である「紅将軍」を手に入れました。「ふじ」の枝変わり「やたか」のさらに枝変わり。山形で生まれました。

 

「堀口(義)果樹園」さんでは新規の捺印が見込まれなかったため、一旦スルー。

 

お向かいの「タカシナ観光果樹園」さんで「紅玉」を目撃したものの、これは一つ前に並んでいたお客さんに売れてしまいました。店頭分に並んでいる品種が全てかどうか尋ねたところ、「シナノスイート」がある、とのこと。少し待って出してもらいます。読んで字のごとく、長野生まれの甘い品種です。

台紙は各店舗でもらえる

「フジモリ果樹園」さんで「彩香」を発見。

2001年に青森県産業技術センターりんご研究所が登録した品種で、「あおり9」が登録名です。生果実に限って「彩香」の名称を用いることができます。酸味があって料理・加工に適する点で親品種「あかね」やその親品種「紅玉」の特性を引き継いでいます。

アカネチャーン(2023/9/30 札幌市)

距離的には徒歩でも楽しめる「りんごめぐり」ですが、大きな問題があります。荷物の重量です。各果樹園で発送しない限り、複数品種を持って歩くことになります。500円以上となれば、だいたい5~6玉は入っていますから、1kg/袋は簡単に超えます。ここまでで6店舗・6品種を買い回り、荷量は限界に近づいていました。

恐怖!りんごを狩るりんご

入口が隣接する「浜田○留果樹園」さん*13・「コカワ観光果樹園」さんはどちらもお休み。

最後にコカワ観光果樹園さんの向かいにある「岩倉観光果樹園」さんで「トキ」を買って、これでスタンプは7つになりました。

しれっといる

肩が壊れるのが先か、トートが壊れるのが先か。「阿野観光果樹園」さんを見つつ、ミナミナさんへ急ぎます。

阿野観光果樹園さんは道の駅すぐそば
11:50 地域のあそびば ミナミナ

およそ1時間半で7つスタンプが集まりました。スタンプ2つでステッカーがもらえます。3つ以上ではステッカーに加えて商品に応募することができます。無事に7つを集めたため、予定通りB賞のサンパレスに応募。りんごの発送もして、りんごめぐりはひとまずの完了をみました。

いいステッカー

流石に疲れました。ヨツカド商店さんでぼんやりします。

コーヒーにりんごジュース・スコーンサンド(りんご)・りんごサンデーとりんご尽くし。

うれしい

かなり力が入っておりうれしい

朝はワチャワチャしていてじっくり見られなかったため、改めてミナミナさんを見ます。セレモニーモードも終わって、配置が変わっていました。右手ではMVも流れています。

 

14:05 たまごcafe at たつかーむ

これでやるべきことは全部おしまい。雨降りしていなければ行きたいところもありましたが、マストではないので次回の課題としました。図書室で追加の調べ物を少しだけして、温泉に入って帰ろう……と思って道を歩いていたところ、一台の車が止まりました。

 

「見るもの見れた?」

「立香以外は見ました」

「乗ってく?」

「!?」

人間ドライブレコーダー

! 偶然通りがかったひさごのご主人に、雨で諦めていた箇所を案内してもらえることになりました。ありがたい話。長流川を挟んで滝之町の対岸にある立香(たつか)*14を目指します。

 

「たまごcafe at たつかーむ」さんに来ました。ここで生産した平飼い有精卵「たつかの恵み」やその加工品の販売、食事の提供を行っています。お昼時は過ぎていたこともあり、プリンを3つ購入。

 

続いてご主人おすすめの「清水農園」さん。トマトを用いたジェラートで知られているらしい(来店時はお休み)。トマトジュースを買いました。

トマト トマト トマト トマト

 

立香で壮瞥のりんご以外成分を享受したのち、折角なら……ということで、昭和新山熊牧場へ急行。

 

熊さんが檻に入っています。

 

人さんも檻に入っています。

 

熊さんが檻に入っています。

 


人さんも檻に入っています。

 

熊さんが檻に入っています。

 

人さんも檻に入っています。

 

羆神社。狛熊?


図書室に用事があるため、役場で降ろしてもらいました。本当にありがとうございました。

 

山美湖入ってすぐ

役場・山美湖も、前日と比べてどこそこに幟が増えています。

1時間ほど調べ物をしてバスに乗り、いよいよ壮瞥を発ちます。壮瞥高校のラッシュに再度遭遇。

 

伊達へ戻って夜ごはん。気になっていたおそば屋さんが終わっていたため、別に気にしていたメン・ショップ「元祖鶴つる亭」さんに入りました。

でっかいたくあん

赤味噌らーめん+小ライス。GOD MEN

 

意地でも単純往復をしたくない人間、行きはお船、帰りはJR。

チケットホルダー撮りがち

車内で立香コンビ(?)を吸い込みました。プリンはたまごが脳内に直接語りかけてくるし、トマトジュースは言わずもがなトマト トマト トマト トマト

おいしい

汽車は速い。18時半に伊達紋別の駅を出て、22時半には弘前に着きます。りんごめぐりを終えて帰ってきても、りんごがあります。

 

翌日、壮瞥から発送したりんごが届きました。いい箱。

道の駅・各果樹園から発送できるほか、ミナミナさんでも発送してもらえる

おわりに

当方はひなたPではなく、ひなたのオタクでしかありません。勢いに乗っかってこのような文章を書いているだけであって、北海道、そして壮瞥町とひなたの関係を熱烈に発信してきたひなたPの皆さんにスーパー・クソデカ・パワフル・感謝をするところです。その熱意を汲み取り、ここまで大々的なコラボにまで押し上げた壮瞥町の皆さんにも、ハチャメチャ・BIG・トンデモ・感謝の気持ちでいます。本当にありがとうございます。

 

ところで:ぱにろくさんとの共著で、『木下ひなたの田舎を探ろう!』に続く本を出そうと考えています。11月19日(日)開催のISF11*15で出す目論見もありましたが、あまりにも急拵えになる上、執筆する2人とも申し込んでいないため、C103*16新刊として発刊する予定です。

正式に(?)ひなたの田舎となった壮瞥、そしてりんごめぐりを中心に、前作の時点で判明していなかった部分、また掘り切れなかった部分を増補。インタビュー記事も掲載します。お楽しみに!

 

そうべつりんごめぐりは始まったばかり。これを機会に、壮瞥を訪れると吉です。

最後に、まえはしふみこさん(壮瞥町地域おこし協力隊)にいただいたメッセージを掲載して記事を締めようと思います。

(まえはしさん、そして壮瞥でお会いした皆さん、ありがとうございました!)

 

 

*1:『青森りんごジュース約100点』はメロンブックスで予約受付中!

*2:TOHOシネマズ おいらせ下田・青森県上北郡おいらせ町

*3:フォーラム盛岡・岩手県盛岡市

*4:ユナイテッド・シネマ豊洲・東京都江東区

*5:札幌シネマフロンティア・北海道札幌市

*6:アニメ9話でロケーション協力としてクレジットされていたホテル

*7:稚内~函館を路線バスのみで移動した

*8:洞爺湖唯一の流出河川

*9:土を天地返しする大きな鋤

*10:回転させて砕土・すき込みを行う

*11:中耕除草・培土・芋掘りなど万能耕作機として活躍した

*12:○囲み留

*13:販売所は300mほど入った所にある

*14:昭和6年(1931)まで達観内(たつかんない)

*15:765・ミリオンオンリーイベント

*16:冬コミ