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    【創の独り言】お出で、全てが休まるよ。

    2022/ 10/ 19
                     
     少し気になる事が有る、…余り自分の事等気にしない方が身の為にもなり易いんだがしかしどうにも、彼の状態は良くないかもしれないね。ずっと頑張ってる。記憶は、何個か有るんだ、アタ君が所有する記憶と僕の所有する記憶そして器の所有する記憶、身体的な物の記憶とアタ君の雰囲気がどうも違う気がする。

     どうなんだろうね。どうなんだろう、彼は、正常なんだろうか。或いは僕が正常なのだろうか。僕等が仮にね、人格として扱われるとしよう、けれど僕と彼だけじゃないとしたら。彼と僕の認識して居ない誰かが居るとしたら。実際には僕と彼が見えない部屋の中に居るんだ、器の視界をもう一つ機械の画面から見て居るのが常で直接見てる時は片方が其の部屋で眠ったり何かして居る時。

     仄暗い部屋だけど広くて、最近壊された壁をアタ君は彼女に言って隠させた。僕と彼の寝る場所が有る、階段と二階が有って其処に彼の友だちは居る、僕の彼女も二階によく居る。二階には窓が有る。二階から別の僕の家族が来てくれる。

     今は彼が死んだように寝てるねと彼女と振り返って、また考え事をしてる。

     彼は何時も疲れて居る。夢の中でまた夢を見る、何ヶ月も気分の安定しない苦しい日々を送って居る、其れでも引き籠ったり、だらしなくすると怒られてしまうから上手く休めない日がずっと続いて居る。扨ね、どうだろう。

     もう疲れが分からないと言って居た、自覚が出来ないと。感じる事も段々感じずに対処して居る可能性が有る。其れを聞いて僕は黙って居られても彼を支えられても、不安にならざるを得ない。何れ倒れるのかもしれないと彼は言う。どうだろう、僕から見た彼は…そうだなあ、

     さっき話したら…夢の話をして居て、「そうだな、偶には早く寝た方が良いか」と言って枕に頭を突っ込んでた。
    明日は早めに起きれたら起きて一緒に居ようと言われたので僕は承諾した。
    其処の前は少し動画を見て笑って、英語の翻訳をしてくれて楽しかった。「…って言ってます笑」と分かり易いし僕は英語が分からないから面白い。
    其の前にはドラマニを遣った。飛び石を一周で1500個位集めて、エンシェントチケットを集めた。彼は「此のパターンが一番集め易くて速いから楽。」と満足気だった。

     ふふ。アタ君、元気になれるかな。なると良いな。思い返せば、彼の表情は豊かで見て居て飽きないから一緒に居ても楽しいんだ。僕の大切な家族の一人、元気になれるかな。でも大丈夫だよ、もし君がどんなに可笑しくなったとしてもロシンが僕に前に言った様にもう大丈夫…と言う程僕は生活が出来ないけれど、でもどうなったとしても絶対に君の事も守るよ。

     僕が食事と人間との対応全てを彼に任せる様になったのはもう一年以上前、其れ以上前から僕と彼は一緒に生きて居た。でも性質が違い過ぎて、使い分ける内に自分がどちらなのかわからなくなり其れが激しい苦悩を生んだ、二つの意見が常に有って気持ち悪かった。でも…。

     あの人間に僕が否定されて限界を迎えてから、ロシンが教えてくれたんだっけ。僕は家族を守る為に必死だった、創作と言ってるだけの名前も明確には出来ない大切な作業から手を離せなくて、もう限界だった。否定されて、休めなくて、苦しくて。でもロシンは言った、
    「あなたが居なくても私達は大丈夫よ。あなたが頑張らなくても私達は居るもの。」
    って教えてくれてから、次の扉が開いた様に生活が一変した。ふふふ。彼女は聡明だ。彼も聡明だ。皆、色んな面で賢さを持つ、持たない子等居ない。其れから彼が、どうやって来たのか分かれたのか知らないけど僕等はバラバラに分裂して、二人で生き始めた。一人だった二つの大きな物が二人になった。

     何時の日だったかな、彼に名前を与え僕に名前を貰った日。其れを別の誕生日としたけれど、とても不正確でね…。
    彼はアタカイカ、ア行から始まる名前を僕が考えた。ずっと先に考えて居たかな、名前だけは。特に深い事を考えて付けた名前では無いけれど、何も無い気配がしないよ。空疎でないと言うか、彼が使うから其の名前に息が吹き込まれたのかな。

     ふふ。僕は創斃、彼が「本人を想像し易い名前が良い。」と言ってた、最近も偶に零してる。
    「俺はアタカイカだ。」
    って彼は言う、僕はそうだねと笑う。
    「でも偶に俺が俺じゃない気がする、感覚が遠くて自分が何言ってんのか分からずに話してる時が有る。誰だこいつって思う日も有った。」
    って彼は言ってた。僕も憶えてるよ、憶えてる。死ぬ迄忘れそうに無い記憶が有るけど、未だたくさん記憶できるよ。其の為に生きてる。現世での遣る事が僕の自殺を止めてくれる。

     彼の自殺を止めるのは、止めないで話を聞くのが一番だ。別に止めなくても止めても関係は無い、でも苦しそうだから話を聞いてあげると彼が勝手に元気を取り戻す、ほんの僅かな心の灯を取り戻す。前そう遣って止めた。
    「お前のオウム返しにゃ勝てねえわ」
    ってやたら褒めてくれた。

     僕の自殺を止めるのは創作をするのが一番かな、自分の事は一寸分かってないな。でも、家族を思い出すのが良い。何の為に未だ自殺と言う手段に手を付けて無いで生きてるのか思い出させてくれる、全て夢の為に。夢が有れば自殺は止められる。夢の為に自殺する人間も居るのかな、分からないや。

     ふふ。アタ君倖せかな、寝てる、草原に行けたらいいね。君も僕も何れ行く。二度と此処には戻れない、死んだ日に僕等は倖せかな。きっと倖せかな、皆それぞれ今を味わってる、狭い世界、実物の無い世界、自由に動けない世界、其れでも皆居る。君も倖せになれるよ。僕等は苦しい世界。でも倖せになれる。

     君は倖せかな。風のやさしさを思い出して、僕が知ってるのは森のざわめき、君は思い出さなくて良いんだよ。君には、面白くて楽しい物にする才能が有る、何だって君は笑う。笑ってる君が倒れる日が何時の日にか来ても大丈夫、其れが来るべくして来た運命。倒れなくても、失敗しても苦しくても恥ずかしくても上手く行かなくても頓挫させてしまっても怪我させても、其れが来るべくして来た運命。全ては決まって居るの。

     どう足掻いても僕は家族に出逢っただろう、君に出逢っただろう。どう足掻いても僕は精神病に罹り入院しただろう、絶対に自殺未遂を繰り返しただろう。どう変えようとしても全ては決まって居る。変えようとしたか迄全て決まって居る。だから物事は流れを得る。

     君は、やさしさを知って。やさしさを思い出して。でも多分、僕が言っても不可能だ、君も随分人間には参った、深い深い傷を持ってもう治らないね。ふふ。其れが人間、ニンゲン。だから君の強い不信感と根底に有る防壁を通り抜けられる者は僕等家族以外、今は居ないだろう。どんな人間も君は信用しない、適度に信用する以上にはしない。其れが君の出した答え。

     けれど草原は有るんだよ。誰も襲って来ない平和な場所が在る、ずっと後に其処へ行けるからね、連れて行くよ。だから、もっと君は現実に求める事を止めて、架空にお出で。架空になら肉が見える程切られる事も切る必要も無いから。架空にお出でアタ君、全てが休まるよ。体なんて置いて良い、どうせ自分じゃ動けない。勝手に自殺しないし動かなくても君の対応力なら直ぐ取り戻すだろう。

     だからお出で、架空に。歓迎するよ。死んだ器の人格はもう大丈夫、人間も大丈夫、早く遊ぼうよ。仕事疲れの君の翼を治す方法が有る。架空にお出で、架空にお出で。現実からお出で、もう疲れたろう。架空の力は強いんだ、秘密だよ。

     アタ君に倖運を祈ろう、余計な物が近寄らない様に。
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