1980s 洋楽★創作物語

Original Stories of 1980s Pops〜80年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。UK中心の80s楽曲が登場!20年振りに描くイラストも一昔前風・・・( ˘ω˘ )

新年、4年目突入!

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)ペコリ

〝ご挨拶〜始まりは1985年〟にもあるとおり、コロナ禍の暇つぶしで書き終えた物語をブログにしたのが2022年1月。当初は毎日のようにUPして、一年ぐらいで終わるだろうと思っていたんです。

でも始めてみたら「もっとアーティストや曲を絡ませたい! ト書き(という体のツッコミw)も挿絵も載せたい!」と、思った以上に手間をかける事態に陥ってしまいました (汗) 
特にイラストは、落書きですら20年以上も描いていなかったので、最初は全く描く気になれず、せっかく買ったペンタブも放置……

なんとか重い腰を上げて描いてみたら、物語のシーンが次々と浮かんできて、裏話 (No.3-016)や後日談 (No.1-026) まで「これは具現化したい!」と俄然やる気になったという (笑) 
でも初めてのデジタル画で未だに勝手も掴めず、ポーズアプリにも四苦八苦。やたら時間がかかってしまいます (泣)

そしてコロナ禍も終わり、通常運転の日々──

時間がなくなり前倒しで進めていた記事(YouTube リストには既に掲載済み)に、とうとうイラストが追いつかなくなりました (ノД`)💦
実はチャットAIを導入し、文章とサイトのデザイン修正、さらにイラストの描き直しまで進めてしまい、手が回らない状態に……

何を言いたいかというと〝しばらくUPを休みます〟です🙇

その間に、イラスト制作を進めたいと思います!
次の7章はフレッドの幼少期・70年代の物語なので、ちょっとクラシックな書籍のような雰囲気にしたいんですけど、理想通りにできるかどうか……イラストAIも近いうちに、自分の絵柄で簡単に(タダでw)できますように✨

下記も脳内シーンの描き起こし。また本編と関係ないところに、労力を使ってしまった (^^ゞ

No.6-033 Blue Dreaming (章末) 最後に残るのは?

「僕が君を忘れるわけないじゃない⁉︎ 君のほうこそ僕を忘れてたでしょ? いや、忘れたかったよね、あんな追い詰めるようなことをしたんだもの……」

フレッドの言葉に
パティは首を静かに横に振り、
大きな丸い瞳を潤ませた。

「あの時は、ごめんなさい。黙って行ってしまって、ごめんなさい。ずっと後悔してて、私――」

そこへヤマグチさんが
やって来た。

「おーい、早く車に乗ってくれ!」

急かされたメンバーは
次々と楽屋を後にしていく。
僕はオロオロしているフレッドの肩を
軽く叩いて促した。

「一緒に来てもらったら?」

「あ、うん! サム、パティ、まだ時間ある?」

兄妹は顔を見合わせ頷くと、
フレッドはホッとした様子で
二人を連れ出した。

â—† â—† â—†

ホテルに向かう車バンの中で、
サム&パティと盛り上がっている
フレッドを遠目に見ながら、
マークが面白くなさそうに呟いた。

「フレッドの奴……あーんな可愛い彼女がいたなんて。オレを差し置いて許せん!」

「君だって女の子は、引く手あまたじゃないか?」
と呆れる僕。

トニィはからかい口調で
マークを突いた。

「今、外に飛び出して見ろよ⁉︎ 追いかけてくる女の子たちに、もみくちゃにされるから」

「それは勘弁してくれ」

両手を上げて降参するマークに、
ふと思い付いたことを言ってみた。

「なあ? メンバーの中で、誰が最後まで独身でいるか、賭けない⁉︎」

マークは間髪入れずに
こう返してきた。

「おっ、賛成! そりゃお前だな、ジェムに50£!」

「言ってくれたな⁉︎ 僕は、そうだな――」
とメンバーを見回しながら考える。

「少なくとも、オレは当てはまらないよな?」

彼女のいるトニィは、自信満々だ。
なんかムカツクなぁ。

あっ、いたいた! さっきから
話しに加わらない奴が一名。
わざと彼に聞こえるように
声を上げてみた。

「じゃあ、僕はヤスに50£!」

そしたら、意外!
スルーされると思ったのに、
ヤスはニヤッと笑って振り向き
指差したのは――

「マーク・テイラー、俺は君に100£という大金を賭けてあげよう」

これには、僕とトニィで大爆笑!

「おいおい!? オレのモテっぷりを知らねぇのか〜?」

「いくらモテたって誰か一人を選ばなきゃ、結婚は無理じゃん」って
マークとヤスが、ふざけ合う。

 

ヤスの言い分はごもっとも。
だからマークが、一途な〝あの子〟を
選んだら……

これは、うかうかしていられないよ⁉︎ 
早くステディになれる女の子を
見つけないとね!

……To be continued

始めから読む(No.6-001)

 

 6章終了\(^o^)/ ご愛読いただき誠にありがとうございました。ラブ・ストーリーのおかげで、たくさん女の子を描けたし怒涛の如く曲も紹介できて満悦しておりますw

 次回7章は、フレッドとパティに何があったのか? フレッドの幼少期8年間の物語で、構成もちょっとイレギュラーになってます。60〜70年代のUK大御所アーティストを続々絡めていきます! 予定曲はコチラYouTubeリストから。引き続き、よろしくお願いします(•ᵕᴗᵕ•)⁾⁾

No.6-032 Blue Dreaming シャイな彼女と奇跡の再会

feat.Kajagoogoo

「なに言ってんだ?」って
ぼやきながら、
鏡に映った自分を見て分かった。

両耳のピアスは両性愛者バイセクシャルを
表すからねーって、ちょっと待て⁉︎ 
右にも付けろって言ったの
お前じゃないか? 
二日酔いじゃなかったら
制裁を打つのに……覚えてろよ⁉︎

 

 

★      ★      ★

 

 

スタジオに入った僕等は
盛大な拍手に迎えられた。
テレビカメラの前で
代わり映えしない司会者の質問に、
お決まりの答えを並べる。

それにしても
すごいスタジオセットだな。 
日本のミュージシャンは、
いつもこんな豪華なセットで
歌っているんだ?
さすが金持ち日本!

「どうぞ」
と通訳の合図でセットの中に入り、
司会者の紹介で曲が流れ出した。

その時、スタジオの奥に
サムの姿が見えた。
彼の隣で祈るように両手を合わせ、
一心にこっちを見つめているのが
彼の妹だろう。

フレッドも気付いたみたいで、
プレイがぎこちないよ⁉︎ 
音は出してないから、いいけどね。

僕のマイクもオフだけど、
彼の奇跡の再会を祝して
思い切り声を上げて歌った――

â—† â—† â—†

無事に出番を終え
控え室で帰り支度をしていると、
サムがやってきた。
彼の後ろに見え隠れしている
妹の姿もある。

「おい、どうしたんだよパティ⁉︎ お前が会いたいって言うから、親父に頼んだんだぞ!」

サムが腕を引っ張るも
彼女は兄の背中に隠れ、後退りする。
『すっごくシャイ』みたい⁉︎

[Kajagoogoo『Too Shy』Released:10 January 1983]

 

 

「やあサム! そちらのシャイなお嬢さんが、妹さんかな?」

マークがすかさず声をかけた。
ホント、目ざといんだから。

「ほら、早く行きなよ⁉︎」

僕はフレッドの背中を押し、
マークの首根っこを引っ捕まえて
後ろに下がると、皆んなで遠巻きに
二人の様子を見守った。

意を決したフレッドが前に進み、
サムに押し出されて俯いている
パティの正面で立ち止まった。

「えっと……ちょっとゴメン?」

フレッドは、そっと手を伸ばし
ビクッとした彼女の
長い髪を束ねたサイドから
こぼれ落ちる前髪を、
静かに払い退けた。

「おおーっとフレッド君、大胆です!」
と冷やかすマーク。

「ち、違うよ! 変な誤解するなよ⁉︎」
フレッドは焦りながらも
彼女に向き直る。

「もう目立たないみたいだね? 良かったよ」

すると、パティは震えた声で答えた。

「覚えてたの? ここの傷なんて全然平気。もう、そんな昔のこと忘れてると思った。私のことなんて、忘れてると思ってた――」

始めから読む(No.6-001)

 

 カジャグーグーと言えば、この『君はTOO SHY』とリマールの『ネバーエンディング・ストーリーのテーマ』(1984)、そしてデュラン・デュランの弟分って認識だけだったのでwikiをチェックしました!

 起死回生を狙っていたバンドに、ヒット曲のなかった歌手ハミルが加入。バンド名をカジャグーグーに、ハミルも綴りを入れ替えリマールにしたら大ヒット!って、もしや姓名判断が良かった? (笑)

Music Video
Kajagoogoo - Too Shy

 でもリマールが「バンドの取り分の50%を要求」してクビに・・・あれ、それってNo.6-002のフレッドでは!? 金銭トラブルもバンドあるあるなので、彼らも気を付けてほしいものです( ˘ω˘ )

 

 

その他のアーティストはこちら!

No.6-031 Blue Dreaming 足りない愛のレッスン

feat.Level 42

「僕も振られたよ!」

「えっ!? もしかしてジェム、ケイトのこと本気だったの?」

驚くフレッドに
一連の出来事を話して聞かせた。
アルコールが進む進む。

 

「――そしてコレが、行き場を失った可哀想なピアスさ!」

ポケットから取り出して見せると、
フレッドは興味津々に手に取った。

「もったいないねぇ、すご〜くきれいなのにぃ」

しげしげと眺める弟を見て
ピンときた!

「そうだ、君がつければいいんだよ⁉︎ 同じような瞳の色だし、兄弟でペアっていいじゃない?」

「えーヤダよぉ、穴を開けるの痛そうだもん。それよりジェムの右耳に嵌めたら⁉︎ せっかく開けた穴が塞がっちゃってるよ? ほらほら、アルコールで消毒してあげるから」

酔っ払ったフレッドが
ピアスをじゃばじゃばと
ウォッカに浸す。

「え〜そうかなぁ? あれ、ちょっと血が出ちゃったみたい。スプラッタ⁉︎ 痛くないけどね、はははっ」

僕は酔った勢いで、鏡を見ながら
そのピアスを右耳に嵌めた。

「お酒で血の巡りが良くなってるもんね? はい、血のように赤いワイン〜」

フレッドはグラスにワインを注ぐと
テープから流れてきた曲に反応し、
拳を振り上げながら叫んだ。

「そうだよ! 僕達には『愛のレッスン』が足りないんだ!」

 

 〜♫ 僕たちの築いていたすべての夢は 叶えられなかった もっと良くなるかも もっと良くなるはず 愛のレッスンのために ♫〜

[Level 42『Lessons in Love』Released:14 April 1986]

 


僕等は一緒に歌い出し、
まだまだ飲み続けた。
ベロンベロンに酔っぱらって
一晩中慰め合う……
なんて虚しい兄弟なんだ!

â—† â—† â—†

翌朝――

「ジェム、大丈夫……?」

洗面所でグッタリしている
僕の様子を見に来たフレッド。
アルコールは弟のほうが
強いみたいだ。

いや、よく思い返してみると、
彼はグイグイ飲んでいるように見えて
その実、量はそれほど
飲んでなかったんじゃないか⁉︎

「ズルい……」

そう言うのがやっとで顔を洗うと、
フレッドがタオルを差し出して

「僕ね、ジェムが間口を広げたのは、素晴らしいことだと思うよ。相手が男だとしても、僕は応援するからね?」

そう呟き、そっとドアを閉めて
出て行った。

始めから読む(No.6-001)

 

 レベル42、登場\(^o^)/『サムシング・アバウト・ユー』(1985) も捨てがたいけど、失恋兄弟には『レッスン・イン・ラブ』を。ボーカル兼ベーシスト、マーク・キングのキレッキレなチョッパー (スラップ) がカッコイイので、うちのマークにも見習ってもらいたい〜

Music Video
Level 42 - Lessons In Love

 この章で、男性のピアスについて取り上げた理由はNo.6-010に書いたけど、ジェムが両耳にピアスをしてたら弟のせいだということでw 後で右耳のは外しておかなくちゃ (^^ゞ

 

 

その他のアーティストはこちら!

No.6-030 Blue Dreaming ドライブ、夏の終わり

feat.The Cars

バックミラーに映る二人の姿を
確認すると、手を振るケイトの唇が
スローモーションのように動いた。

「ありがとう、お義兄にいさん」

 

二人の姿が、完全に見えなくなる頃
ラジオから『ドライブ』が流れ始めた。

[The Cars『Drive』Released:23 July 1984]

 

曲を口ずさみながら
〝もう彼女を車で送るのは、僕じゃない〟
そう実感すると
辺りの景色が滲み出し、
海に沈む太陽と
流れるヘッドライトが揺らめいて、
地平線を上手く捉えることが
できなかった――

â—† â—† â—†

家に着いたら22時を回っていた。
シャワーを終えてキッチンに向かうと
フレッドの気配を感じて、
元気よくドアを開けた。

「ただいまー! あれ、何してんの?」

振り向いたフレッドが

「ああ、お帰り。今クリスプ[ポテトチップス]探してたんだ。それ、僕の部屋に持ってってよ。ジェムも飲むでしょ?」

と指差したテーブルには
ペールエール[ビール]、ワイン、
スコッチ、ウォッカと
あらゆる酒瓶が置いてある。
僕は言われるがままに
それらを抱え、彼の部屋へ。

 

フレッドは、お気に入りの曲を集めた
カセットテープを流し
照明を落とすと、
ペールの栓を勢いよく開け
高らかに声を上げた。

「さあ、今からここはバーだよ⁉︎ 日常を忘れて飲み明かすんだ!」

「いったいどうしたんだ? ふだん飲まないくせに」

目を丸くする僕に構わず、
フレッドはペールをゴクゴク飲み出した。

「あー美味しい! たまにはこういうのも、いいもんだよね?」

もしや試験の結果が悪かったのか?
いや、発表はまだのはず……
そう心配する僕の肩に寄りかかると、
フレッドはポソっと呟いた。

「ヘレンに振られちゃった」

「えっ⁉︎」

まさかの話に言葉を失っていると、
フレッドは苦笑しつつ
説明してくれた。

「彼女さ、彼氏に浮気された当てつけで、僕と付き合ったんだよ。でも彼氏が謝ってきたから、二人は元の鞘に収まったってわけ。当て馬の僕は、お役御免なんだ!」

呆気にとられている僕の手から
クリスプを奪ったフレッドは、
それを頬張りながら
溜め息混じりに続けた。

「彼女に『あなたといると安らげたけど、ごめんなさい』なんて泣かれちゃ、こっちは何も言えないよね?」

ヘレンに恋していたわけじゃないから
別れるのは全然いいんだけど
自分が振られる側になるなんて、
と少し決まりが悪そうだ。

「ところでケイトは? 一緒じゃないの?」

そう訊かれると
僕もグイッとペールを飲み干し、
勢いよく答えた。

始めから読む(No.6-001)

 

 あれ、カーズってアメリカ? イギリスだと思い込んでた (汗) でも『ドライブ』をテーマにした時点で外せない名曲なので、登場決定! カーズとしてはベンジャミンが歌うこの曲よりも、リックが歌う第1回MTVアウォードを受賞した『ユー・マイト・シンク』(1984) の方が代表曲かな?

 ちなみに『ドライブ』のMVに出てくる女性(当時ケイトと同じ19歳)この5年後ぐらいに、リックの3番目の奥様になりました。21歳差 (!)

Music Video
The Cars - Drive

 それにしても、兄弟で同時に失恋とは痛いw しかもこれ、夏休みの間(長く見積もっても一ヶ月半)の出来事なんです。夏の恋は打ち上げ花火・・・( ˘ω˘)

 

 

その他のアーティストはこちら!