物理数学の直観的方法

物理数学の直観的方法―理工系で学ぶ数学「難所突破」の特効薬〈普及版〉 (ブルーバックス)
「物理数学の直観的方法(長沼伸一郎 著)」が、物理数学のわかりやすい解説書としてベストセラーらしい。
このような書籍の存在を知らなかったのだけど、先日にブルーバックスから普及版が出たということで、さっそく購入して目を通して見た。

結論から言ってしまうと、理工系の学生は買っておいて損は無いだろう。
もしもオイラーの等式
e^{i \pi}=-1
を見て、何もイメージがわかないのであれば、購入すべきだ。

この書籍を読めば、これまで理解不能だった内容があらかた明瞭にイメージできるようになる!、と断言するのはちょっと難しいけど、ブルーバックスということで1000円ちょっとの価格で手に入る。
この価格で大学数学に対するアレルギーが軽減できるのであれば、安いものだ。

著者はよっぽど大学での数学教育にフラストレーションを感じたのだろう。その憤まんが書籍の行間から滲み出るどころか、紙幅の多くを割いて不満タラタラと言った感じだ。
作者と同じく大学で学ぶ数学の難解さにフラストレーションのたまっている方には、鬱憤の吐け口としての価値は十分にあるのだと思う。詳しくはAmazonのレビューを読むといい。

ただ、この書籍の初版が出版されたのは実に24年前である。それ以降、理工系の書籍は山ほど出版され、著者が言うような難解なものばかりではなくなってきた。
わかりやすく親切な解説書も多いし、当ブログで紹介しているように、インターネット上の情報も多い。すでに大学の教室で数学を学んでから何年も経った私にとっては、特に新鮮な内容はあまりなかった。もし学生の時に読んでいたら、少しは感想が異なるかもしれないが、今の時点では、やはりもう少し厳密で、簡潔な(著者の感情論は省いた)説明の方がスッキリ読み進められるように感じる。

この普及版、2011年の9月20日に第1刷が発行され、その17日後には第2刷が発行されている。いずれにしても、物理数学界のベストセラーであることには間違いなさそうだ。