リアルタイムに読む楽しさと、完結してから一気に読む楽しさと
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自分はこの漫画を単行本の14巻までは、単行本が出たら読むという普通の“単行本派”として読んでいたのですが……この漫画は登場人物が多くて、それぞれがそれぞれの目的のために別々に動いているため、新刊が出て読んでも「あれ?なんでコイツとコイツが一緒にいるんだっけ……」と分からなくなってしまうことが多くて。かと言って、新刊が出る度に1巻から読み返すのは大変で。
「時間が出来たらまとめて読もう」と放置していたら、いつの間にか完結してしまっていたという。
正直なことを言うと、今もそういう漫画が何本も私の本棚には眠っています。
「新刊出たけど前の巻の話を覚えていないからどうしよう……」と放置している漫画がいくつもあるのです。
「完結した漫画」を一気に読むのは、とてつもなく贅沢な楽しみだと思います。
『鋼の錬金術師』を27冊一気に読んで(15巻以降は初めて読む話)、「次の巻が出るまで待たなくてイイというのはすごく幸せなことだ!」と心底思いました。続きが気になる!→すぐ読めるし、前の話を忘れないでいられるし、時間を効率よく使えているとも思えます。
“漫画”は比較的、「後からでも楽しみやすい娯楽」ですよね。
単行本という形になっている作品ならば、完結してから何年かが経っていても後から買って読むことが出来ます。20年くらい前ならば「昔の漫画だから手に入らない!」ってこともありましたが、今ならインターネットで全国の在庫を探せるようになりましたし、“電子書籍”という文化が根付けば今後はますます「昔の漫画だから読めない!」ってことは減るんじゃないかと思います。
だから、「連載が完結してから一気に読む」のでも問題なく楽しめるし、自分はもう10年くらい前から「完結した漫画を一気に読むのは楽しいよ」と言ってきました。
作者や出版社の立場からすると「完結する前から応援してくれないと打ち切りになっちゃうんですけど!!」という話なんで。「完結するのを待つ」というのは、本当はあまり良い行為じゃないんですけどね。
しかし、「完結した漫画を一気に読むのは楽しい」一方で。
「リアルタイムに追いかけているからこその楽しさ」というものも、絶対にあるのです。
昔の名作ゲームを今遊んでも100%の面白さを味わえるワケがない
これは、今年の1月に書いたゲームについての記事です。
『ドラクエ』だって『マリオ』だって、ゲームは一人で遊ぶものではありませんでした。みんなで情報を共有して「○○はどこどこにあったぞ」とか「無限1UPという方法があるらしい」と模索しているのが楽しかったのです。それは何十年も経ってから攻略サイトを観ながらプレイしても決して味わえない楽しさじゃないか―――という話です。
これはゲームに限った話じゃないと思います。
漫画だって、クラスで「今週の○○読んだ?」という話をしていましたもの。
昔、某漫画雑誌の感想サイトをやっていた頃、雑誌の発売を心待ちにして、一作品一作品を大切に読んで感想を書いて、それをみんなで共有したりあーだこーだ言い合ったりするのが楽しかったです。「来週どうなるんだろう」「○○の出番キターーー!」「俺の大好きな漫画が打ち切りになりそうじゃないか!」と言い合っていた楽しさは、リアルタイムでしか味わえない楽しさですよね。
“単行本派”は“漫画雑誌派”よりかはリアルタイムではありませんが、それでも人気作品ならば「○○の新刊はどうだった」みたいな話をTwitterで見かけることはあります。『よつばと!』なんかは、特にそういう人を集めてTLを作っているワケでもないのに、自分のTLでも話題に出している人を見かけます。
そうやって単行本1冊1冊出るのを待ちわびて、やっと出たぞとみんなで共有するのはやはり「完結してから一気に読む」のでは味わえない楽しさだと思います。
それこそ『鋼の錬金術士』も、リアルタイムで追いかけていた頃は単行本1冊1冊感想を書いていたりしましたね、私。その頃の閲覧者はもうあまり残っていないと思いますけど……
アニメもそうですね。
Twitterを見ていると、アニメを文字通りリアルタイムに視聴しながら実況ツイートをしている人がたくさんいる一方で。「とりあえず全作品を録画しておいて、話題になっているのだけ全話終わってから一気に観る」という人も見かけます。
面白いか面白くないか分からない作品をとりあえず片っ端からリアルタイムに観るよりも、完結してから話題作だけ一気に観る方が効率の良い時間の使い方だと思う一方で―――「みんなで同じ作品を楽しんでいる」感は、やっぱりそれだと薄れてしまうよなぁと思います。
まぁ、アニメの場合は放送しない地域とか放送が遅れる地域とかもあるんで、それ以前の問題も多いんですけどね。
それでもやはり時間がなくてリアルタイムに追いかけられないこともあるし、昔の名作を今から触れてみたいって場合はどうしたって「リアルタイムだからこその楽しさ」を味わえませんが。
そういう作品のレビューなんかを書く時も、「自分は“リアルタイムだからこその楽しさ”を味わえていないんだ」ということは自覚しなくてはならないなと思うのです。その上で、今この時代に楽しめるのかどうかを考えなくてならないな、と。
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