先週までの内容を覚えていられない
面白いドラマは「すぐに続きが観たい!」と思うので、日本のテレビドラマの「続きはまた来週」に耐えられない。そして実際に1週間経ってから観ると、先週の内容を覚えていない。なので、海外ドラマをDVD等で一気に観るのが性に合っている――――こんなカンジの話でした(意訳)。
こうやって文章でまとめると「じゃあ日本のドラマもDVD化されてから一気に観ればイイんじゃ?」と思わなくもないのですが、それだと世間から大分遅れた話題になってしまうし、ラジオパーソナリティという仕事上「みんながしたことがない経験を話したい」という意識があるのでしょうから……優先順位が低くなるのは、まぁ仕方がないかなというのが伊集院信者の私の見解です。
さて、この話――――
伊集院さんは「これは老化が進行して物忘れが激しくなったから」と仰っていましたが、必ずしもそれだけじゃないんじゃないかと思い出すことがありました。
自分が漫画の感想サイトをやっていた頃、
20歳そこそこの友人と漫画の話をしていたら、週刊漫画雑誌で毎週読んでいる漫画でも「先週の内容」を覚えていないので、20ページ中10ページ目くらいまで「先週ってどんな話だったっけ?」と思い出す作業に使うとのことでした。ましてや伏線なんて覚えてられるワケがない、とも。
当時自分は「漫画を読む」ことが楽しくて仕方がない時期で、人生の楽しみの80%くらいは「漫画を読む」ことだったので、彼のその発言はえらくショックでした。あんなに綿密に計算されて読者を楽しませようとしている漫画を、その読み方だと半分も楽しめないだろう!と。
でも、「漫画を描く」側になるとそんなもんかなと思うようになりました。
雑誌によって方針は様々なんですけど、駅の売店で買って電車の中で読んで着いた駅のゴミ箱に捨ててもらうみたいなタイプの雑誌の編集者さんには「読者はセリフを読まないものと考えてください」と言われたことがあります。「こういうコマは読者は読み飛ばします」とかも。
当たり前の話ですけど、「漫画を読む」ことに情熱を100%ぶつけてくれる読者ばかりじゃないんですよね。そういう条件の中で如何に読者を楽しませるかを工夫するかが大事なので、それまでは「内容の薄い漫画だなー」と思っていた作品も実はものすごく計算されて作られているのだと思うようになったのです。
閑話休題。
当時の友人は20歳そこそこ―――
現在40代の伊集院さんは「老化したからじゃないか」と仰っていましたし、その要素がゼロだとは思いませんけど、若くてもそういう人は沢山いるので。単に「優先順位」の問題じゃないかなぁと思うのです。
来週の『ドラゴンボール』の展開だけを気にしていれば良かった時期と違い、仕事だったり勉強だったり部活だったり、映画・音楽・レジャー等の趣味だったり、車に乗るんだったら道を覚えたり、恋人や友人なんかの人間関係だったり、政治の話だったり経済の話だったり地域のお祭りの話だったり。
覚えなきゃならないことが増えたら、漫画やドラマの「先週の内容」を覚えていられなくても仕方がないと思うのです。
もちろんそんな中でも本当にハマってしまうものがあったら「先週の内容」も事細かに覚えていられるのでしょうから、そこまでハマっていないから覚えられないんだ―――とも言えるとは思うんですけどね。
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かつては人生の楽しみの80%くらいが「漫画を読む」ことだった自分ですが、徐々にそうでもなくなって、自分も「先週の内容」を覚えられなくなってしまいました。なので、「単行本が出たらまとめて読もう」と、雑誌派から単行本派に移行したのですが……
単行本は数ヶ月とか数年に1冊という空白期間が空くので、新刊が出る度に「前の巻の内容を覚えていない……」と前の巻から読み返すと前の前の巻も覚えていなくて、結局新刊が出る度に1巻から読み返すことに―――4巻目とか5巻目とかならそれでもイイのですが、10巻を越えたあたりから新刊が出るのが憂鬱になってきて。
全部完結してから、まとめて全部読めばイイや!!
と、買ったまま放置して、実際に完結しても面倒くさくなって読んでいない漫画がいっぱい!
漫画感想サイトやっていた頃の自分に会ったらぶん殴られそうですね!!
自分がテレビアニメの視聴を「週3本」とかに限定しているのもそういう理由だったりします。
それ以上は内容を覚えられないから。
ゲームもこういう理由で、RPGなどのストーリーものが出来なくなってしまいました。
1週間起動していなかったり、脇道イベントを必死にこなしていたりしている間に―――「あれ?今ってどんな話だったっけ?」と忘れてしまうからです。というか、だから「やりこみ要素としての脇道イベント」が苦手です。それ自体はイイんだけど、本筋を忘れてしまってそのソフト自体を挫折してしまうことがしばしば。
ゲーム業界もそういう危機感があるからか「起動する度にあらすじを説明してくれるゲーム」も最近は増えてきたのですが、そういうゲームに限って毎日起動しているから「流石に毎日あらすじ説明されるのはウザイよ!」と思ってしまうという(笑)。
今のゲーム機は本体に時計が内蔵されているんだから、「1週間起動していないとあらすじが出る」みたいな仕様にしてくれませんかね。
私が映画の三部作とかが苦手な理由も、「過去作品の内容を忘れてしまう」からなんですが。
最近は「最新作」の上映に合わせて「過去作品」をテレビで流したりもするので、じゃあちょっと待ってテレビで観れば内容を忘れなくてイイんじゃないかと思ったりも。
あんれ………何だか、「オッサンの老化自慢」みたいになっている!
「腰が痛くてよー」とか「最近のアイドルとか全員同じ顔に見えるよー」みたいなアレ。
まぁ、でもこれは「オッサンだから」というよりかは。
情報と娯楽が豊富に溢れている時代だからという話なので、こういう現象は年齢関係なく今後も続いていくのでしょうし、以前に書いた「続きが気にならない」型エンタテイメントは今後もキラーコンテンツになっていくんだろうなぁと改めて思いました。
『よつばと!』なんかは1年に1冊ペースの新刊ですけど、前の巻を覚えていなくても楽しめますもんね。続きの回もなくはないのですが、巻をまたがないようにちゃんとなっているという。
それは別に今に始まった話ではなく、映画『釣りバカ日誌』だったりドラマ『水戸黄門』だったり、普遍的な作品というのは「1作品だけ」「1話だけ」でもちゃんと楽しめるようになっているんですよね。『水戸黄門』が終わるタイミングでこの例を出すのもどうかと思いますけど。
(関連記事:「続きが気にならない」型エンタテイメント)
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