00
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/03 14:21 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動00
- 0(ゼロ)を0詰め2桁で整形した表示。
- 0詰め2桁を表すVB系の書式文字列。たとえば「5」を書式「00」で整形すると「05」となる。
- 0より前、−1(マイナス1)
- 米国ワイヤゲージ規格 (AWG) で、直径9.266mm。00番線。公式に−1を代入した場合にあたる。
- イタリアの小麦粉の規格で、最も(0よりも)細かい粉。00粉。
- 駅のホームで、1番線の手前の0番線のさらに手前が00番線とナンバリングされることがある。
- OOゲージ - 鉄道模型の軌間の規格。元は「0ゲージより小さい00ゲージ」の意味。
- アメリカンスタイルのルーレットの出目の1つ。
- 背番号。NBAではロバート・パリッシュがキャリアを通じて使用した。日本プロ野球で最初に使用したのはルパート・ジョーンズ外野手である。
- 岩波書店の出版者記号。
- トイレを指すヨーロッパ大陸のいくつか国での隠語。かつてホテルなどにおいて客室ではない部屋(トイレ・納戸など)に0や00を割り振っていた名残り。
- 00年
- 電話番号のプレフィックス(最初)
- 作品タイトル
- フィクションの登場物
- 機動戦士ガンダム00に登場するモビルスーツ、ダブルオーガンダム。
関連項目
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0の0乗
冪を自然数ではなく実数の範囲で考え、00 を二変数関数 xy の x = y = 0 における値だと考えると、次のようになる。
二変数関数 xy は、定義域を D = { (x, y) | x > 0 } ∪ { (0, y) | y > 0 }とした場合には、D 全体で連続となる。しかし、原点 (0, 0) を付け加えて、D′= D ∪ {(0, 0)} を定義域とした場合には、原点における値 00 をどのように定義しても、原点において連続とはならない。それは、D' 内で(原点を通らず)原点に近づく経路によってその極限値が異なるからである。例えば、y 軸 (x = 0) に沿って原点に近づくときの極限値は
であるが、x 軸 (y = 0) に沿って原点に近づくときの極限値は
である[注 6]。画像はこの二変数関数 z(x, y) = xy のグラフであり、原点に近づくときの経路によって異なる極限値を持つことが見て取れる。関数の連続性を重視する観点からは、00 をどのような値にすることもできない。
また 00 という記号によって、関数 f(x) と g(x) の(x がある有限値に向かう、あるいは ±∞ に向かうときの)極限が共に 0 であるときの、f(x)g(x) の極限を考えていることを表すことがある。このとき 00 はいわゆる不定形、すなわちこの f(x)g(x) の極限は一定しないのであって、実際任意の非負の実数値や +∞ にもなりうるし、振動することもある。例えば、
(ここで a は任意の実数)となり、また
は振動する。ここで、x → 0+ は x が正の方向から 0 に近づく極限を表す。
極限が 1 になるための十分条件はいくつか知られている。例えば f および g がともに x = 0 において実解析的であり、ある正数 b > 0 に対し開区間 (0, b) 上 f > 0 であれば、(x → 0+ のとき f(x) → 0, g(x) → 0 であれば)f(x)g(x) の x → 0+ のときの極限は必ず 1 である[6][7][8]。
複素解析における扱い
複素領域において、0 でない z に対し、関数 zw を、log z の分枝を選び、zw を ew log z と定義できる。これは 0w を定義していない、なぜならば z = 0 において定義された log z の分枝は存在せず、したがって当然 0 の近傍で定義された log z の分枝も存在しないからである[9]。したがってこの意味で 0w は定義されないのであるが、著者によっては別途、
している。
コンピュータにおける扱い
いくつかのプログラミング言語は 00 を定義しており、その多くは 1 としている。1 と定義しているプログラミング言語は、APL、Common Lisp、Haskell、J、Java、JavaScript、Julia、MATLAB、ML、Perl、Python、R、Ruby、Scheme であり、電卓では、Microsoft WindowsおよびGoogleの電卓機能[12]などである。Microsoft Excel では、ワークシート上で =0^0
という数式を入力すると #NUM!
というエラーを返すが、同ソフトウェアに搭載されている VBA では1と定義されている[注 7]。 Mathematica は、a が変数または 0 でない数のときは a0 を 1 と計算するが、00 は Indeterminate(不定)と返す。Maple やMuPADはこれらを共に 1 と計算する。Wolfram Alpha ではundefinedと表示される。
脚注
注釈
- ^ 0 と定義される場合もある。
- ^ x = 0 のときは 0 = 00 × 0 となってしまうため、00 は任意の値で等式が成り立ち、この方針で 00 を「自然」に定義することはできない。
- ^ この定義は半群における積の結合性より意味を持つ。
- ^ さらに a が逆元を持つならば、それを a−1 と表記し、負の整数 −n に対して a−n = (a−1)n と表記する。
- ^ 整数の全体や実数の全体など、あるいは一般に単位元を持つ結合環は、乗法について零元を持つモノイドをなす。
- ^ ここに、x → +0 は x が正の方向から 0 に近付くことを表す。なお、負の数 y に対して 0y は定義されない。
- ^ 具体的には、Visual Basic Editor (VBE) のイミディエイトウィンドウ上で
?0^0
と打ち、Enter を押すと1
と出てくる。
出典
- ^ Knuth 1992.
- ^ グレアム, パタシュニク & クヌース 1993.
- ^ Grillet 1995, p. 6.
- ^ N. Bourbaki (2004). Theory of Sets. Elements of Mathematics. Springer. p. 164. ISBN 978-3-540-22525-6
- ^ Daniel W. Cunningham (2016). Set Theory: A First Course. Cambridge University Press. pp. 59, 221. ISBN 978-1-107-12032-7
- ^ sci.math FAQ: What is 0^0?
- ^ Rotando & Korn 1977.
- ^ Lipkin 2003.
- ^ 神保 2003, pp. 44–45.
- ^ "Since ln 0 does not exist, 0z is undefined. For Re z > 0, we define it arbitrarily as 0."(ln 0 は存在しないから、0z は定義されていない。Re z > 0 に対しては、0 と定義する。)(Carrier, Krook & Pearson 2005, p. 15)
- ^ "For z = 0, w ≠ 0, we define 0w = 0, while 00 is not defined."(z = 0, w ≠ 0 に対しては、0w = 0 と定義するが、00 は定義しない。)(Gonzalez 1991, p. 56).
- ^ Google電卓機能による 0^0の計算結果
関連資料
- Carrier, George F.; Krook, Max; Pearson, Carl E. (2005-07-14) [1966-03]. Functions of a Complex Variable: Theory and Technique. Classics in Applied Mathematics 49. Society for Industrial & Applied. ISBN 978-0-89871-595-8
- Gonzalez, Mario (1991-09-24). Classical Complex Analysis. Chapman & Hall 151. CRC Press. ISBN 978-0824784157
- グレアム, ロナルド・L.、パタシュニク, オーレン、クヌース, ドナルド・E『コンピュータの数学』共立出版、1993年8月。ISBN 978-4-320-02668-1。
- Grillet, Pierre A. (1995). Semigroups: An Introduction to the Structure Theory. ISBN 978-08247-9662-4. MR1350793. Zbl 0830.20079
- 神保, 道夫『複素関数入門』岩波書店〈現代数学への入門〉、2003年。ISBN 4-00-006874-1。
- Knuth, Donald E. (1992). “Two notes on notation”. Amer. Math. Monthly 99 (5): 403–422 .
- Lipkin, Leonard J. (2003). “On the Indeterminate Form 00”. The College Mathematics Journal (Mathematical Association of America) 34 (1): 55–56. doi:10.2307/3595845. JSTOR 3595845.
- 松坂, 和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年。ISBN 4-00-005424-4。
- Meyerson, Mark D. (1996). “The xx Spindle”. Mathematics Magazine 69 (3): 198-206. doi:10.2307/2691469. JSTOR 2691469.
- 森田, 康夫『代数概論』(第12版)裳華房〈数学選書9〉、2003年。ISBN 978-4-7853-1311-1。
- Rotando, Louis M.; Korn, Henry (1977). “The Indeterminate Form 00”. Mathematics Magazine (Mathematical Association of America) 50 (1): 41–42. doi:10.2307/2689754. JSTOR 2689754.
- 斎藤, 毅『集合と位相』東京大学出版会〈大学数学の入門8〉、2009年。ISBN 978-4-13-062958-4。