幻の「由義寺」裏付け、道鏡の権力見せつける 称徳天皇の寵愛背景に

 大阪府八尾市で称徳天皇と道鏡が建立しながら幻とされた由義寺が見つかった。由義寺を氏寺とした道鏡は、称徳天皇の寵愛を受け、仏教の理念に基づく政策を推進したとされる。発見された塔の基壇の大きさからも、法王に登りつめ、さらに皇位をもうかがうに至った道鏡の権力の大きさを象徴的に物語っているといえる。

 東弓削遺跡がある地域は、道鏡の生地が近く、出身の弓削氏がいたとされる。「続日本紀」によれば、法王となった道鏡を信頼した称徳天皇は、この周辺に離宮として由義宮(ゆげのみや)を置き、行幸したという。

 今回基壇が発見された塔については、続日本紀に神護景雲4(770)年に、由義寺に塔が建設されという記録があったものの、その遺構が確認されておらず、未完成だったと指摘する声もあった。

 今回、発見された塔基壇跡は、基壇を飾る外装の「地(じ)覆(ふく)石(いし)の痕跡などから、一辺約20メートルの正方形であることが判明。また、基壇周辺から発見された瓦や壁土などは強い火を受けた痕跡がみられ、遅くとも鎌倉時代より以前に焼失したとみている。

会員限定記事

会員サービス詳細