関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県)の運転差し止めを昨年3月に命じた大津地裁の仮処分が、大阪高裁によって取り消された。
高裁は、抗告していた関電の主張を全面的に認めた。極めて理にかなった司法判断である。
これにより、2基の再稼働に道が開けた。電気料金の値下げが急務となっている関電には、再稼働に向けた準備を着実に進めてもらいたい。
高浜3、4号機が原子力規制委員会の安全審査に合格したのは、平成27年2月のことだった。
翌28年1、2月に3、4号機は再稼働した。だが、同年3月に大津地裁が運転停止の仮処分を認めたため、両機は原子炉を止めたまま今日に至っている。立地県外の滋賀県住民らの請求である。
ゼロリスクを求めた大津地裁の仮処分決定の理由には、一方的な論理が散見した。その代表例が、規制委が策定した厳格な新規制基準への不信感である。
それに対し、大阪高裁は「新規制基準が福島第1原発事故の原因究明や教訓を踏まえていない不合理なものとはいえない」と、大津地裁の論拠の柱を一蹴した。
このほか、争点だった基準地震動や基準津波、原子力災害についても地裁の判断を退けた。結論として「本件仮処分命令申し立ては理由がない」と明言した。
ひとまず一件落着だが、忘れてはならないことがある。