<東アジア杯:日本2-1韓国>◇28日◇韓国・蚕室五輪スタジアム
日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(60)が初優勝を飾った東アジア杯を振り返り、FW柿谷曜一朗(23=C大阪)ら攻撃陣を高く評価した。3試合を戦い、4チーム中最多の8得点。常に攻撃的であれというチーム哲学をすぐに吸収したことを褒めた。一方で守備陣については相手の攻撃に押し込まれる部分がまだ見られると指摘。次の日本代表メンバーが見えてきた。
試合後の記者会見に臨んでいたザッケローニ監督が、最高に上機嫌になった。優勝はもちろんうれしい。だがそれ以上に、韓国メディアから「新しい選手も多く、準備期間も短い中で、どうしてこんなに得点が取れたのですか?」と聞かれた瞬間、満面の笑みを浮かべた。「このチームが日本代表の哲学をしっかり受け取ってくれたからだ」と胸を張って答えた。
ザッケローニの哲学。それは相手より1点でも多く取るという攻撃サッカーだ。初戦の中国戦こそ同点に終わったが、オーストラリア戦、韓国戦と失点しながらも、最後は相手を上回った。この日も、追いつかれた時に「このまま負けてしまうのでは」と悲観的になった選手はいなかった。
ザッケローニ監督は「今回呼んだ23人は常に代表候補という意識でいてほしい。このメンバーがそれぞれのクラブで高い意識を持って活躍し、代表に食い込んでくれることを願っている」という。中でも期待が高いのが、この日2得点の柿谷。さらにオーストラリア戦に先発し「あれだけ仕事をしてくれたのなら、1点ぐらい取らせてあげたかった」といわしめ、この日も途中出場した豊田だ。
またザッケローニ監督は守備陣の中でも「私はボランチだって、サイドバックだって攻撃的な選手を起用する」と説明する。ラストパスの出せる山口、青山のボランチコンビや、クロスやミドルシュートに魅力のある槙野、駒野の両サイドバックは、次の日本代表選考にも絡んでくる。
逆に今大会では、守備的な選手からのアピールは少なかった。ザッケローニ監督も「攻撃的な哲学を持ち、常に多くのゴールを狙うから、たまには相手にスキも与えてしまう」と苦笑い。短期間で守備の連係を強化することがいかに難しいかを示唆した。
ただ今大会の優勝が「国内にもこんなに良い選手がいる」という証明になったことは間違いない。Jリーグ、そして日本のサッカーのため、この23人の中から1人でも多くの選手が再び日の丸のユニホームに袖を通すことを、監督も願っている。【千葉修宏】