男性デュオ、コブクロが28日、活動休止を発表した。小渕健太郎(34)が発声時頸部(けいぶ)ジストニアと診断され、治療に専念することが主な要因。治療期間とする半年間をめどに、今後の活動をキャンセルし、休養に入る。この日、札幌・真駒内アイスアリーナで行った全国ツアー最終公演でファンに報告。小渕は「ちょっとだけ、待っていてほしいんですよね」と近い将来の復帰を誓った。

 アンコール2曲を歌い終えた後だった。「みんなにお知らせがあります」。小渕は6500人に静かに語り掛けた。「去年から声の調子が良くなくて、ちょっとメンテナンスが必要になりました。すごくすごく悩んだけど、神様とみんながくれた少しのお休みと思って。少し待っていてね」。

 高音域の声を出そうとすると、首回りの筋肉が異常に硬直して声が出しづらくなる症状が出始めたのが昨年末。原因が分からず、病名が判明したのが7月初旬だった。担当医から「半年間、安静にしていれば完治する」と休養を勧告されたため、所属事務所は完治を目指した一時的な活動休止を提案した。現時点では、完治のメドとする約半年間の休養としたが、復帰は様子を見て判断する。

 小渕は高音パート担当。ツアーでは、声の伸びが本来とかけ離れることも少なくなかった。「これ以上、ファンに違和感を持たせたくない」として、今後の予定をすべてキャンセルした。12月発売予定だった8枚目のオリジナルアルバムの発売を中止。11月の毎年恒例のファンイベントもキャンセルする。昨年までに6年連続出場していたNHK紅白歌合戦への出場も絶望的となった。

 今後は投薬治療を中心とした自宅療養に入る。黒田俊介(34)も今回のツアーで体調不良の小渕をカバーしようとして、持病の腰痛悪化やのどの疲労が蓄積したため、ソロ活動を行わず、小渕同様に休養する。

 全国ツアーは5月の静岡公演を皮切りに、13都市30公演で25万人を動員。小渕が不調でも、セットリストを一切変更しなかった。

 涙ぐみながら休養を発表した小渕の話を聞き終えると、黒田がきっぱりと言った。「最後に思い残すことのないように、『桜』を歌います。12年間全力でやってきたので、何の後悔もないです。どう取られるか分からないけど」。小渕がギターを持つアコースティックバージョンで、思いを込めて歌い上げた。再び桜のころに、美しいハーモニーを奏でる日を誓うかのように。【近藤由美子】

 ◆ジストニア

 筋肉の収縮や硬直が持続したり、繰り返し起こる病気。精神的緊張などで症状が強くなる。大脳基底核を中心とした運動や姿勢を制御するシステムの機能異常により生じると考えられているが、原因は不明。作家、美容師、音楽家、スポーツ選手といった専門職にも多くみられ、米ピアニスト、レオン・フライシャー氏(83)は右手にジストニアを患った。ジストニアの患者数は推定数万人。治療法として、まずは原因と考えられる業務から離れることが重要とされ、筋弛緩(しかん)剤の内服やボツリヌス毒素製剤の局所注射などがある。