国際情報

中国最大の問題は中国の未来を信じぬ中国人が多いこととの声

 共産党による独裁のもと、経済成長を推し進め、極限にまで肥大化した中国に貧富の拡大や腐敗などの大きな病巣が広がっている。ジャーナリストの富坂聰氏が報告する。

 * * *
 中国の問題は、中国の未来を信じていない中国人が多いということだ。

 過去日本において、賃金の上昇や為替レートが円高に振れた時は、徹底したコストダウンなど企業努力で競争力を維持してきたが、中国の場合は富を持つ者が見切りをつけて富を国外へ持ち出している。

 今後、大規模な財政出動で経済発展を遂げようとすれば、予算はいくらあっても足りない。また、社会の急激な高齢化に備える一方で、個人消費を刺激するならば、年金制度の充実や医療保障制度の完備も欠かせない。これにも原資が必要だ。

 必然的に取れるところから税金を取るしかなくなる。つまり今後の中国は、金持ちに厳しい国になるということだ。

 実際、すでに増値税(物品の販売や加工、輸入を行なう場合に適用される税金)はその適用範囲が広げられているし、外国人から社会保障費を徴収しようという動きも見られる。そのため、金持ちは中国で踏ん張って頑張ろうとはせずに、真っ先に逃げ出す。

 昨年、話題となった温州の夜逃げ事件では、温家宝首相が3回も(1回は鉄道事故だが)現地入りして火消しに躍起になったが、それほど夜逃げを警戒している。

 経営者同様、裏金をためこんだ役人のなかにも、妻や息子を海外に移住させ、先に財産を移転させておき、いざとなったら体一つで“高跳び”できるよう準備をしている「裸官」が激増している。彼らは何かが起きれば、怒濤の如く海外に逃げ出すだろう。  

※SAPIO2012年9月19日号

関連キーワード

トピックス

番組でブレイクするには狭き門
《明石家さんまの声が聞こえない…!》「もう寿命くるやろ」冠番組初の“テロップ対応”も…自身の喉の不調に「辞めなしゃーない」
NEWSポストセブン
日帰りで石川県輪島市を訪問された天皇皇后両陛下(2024年、石川県輪島市。撮影/JMPA)
天皇皇后両陛下、地震と豪雨の被災地をお見舞いに日帰りで石川県へ 3回の訪問に込めた“復興への祈り”
女性セブン
『全日本フィギュアスケート選手権』のスペシャルアンバサダーを務めている宇野昌磨(写真/AFLO)
【ドル箱コンテンツが一変】羽生結弦不在で窮地!宇野昌磨が奔走する「全日本フィギュア」の苦境
NEWSポストセブン
訃報から3年が経った神田沙也加さん。元恋人の前山剛久
《前山剛久が語った元恋人・神田沙也加さん》「お墓参りはまだ叶っておりません…」相次ぐ痛烈批判への想い、急死から3年
NEWSポストセブン
週刊ポスト名物企画「ENT座談会」(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏)
【江本孟紀×中畑清×達川光男が今シーズンを振り返る】DeNA下剋上も広島大失速も一刀両断「9月初め、新井監督に『優勝おめでとう!』と言って握手したのよ」
週刊ポスト
女優業にオファーが続々きている沢尻エリカ
沢尻エリカ、眼鏡店経営のワイルド系実業家と破局 一時期は半同棲報道、母にも紹介していた 今後は仕事と丁寧に向き合う日々へ
女性セブン
周囲からはけがを理由に受験を止められていた重岡大毅
WEST.重岡大毅がボクシングのプロテストに合格 以前からアクションに強い興味、ライブも撮影もない時期に準備するストイックさ
女性セブン
「韓国のトランプ」と呼ばれる李在明氏(時事通信フォト)
《韓国政界》尹大統領弾劾訴追を主導する野党代表・李在明氏は11容疑で起訴される“疑惑のデパート” 徹底的な反日・親北派の“次期大統領候補”
週刊ポスト
二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【一問一答】二階俊博・元自民党幹事長は三男・伸康氏と「菜々緒似の美人ママ」との不倫旅行スキャンダルにどう答えたのか
NEWSポストセブン
有村は春子の幼少期を演じた(NHK スクエア)
《オークションサイトに大量出品》有村架純が使用した『あまちゃん』台本が流出、所属事務所は「本人も胸を痛めている」 意外な“出品ルート”も明らかに
NEWSポストセブン
事件が起きてから数日、犯人はまだ捕まっていない(時事通信フォト)
《女子中学生の父親が警察署長情報はデマ》北九州ファストフード店事件をめぐる一連の憶測投稿に当該警察署は「事実ではない」
NEWSポストセブン
不倫旅行を終え、ホテルから出てきた2人
「ホテルというかあれですね…」二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏、銀座のバーのママとの不倫旅行スキャンダル 直撃取材に“現在の妻と離婚協議が最終段階”
NEWSポストセブン