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セブンイレブンジャパン 『コンビニ世界一企業』の割に安い給料――12年前から年収水準変わらず、転勤時の住宅補助も月数万円

情報提供
セブンイレブン給与サムネ対価編
12年前と変わっていない現場の報酬水準

流通・小売業界は、業界全体の年収相場が低めで、金融・IT・製薬・マスコミ等と比べ、見劣りする。世界のコンビニチェーンで店舗数トップ(国内2万1千店、世界で8万4千店)を独走してきた超一流企業のセブンでも、生涯で年収1千万円まで到達できる社員は少数派、というのがお寒い現実だ。驚くべきことに、「30歳リーダー職で600万円強」という同社の給与水準は12年前から、ほぼ同じで、上がっていない。これでは優秀な人材を呼び込めるはずもなく、リーディングカンパニーとしての経営能力に問題があると言われても致し方ない。

Digest
  • OFC1人あたりの生産性が低い
  • OFCもオーナーも効率が悪い
  • NRI製のAI発注で「1日1時間→5分に短縮」
  • 個人購買データを全然とれてない
  • セブンペイの大惨敗『鈴木敏文なら失敗しなかった』
  • DMになるまでが長い
  • 店舗オペレーションに4千人
  • リーダー職でもオーナーより貧乏
  • 住宅補助がショボい
  • オペレーション部門が出世コース

「自動化を進め、社員1人あたりの生産性を上げ、賃金を上げて報いる努力を、経営陣が怠ってきたと感じています」(元社員、以下同)。生産性を上げる中長期プランを描けなかった結果、カナダのコンビニ企業「アリマンタシォン・クシュタール」から買収提案を受けるまでに停滞している。

OFC1人あたりの生産性が低い

セブンイレブンのキャリアパスと報酬2024掲載用
セブンイレブンジャパンのキャリアパスと報酬水準

セブンイレブンジャパンの人事処遇制度は、左記のとおり、担当職→リーダー職→副主事→主事と上がっていく。OFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー=店舗経営相談員)は、全国に約3千人いて、これは店舗数の増加とともに、自動的に増員されてきた。10年前(2014年)は、1万6千店に対し、OFCも2千人強だった。

その間、OFC1人あたりの生産性を上げる努力を行わず、同じ組織体制のまま正比例で拡大を続け、鳥取・沖縄への進出を果たし全国展開を終えた現在、成長戦略を描けぬまま、踊り場にいる。

セブン&アイの組織構造
セブンイレブンジャパンの現場組織

セブンはオペレーション中心の会社だ。スーパーバイザーとしてオーナーをバックアップするOFCの組織体制は、ながらく変更してこなかった。すなわち、上から、ゾーン(全国21)―ディストリクト(各ゾーンに約12個)―各ディストリクトに約12人のOFC、という、実に傾斜が緩やかなピラミッド構造となっている(12×12×21=3024人)。

ZM=ゾーンマネージャーが140人のボスで部長クラス。これは東東京ゾーンのトップ、西東京ゾーンのトップ、という範囲で約1千店舗を管理する。DM=ディストリクトマネージャーは、約12人のヒラを管理する課長クラスにあたる。

全国に、ZMは21人、DMは約250人。残りの2700人、つまり全体で3千人のうちの9割を占めるのが、ヒラのOFCである。ヒラのOFCが、とにかく頭数として多い。キャリアとしては、全国どこでも同じ仕事内容であり、スキルの伸びしろも小さいが、組織構造上の必要悪として配置され、構造改革が行われなかった。この組織構造では、営業職にありがちな「キャリアのどん詰まり」を生み出しやすい。

OFCもオーナーも効率が悪い

店舗数推移
国内店舗数推移

現在、OFC1人平均で、セブンイレブン7店舗を担当。複数店を1人で経営するオーナーは2~3割だけなので、オーナーの人数としては5人くらいだ。これが、少なくとも鈴木敏文時代の10~20年前からほぼ変わっていない。

「すでに元セブンの社員で、オーナーに転じて、1人で20店舗を経営して成功している人が東京以外でも実際にいますし、5店以上を経営して年収5千万円規模のオーナーを私自身も実際に知っています。有能なオーナーなら、5~10店舗の経営ができるのです。でも、実際に複数店を経営しているオーナーは、全体の2~3割だけしかいません」

世界8万4千店舗もあるセブン
8万4千店を展開し、世界一の店舗数を誇るチェーンストア企業に(マクドナルドの約2倍)。海外はライセンス供与が中心。なお、時価総額では上回るカナダ・クシュタールは、世界で約1万7千店舗。時価総額はセブンが世界2位(2024年12月時点)

これは、「夫婦でなるべく1店舗を専業で経営し、他の事業(スーパーとの掛け持ちなど多角経営)は禁止」というセブンの伝統的な方針で、徐々に緩和しつつあるものの、基本的にその方針を崩していないため、だという。過去の成功体験に縛られる「イノベーションのジレンマ」的な話にも聞こえる。

「1人で20店経営できる優秀なオーナーを育てれば、手もかからずサポートもいりませんから、OFC1人あたり、オーナー20人は担当できます。そうすれば、究極的には、400店舗あたりOFCが1人いれば回る計算になりますから、現在(7店舗に1人)の50倍以上に生産性が上がります。これは私の現場感覚だと、不可能ではないですし、そこを目指すべきだと思うのです」

オーナーの利益も、平均で14倍に跳ね上がる。全体の売上を維持できれば、OFCの頭数は、57分の1に減らせるから、OFCの給料を10倍以上に引き上げても、本部の利益を劇的に増やすことができ、株価も跳ね上がって買収を恐れる必要もなくなる。OFCの生産性は、57倍になる計算だ。

「最近は、加盟店オーナーのなり手が不足していて、1つのゾーンあたり、本来は年間100人くらい必要なのですが、50人以下に減っています。FC契約は15年間なので、契約を終える店舗もあり、店を引き継ぐオーナーが必要なのですが、『セブンのオーナー』という仕事に、魅力がなくなっているのです。店舗の自動化を進め、オーナー1人で20店経営できるような仕組みを作り、もっと稼げる仕事にしていくべきだと思っています」

最新のセブンレジ(東芝テック+パナソニック)
第7次POSレジ+支払いセミセルフ方式(東芝テック製)。店員によるハンドスキャン作業ではなく、客がセルフでスマホのQRコードやバーコードを読み取って決済するためのカメラがついていない点が唯一、マイナス点(決済端末はパナソニック)。店員作業を減らすための改善の余地が、まだあるということ。

これを可能とするためには、

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店舗所属の社員数(2024年2月期、セブン&アイ有報より)

月4日まで代休が買い取られていた時代は、土日のどちらか出勤し、7万円超を得ていた(給与明細=2012年)

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