20世紀のアメリカ人と言えば、自分という存在を証明することがいかに重要かということを叩きこまれた人たちです。社交的というか、厚かましいというか、外向的な性格の申し子のようでした。自分の魅力やカリスマ性を魅せつける個性は、躁状態ギリギリという感じで、映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の主人公のようなスタイルです。声が大きく、自信満々で、何でもできる状態にあり、正に彼らの時代でした。

ご想像の通り、内向的な人は特に何とも思っていませんでした。しかし、『ライオンキング』の王ムファサが予言したように、陽は昇ればいつかは沈みます。これからは、内向的な人の時代です。その理由を今からご説明しましょう。

1. 優れた語り手である

最近は「ストーリーを語ること」が注目を集めています。内向的な人は、昔ながらの物語を語るプロです。内省的で思慮深い性格なので、内向的な人は文才があったり、コンテンツを制作したり、最高レベルの作品を生み出すことが多いです。『ハリー・ポッター』の作者J.K.ローリングや、エイブラハム・リンカーン、絵本作家のドクター・スースも内向的な性格だったと言われています。

2. 聞き上手

内向的な人は、外向的な人とは逆に、物静かで熟考し、聞くのがとても上手いです。聞く能力というのは、そこまで優れたものだとは思われていないかもしれませんが、人の話に耳を傾け、分析し、行動することができるのは、ブランドが消費者との対話を重要視している、デジタル時代の今においてはとても価値がある能力です。

ソーシャルメディアのお陰で、消費者は自分の意見を声に出し、ブランドとクリエイティブなコラボレーションをすることができるようになっています。しかし、このような消費者とブランドの関係は、ブランド側が喜んで耳を傾け、しっかりと聴くことでしか生まれません。現代のマーケティングは、消費者の声に真摯に耳を傾け、昔のように誠実に対話することが主流です。外向的な人は、常に元気一杯で接する余り、対話が一方通行になることが多く、結果的に消費者の意見を汲み取ることができずに終わります。

3. インターネット世界の住人

内向的な人は、パーティーでも大体隅っこで大人しくしているので、見つけるのは大変ではありません。内向的な人は人混みが苦手で、温かくて安全なインターネットの世界の方が好きです。Web上で学ぶことは尽きないし、人とのコミュニケーションもできます。屋外のレジャーが好きではない人にはピッタリの場所です。インターネットの世界で過ごす時間が多いので、内向的な人は自然とテクノロジーに詳しくなっていきます。その結果、すばらしいオンラインマーケッターや、ソーシャルメディアマネージャーなどになります。

4. 良いアイデアを持っている

外向的な人の高圧的な姿勢は、クリエイティブなエネルギーを鎮めてしまいます。部屋中に響き渡るような大声でおしゃべりをされると、いくら素晴らしいアイデアを持っていたとしても、内向的な人は話しにくくなります。外向的な人は仕切るのが好きで、気付かないうちに周りの人を暗鬱とした気持ちにさせます。一方、内向的な人は他の人とも仲良く仕事ができます。

5. 良い上司になる

研究者のAdam Grantさんは、内向的なリーダーは社員や部下を長い目で見守り、好きなようにやらせるので、外向的なリーダーよりも良い仕事をする傾向にあります。外向的な人は、自分のアイデアや仕事に夢中になることが多いので、周りの人を強引に押し切ることが多いです。

6. 意外と社交的

ここでハッキリとさせておきましょう。内向的な人は恥ずかしがり屋でもなければ、無愛想でもありません。引っ込み思案になるのは、世間の目が怖いからです。内向的になるのは、外部の刺激に対してどのように反応するかということと関係しています。

外向的な人は、社会的な刺激や活動からエネルギーを得ています。一方、内向的な人は、社会的な活動も他の人と同じくらい楽しんでいますが、自分を取り戻すのに一人きりの時間がある程度必要です。内向的な人は、集中することが一番大事で、静かな環境でもっとも生産的になります。内向的な人は、一人きりの時間をとても大事にしますが、外向的な人と同じくらい友だちと過ごす時間も楽しんでいます。

7. 一人でいることでさらに創造的になる

歴史的にクリエイティブだったと称される人の大多数は、内向的だと分類される人たちです。孤独や孤立は、創造性を育む大事な要素です。ダーウィンや『森の生活』のウィリアム・ソローのような偉大な思想家は、森の中を長時間歩き回ったり、かなり長い間社会と隔絶したような生活を送ったりしています。内向的な人は、自分を充電するために、ある一定期間一人でいる必要があります。その静かな時間のある瞬間にひらめきが訪れるのです。

創造性の価値は最近さらに見直されているので、内向的な人の需要は高まっています。今度、クリエイティブなチームで合宿をすることがあれば、モハーヴェ砂漠でキャンプをしてみてはいかがでしょうか。好きなものと水の水筒を持っていきましょう。無理にとは言いませんが、内向的な人がクリエイティブな魔法を使えるようにしてあげましょう。ブレインストーミングからは、天才的なアイデアは出ません。

8. 外向的な人は要らないのか?

地球温暖化を進めているだけなので要りません。というのは冗談で、もちろん外向的な人も大事です! 外向的な人は素晴らしいプレゼンテーターになりますし、驚くほど幅広い人脈を持っていますし、顧客との打ち合わせでは内向的な人よりも良い仕事をします。

ここでは、外向的な人をこき下ろそうとしているのではありません。単に、仕事における価値ある性質について、再考した方がいいのではないかと勧めただけです。長い間、外向的な人の、賑やかで、声が大きくて、慌ただしい性質が好まれる傾向にありましたが、内向的な人の重要性も考慮するべきでしょう。思慮深くて創造的で、デジタルにも精通している内向的な人たちは、これからの時代には欠かせなくなるでしょう。

Why Introverts Now Rule the World|Inc.

Larry Kim(訳:的野裕子)

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