処女作『How To Be Black』で一躍米国のベストセラー作家となったサーストン(Baratunde Thurston)氏は、かつてプロジェクトマネジメントサービス企業「Digital for The Onion」のディレクターを務めていたほか、作家、アドバイザー、コメディアン、政治活動家、ソーシャルメディアの専門家など、さまざまな分野で活躍する人物。

最近では、ニューヨークで定期的にスタンドアップコメディのパフォーマンスをする一方、新プロジェクト「Cultivated Wit」を通じて、ユーモアを活用した企業の顧客コミュニケーションを推進しています。

これほどまでに多彩な才能にあふれ、情熱的に仕事をこなすサーストン氏には、忙しいながらもやるべきことをやり切るための秘策が何かあるはずTV番組『怪しい伝説』のアダム・サヴェッジ氏bitlyのチーフを務めるヒラリー・メイソン氏に続くインタビューシリーズの第3弾として、サーストン氏の仕事術を探ってみました。

  • 氏名:サーストン(Baratunde Thurston)
  • 職業:作家、コメディアン、「Cultivated Wit」の創設者
  • 居住地:米ニューヨーク市ブルックリン
  • 現在のコンピューター:MacBook Air(11インチ)
  • 現在のモバイル端末:iPhone 4S、ポータブルバッテリー「Mophie
  • 仕事スタイル:感覚に触発されるままに取り組む
「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは何ですか?

サーストン:Googleです。物を知るために欠かせない手段ですね。特に、「Google Docs」と「Google Voice」は手放せません。

Evernoteは、自分のアイデアやGoogleで調べたことなどを保存しておく場所として利用。また、ファイルはデフォルトでDropboxに同期し、すべてのものがどこからでも使えるようにしています。Instapaperは余暇を過ごすツールとして使っています。

電話番号のある会社とテキストベースでコミュニケーションできるiPhoneアプリ『TalkTo』(日本未対応)は、まるでコンシェルジュのよう。調査や店を予約するときに便利です。SNSの自動化ツールとしては「If This Then That(IFTTT)」を愛用しています。

すべての郵便物は「Earth Class Mail」(米国19都市のみ展開)に送り、封筒の外観をスキャンしてもらっています。差出人や内容に応じて、再送させたり、中身をスキャンさせたり、シュレッダーにかけるといったことがオンラインからの遠隔操作できるので便利です。

Sonos」は、音楽ストリーミングだけでなく、「Pandora」のダブステップステーションとともに、朝の目覚ましに利用しています。流れる音楽は毎回違うので、目覚まし音にカラダが慣れて二度寝してしまうことがありません。ちなみに、スピーカーはベッドから手の届かないところに置いています。

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サーストン氏のiPhoneのスクリーンキャプチャ。
背景画像は「SXSWインタラクティブ2012」でのスレイ・ベル(Sleigh Bells)のコンサートの様子

仕事場はどんな感じですか?

サーストン: 僕は、米ニューヨークのミートパッキングディストリクト地区にある「Cultivated Wit」という新しい会社で仕事をしています。机・イス・モニターがあり、アイデアを交換し合う、20〜30名の優秀な起業家・開発者がいます。

仕事中は何を聴いていますか?

サーストン: 僕が気に入っている音楽配信サービスは「Rdio」です。ビートが効いていて、モチベーションが上がる音楽が好きですね。例えば、『How To Be Black』のほとんどは、チャイルディッシュ・ガンビーノ(Childish Gambino)を無限ループさせ、これを聴きながら書き上げました。

仕事中は、ボン・イヴェール(Bon Iver)のように、ちょっと気が滅入りそうになるアーティストは避けています。往々にして仕事がはかどりませんから。

お気に入りのプレイリストはありますか?

サーストン: プレイリスト機能はあまり使っていませんが、最近ハマっているものは、Rdioのプレイリストに追加しています。

時間節約のためのショートカットやライフハックで、ベストなものを教えてください。

サーストン:世間に知られ、出張が増え、抱えているプロジェクトの数が増えれば増えるほど、自分のスケジュール管理は難しくなります。しばらく、スケジュール管理アプリ『Tungle』を試してみましたが、ヒトに勝るものはありません。補佐スタッフを雇い、自分のスケジュールやコミュニケーションなどの面倒を見てもらっています。インタビューや会議、執筆依頼といった外部からの要望を整理し、事前にスクリーニングをした上で、週に2回、私とプロジェクトチームに共有してくれます。

彼女に来てもらう以前は、後入れ先出し方式を使ってみたり、頭に浮かんだものからとりあえず対応したりなど、自分のライフマネジメントは本当に行き当たりばったりでした。いまは1カ所に集約されるようになったので、必要以上にのめり込むこともなくなりました。あと、電話には出ません。これによって何時間も節約できています。

スマートフォンとコンピューター以外で「これは必須」のガジェットはありますか?

サーストン: 歯ブラシですね。これがないと、気持ち悪くて仕方ない。

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Twitterオフィス(米サンフランシスコ)の受付にあるサーストン氏の著書『How To Be Black』

日常のことで「これは他の人よりうまい」ということは何ですか?

サーストン: 荷造りかな。飛行機や電車でほぼ毎週移動しているので。10分もあれば4日程度の旅支度はできますよ。

荷造りのコツって何ですか?

サーストン:基本の荷造りリストをEvernoteに保存しています。以前は記憶に頼っていたので、毎回、1つや2つ、入れ忘れるものがあったんですが、リスト化してからそういうこともなくなりました。

旅行には、普段ニューヨークでも使っているビクトリノックス(Victorinox)のバックパックとキャスター付きのスーツケースを使っています。バッグ内の小分けには、アウトドアブランド「REI」のファスナー付き小物入れを2つ。ひとつには下着や靴下を、もうひとつにはズボンやシャツを入れ、クルクルと丸めて、かたくファスナーを閉じます。

出張には、ボタンアップシャツ数枚とブレザーを持参。シャツはトラベルグッズブランド「Eagle Creek」のPack-It Folderに入れています。バックパックは、ガジェット類と洗面道具、そして『How To Be Black』2冊でほぼ満杯。これくらいなら10分で荷造りできますよ。ちなみに、荷物は機内持ち込みのみとしています。

その他、読者と共有したい面白いこと、何かお願いします。

サーストン: サーフィンが好きです。

多忙であっても数々のプロジェクトをこなすサーストン氏には、徹底的な効率化を実践する、まさにライフハッカーと呼びたくなるような一面がありました。あらゆるアプリを活用する中でも、「ヒトに勝るものはない」とスケジュール管理に人を雇うなど、そのバランス感も素晴らしいところでしょう。荷作りの仕方や電話に出ないというスタンスからも「時間」に関する意識の高さを感じます。

インタビューのどこを切り取っても参考になるかと思いますが、特に「時間がない」、「もっと効率的に進めたい」、あるいは「世界中を飛び回って仕事をするのが夢だ」という人は、できることからひとつずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。

Tessa Miller(原文/訳:松岡由希子、補:ライフハッカー[日本版]編集部)