すき焼き

「焼く・焼く・煮る」の3段階調理で
極上のおいしさに

和食のごちそうメニュー、すき焼き。具材を一度にグツグツ煮込むいわゆる鍋料理とは異なり、肉や具材そのものをそれぞれに適した加熱の加減で楽しむ、鉄板焼きに近い料理です。できれば鉄鍋で調理すると、そのおいしさを存分に楽しめます。

すき焼きの奥深い味わいは割り下だけではなく、「焼く・焼く・煮る」の3段階で味を重ねて完成させます。1段階目は、熱々の鉄鍋で牛脂とねぎを香ばしく焼くこと。ここでうまみと甘みのベースができます。2段階目は、砂糖を絡めて牛肉を焼くこと。すき焼きらしい甘み、苦み、香りが生まれます。3段階目は、しょうゆ・みりん・酒の割り下で煮ること。重ねてきた味わいを割り下で伸ばして味をまとめます。酒とみりんは、浸透性が高く食材への味なじみが早いだけでなく、沸点が低いので、見た目に沸き立っていても鍋の中は100℃を超えません。牛肉が硬くならないのはそのためです。煮汁が煮詰まってきたときには水を足すのではなく「昆布水」で伸ばすと、最後までおいしくいただけます。

なお、牛肉以外の具材にもそれぞれ役割があります。
・ねぎ・しいたけ→割り下に香り・うまみを加えるもの
・豆腐・しらたき→うまみを吸い煮汁の水分を調整するもの
・春菊→苦みと香りを出す薬味的なもの
アレンジするときは、これらを理解して食材を入れ替えるとおいしいすき焼きになります。

  • ●できれば鉄鍋で調理する
  • ●3段階で味を重ねる
  • ●煮詰まったら「昆布水」で伸ばす

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・3~4人分

  • 牛肉(すき焼き用)…300~400g
  • ねぎ…2~3本
  • 生しいたけ…8æžš
  • しらたき…300g
  • 木綿豆腐…1丁(300g)
  • 春菊…200g
  • 牛脂…20g
  • 砂糖…大さじ2~3
  • 生卵…2〜3個
  • 〈A〉割り下
    • キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ…1/2カップ
    • マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん…1/2カップ
    • マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒…1/2カップ
  • 〈B〉昆布水
    • 昆布…5cm角2æžš
    • 水…1/2~1カップ
    • マンジョウ 国産米こだわり仕込み 料理の清酒…1/2カップ

つくり方

1. 昆布水をつくる

ボウルに〈B〉を入れ、30分以上置く。

昆布水は煮詰まってきたときに使います

30分以上置いてうまみを引き出したいので先につくっておきます。水だけで薄めるよりも味がぼやけずにうま味を補填しながら割り下を薄めることができます。半量を酒にすることで沸点が下がり、肉が硬くなりにくいうえ、味のつながりもよくなります。

2. 具材を切る

春菊は20~30分水あげして、葉はちぎり、茎は4~5cm長さに切りにする。ねぎは幅2~3cmの斜め切りにする。しいたけは石づきの先を切り落とし、縦半分に切る。しらたきは食べやすい大きさに切り、熱湯に入れ3分ゆで、ざるにあげる。豆腐は8等分に切り、ペーパータオルに置く。

切り方や下ごしらえにもそれぞれ理由があります

春菊は花を扱うように根元を水に浸して水あげしておくと葉がパリッとします。茎と葉は入れるタイミングが違うので葉をちぎって分けておきます。茎は盛り付けを想像し長めに切っておきます。ねぎはじっくり焼いて香りを出すため大きめに切ります。しらたきをゆでておく理由は、アク抜きと脱水のためです。水分をしっかりきることで割り下の味が入りやすくなります。豆腐は煮くずれしないよう大きめに切り、水けをきります。

3. 割り下をつくる

鍋に〈A〉のみりん、酒を入れ、煮立てる。火を止め、しょうゆを加える。

しっかり煮立ててアルコール分を飛ばします

しょうゆ、みりん、酒が「1:1:1」の割り下は、アルコール分が多いので、みりんと酒は一度しっかり煮立て、アルコール分を飛ばして苦みが残らないようにします。しょうゆに火を通す必要はないので、火を止めてから加えます。

4. 牛脂でねぎを焼く

鉄鍋を中火で熱する。牛脂を入れて溶かす。ねぎ(1/2量)を焼く。

牛脂とねぎがすき焼きの味のベースをつくります

牛脂でねぎをしっかり焼くことで、すき焼きらしい香りと甘みがでてきます。ねぎは動かさずに焼き、両面に香ばしい焼き目をつけます。

5. 砂糖と牛肉を絡め焼く

ねぎを片方に寄せ、空いたところに砂糖を広げる。砂糖を少し焼いて油に溶かす。砂糖の上に牛肉(1/2量)を入れ、砂糖と絡めながら焼く。牛肉をねぎの上にのせる。

牛肉に火が通りすぎないようやや早めにねぎの上へ

はじめは砂糖だけを焦がすようなイメージで少し加熱します。牛肉を加えたら絶えず砂糖と絡めながら、甘み、苦み、香りを引き出すように焼きつけます。牛肉の色が変わりはじめたところで、肉をねぎの上にのせます。

6. 具材を入れる

豆腐、しいたけ、しらたき(各1/3~1/2量)を並べ入れる。

具材の配置も役割を考えながら

煮汁の水分を調節しながらうまみを吸う役の豆腐としらたきは、離れた位置に入れておきます。

7. 割り下を加えて煮る

割り下を注いで5分煮る。途中で春菊の茎を入れ、葉を上に重ねるようにおく。

割り下は具材が半分浸るくらいの量を入れます。5分を目安にお好みの煮えぐあいで煮ていきましょう。途中でほぐしたり、割り下をかけたりして味をなじませます。薬味の役割の春菊は、最後に加えます。固い茎を先に入れ、食べる直前に葉を入れたら完成です。溶き卵につけていただきます。

8. 昆布水で調整する

2回目はすべての具材を食べきってから

味が濃かったり、煮詰まったりしてきたら、昆布水を足して味を調整します。具材は途中で足さず、1回目の具材をすべて食べきってから、ねぎ、牛肉、他の素材を順に広げ入れ、足りない分の割り下を絡めて2回目を煮ていきます。牛肉の旨みがなじんだ割り下で具材を煮ていくので、格別な味わいになります。

(1人分熱量603kcal/塩分3.7g/調理時間約30分)※栄養計算値は4人分とした場合の値です。調理時間に昆布を戻す時間は含まれません。栄養計算値は煮汁を80%摂取した場合の値です。

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ヘルシーポイント

牛肉に絡める砂糖を大さじ1に減らしたり、割り下のみりんを減らして、甘さ控えめにすればヘルシーに。みりんを減らす分、酒を増やして全体の水分量を保つようにします。

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料理/小田真規子 撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2024年3月12日