野菜のかき揚げ

小麦粉の特性を知って、
カラッと揚げる工夫を

天ぷらは、油で揚げることで、ころもの水分を抜きながら、素材にじっくりと火を通していく料理です。カラッと揚げるためには、調理工程で小麦粉の持っているたんぱく質の粘り=グルテンをつくらないことが大切。粘りが出ると、水分が抜けづらくなり、べたっと重い仕上がりになってしまいます。

グルテンができやすい条件は、水と混ざること、温度が高いこと、時間が経つこと、の3つ。そのため、ころもをつくるときには、水と小麦粉を混ぜ過ぎない、冷水を使う、ころもをつけたらすぐに揚げることが肝心です。また、今回は小麦粉を2段階で絡めていきます。1回目は具材どうしをつなぐためで、たねが広がるのを防ぎます。2回目がころもにするためです。

天ぷらは高温の油に入れるため、すぐに揚げあがるように感じますが、ころもの中でじっくり素材を加熱する、いわば蒸し料理なので、案外時間が必要です。揚げ足りないと素材に火が通りません。時間をかけてじっくり揚げましょう。

かき揚げは玉ねぎが味わいのベースになります。厚めに切ってゆっくり火を通すことで甘みが引き出され、おいしいく仕上がります。

  • ●衣は混ぜすぎない・冷水を使う・すぐに揚げる
  • ●玉ねぎは厚めに切る
  • ●小麦粉は2段階で絡める

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・2人分

  • 玉ねぎ…1/2個(100g)
  • むきえび…100g
  • 三つ葉…20g
  • 小麦粉…大さじ2
  • 揚げ油…適宜
  • 〈A〉
    • キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ…大さじ3
    • マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん…大さじ3
    • 水…1カップ
    • 削り節…1袋(5g)
  • 〈B〉
    • 小麦粉…1/2カップ
    • 冷水(冷蔵庫でしっかり冷やす)…1/2カップ
    • 塩…ふたつまみ

つくり方

1. 天つゆをつくる

小鍋に〈A〉を入れて中火にかけ、1分煮立てて濾す。

削り節で手軽に天つゆを

削り節を使うと旨みがすぐ出るので、簡単に天つゆがつくれます。十分に煮立てたいので、水はやや多めに。煮立てたらすぐに濾すと、えぐみがでません。そのまま置いて粗熱をとります。

2. 玉ねぎと三つ葉を切る

玉ねぎは厚さ7~8㎜に切る。三つ葉は長さ3㎝に切る。

玉ねぎは縦切りに、三つ葉は大きめに

玉ねぎは芯を取ってから、繊維に沿って縦に切ります。繊維を断ち切らないことで、食感が残り、火もじっくり入って玉ねぎの甘みを引き出すことができます。三つ葉は少量ですが香りづけのために重要な存在。玉ねぎよりも火が通りやすいため、大きめに切っておきます。

3. えびを切る

えびは背の方から包丁を入れて厚みを半分に切る。あれば背わたをとる。

切り方ひとつで揚げくずれを防げます

えびはぶつ切りにせず薄く切ることで、玉ねぎと絡みやすくなり、揚げくずれを防げるほか、火の通りもよくなります。大きすぎるときはさらに半分に切ります。背わたがあったときは包丁の先で取り除きます。

4. 具材を小麦粉でつなぐ

ボウルにえびと玉ねぎを加え、小麦粉をふって絡める。

具材を小麦粉でつなぎます

1回目に入れる小麦粉は、具材どうしをつなぐのりのような役割です。粉っぽさが残る程度に絡めます。

5. ころもをつくる

別の大きめのボウルに〈B〉の小麦粉を入れ、冷水、塩を加えて箸で10回ほど混ぜる。

混ぜ過ぎないことが鉄則です

2回目の小麦粉がころもの本体です。ボウルに小麦粉を広げたら、冷水を加えます。直前までしっかり冷やした水を使うことと、混ぜ過ぎないことが大事です。あとで具材に加えてから混ぜるので、粉っぽいくらいで十分です。

6. ころもをあえる

具材にころもを加え、箸で全体に絡める。三つ葉を加える。

粉っぽさが残っていても問題なし

ころもに具を加えるのでなく、具にころもを加えるのは混ぜすぎを防ぐためです。ここでも決して粘りが出ないよう箸で上下を返すようにします。粉っぽさが残っていても構いません。

7. 揚げる

フライパンに深さ1.5㎝ほど油を入れ、170度に熱する。おたまを油にさっと通し、たねの1/4量をのせて、油に落とす。

固まるまでは触らずに、油をかけながら3分待つ

箸にころもをつけて、油に1~2滴落とし、スッと上がってくれば適温です。はじめにおたまを油にひたしておくと、スムーズにたねを落とせます。たねをおたまの上に平らに広げ、箸で押し出すように落とすとスムーズです。油に入るとたねが広がっていくので、箸で軽く押さえます。ころもが固まるまでは触らず、おたまで油をかけながら3~4分揚げていきます。形が安定したら上下を返して、さらに3〜4分揚げます。揚げ上がりの目安は箸ではさんでしっかりと固いことと軽さを感じることです。

8. 油をきる

バットに立てかけ、油をきる。

自然に油が落ちていきます

揚げたての熱いうちに立てかけておくだけで、油がサラサラ落ちてきれていきます。十分に油をきてから盛り付け、サクサクのうちに天つゆをつけていただきましょう。

(1人分熱量484kcal/塩分3.6g/調理時間約30分)

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ヘルシーポイント

ブロッコリーやアスパラガスなどを追加すれば、野菜を一度にたくさん摂れます。火通りの早さが玉ねぎと近いものを選ぶと食感も味わいもよく仕上がります。

料理/小田真規子 撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2023年10月14日