田作り

ごまめの苦みをくるみが和らげる、
海と山の恵みが出会う一品に仕上げます

かつて、カタクチイワシの稚魚が田畑の優れた肥料として使われていたことから、豊作への願いを込めて、「田作り」としてお正月などの祝いの席で食べられるようになったといわれています。食材名のまま、ごまめ(五万米)とも呼ばれます。ちなみに「ごまめ」と「煮干し」はどちらもカタクチイワシです。大きめのものをゆでて干したものが「煮干し」。ゆでているので目が白いのが特徴です。大きさに関わらず、ゆでずに干したのが「ごまめ」です。

ごまめは小さいので内臓や目はさほど大きくないのですが苦みが強いため、苦みをやわらげる緩和役としてナッツ類やごまを加えるとおいしく仕上がります。くるみは日本古来の食材で、和食によく使われる木の実でもあります。今回はさらにひと工夫、ごまめの魚臭さと苦みを緩和し、味を引き締めるアクセントとして、しょうが汁を加えます。最後にしょうが汁が入るので、甘辛だれは少し煮詰まり過ぎているくらいのとろみで仕上げます。たれに砂糖だけでなくみりんを使うことで、つややかな田作りが出来上がります。

ごまめの乾煎りや甘辛だれのとろみ付けなど、絶えずフライパンの中を混ぜ続ける調理が多い田作り。目を離さず、手を止めず、気長につくっていきましょう。

  • ●甘みのあるナッツで苦みを抑える
  • ●しょうが汁でアクセントを
  • ●みりんでつやを出す

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・つくりやすい量

  • ごまめ…40g
  • くるみ(むき身)…30g
  • しょうが汁…お好み〜小さじ1
  • サラダ油…適量
  • 〈A〉
    • 砂糖…大さじ3
    • マンジョウ 米麹こだわり仕込み 本みりん…大さじ2
    • キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ…大さじ1と1/2

つくり方

1. ごまめを炒る

フライパンにごまめを広げて入れ、弱火にかける。木べらで混ぜながら8〜10分炒る。

弱火で絶えず混ぜ続けます

乾煎りすることで、生臭さがなくなり、パリッと食感もよく香ばしくなります。小さいうえに内臓が焦げやすいため、ずっと弱火で絶えず木べらで混ぜ続けるのが鉄則です。段々とカラカラになってくるので、気長にやさしく混ぜましょう。1つ取り出して手早く粗熱を取り指でポキッと折れたら、いい炒り具合の証です。

2. ふるう

ざるに入れて、ふるう。

苦みのもとをふるい落とします

炒ると細かなカスが出てきます。これらは苦みのもとになるので、粗めのざるでふるって落とします。

3. くるみを炒って切る

フライパンにくるみを入れて中火にかけ、混ぜながら3〜5分炒る。ペーパータオルの上で粗熱を取る。ペーパータオルごとまな板にのせ、粗く切る。

ランダムに砕かずにきれいに切ります

くるみの脂肪の香りを引き出し、軽い食感に仕上げるために炒ります。焦げやすいため大きなままで炒り、あとで小指の先ほどの大きさに粗く切ります。皮は苦みが強いので、取り除きます。ペーパータオルの上で作業すると、油と皮が除けます。

4. 甘辛だれをつくる

フライパンに〈A〉を入れて、混ぜる。中火にかけ、4〜5分混ぜ続ける。

強めのとろみがつくまで混ぜ続けます

調味料を入れてひと混ぜし、砂糖が少しなじんでから火をつけます。絶えず木べらで混ぜ続けるのは焦がさないためです。砂糖が溶けて泡立ち、木べらでフライパンの底をなぞると跡がしっかり残るくらいの強いとろみがつくまで加熱します。

5. 絡める

フライパンを火から下ろして濡れぶきんにのせる。ごまめを加え、たれと絡める。くるみ、しょうが汁を加えて、よく混ぜる。

火から下ろしてからごまめを加えます

甘辛だれがさらに煮つまらないよう、濡れぶきんにのせて加熱を止めます。ごまめを入れたらたれと絡めてから、くるみ、しょうが汁を加えます。しょうが汁を加えることでたれがのび、混ぜやすくなります。しょうが汁の量は好みで調整します。

6. 冷ます

アルミホイルにサラダ油を薄く塗る。広げて冷ます。

保存は冷蔵庫ではなく常温で

粘度のある田作りがくっつかないように油を塗っておきます。冷めた後はできるだけ常温で保存します。冷蔵庫で保存するとたれがゆるんでしまい口ざわりが悪くなってしまうためです。砂糖やみりんが多いので常温で7〜10日、おいしくいただけます。

(1人分熱量137kcal/塩分1.1g/調理時間約25分)※栄養計算値は4人分とした値です。調理時間に冷ます時間は含まず。

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ヘルシーポイント

くるみの代わりに、食物繊維の多いアーモンドやピスタチオを入れたり、複数の栄養素を摂れるミックスナッツを入れたりしてよりヘルシーに。

料理/小田真規子 撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, Inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。
公開:2023年8月8日