肉野菜炒め

炒める前の「焼き」が肝心です

家庭料理に多い炒め物。炒め物はただひとつ「水っぽくしないこと」が成功の秘訣です。シンプルな肉野菜炒めで、炒め物のコツをつかみましょう。

家庭でつくる場合は、中華料理店のように、豪快にフライパンをふって炒め混ぜるのではなく、はじめに肉も野菜もしっかり焼きつけるイメージでつくります。フライパンに肉を敷き、その上に火通りの遅い野菜から順に重ね、そのまま触らず、しばらく焼きます。じっと待つことで、肉の下面はカリッと、上面は野菜から出る蒸気によってやわらかくなります。一方、野菜からはしっかりと水分が抜けるので、全体が水っぽくなるのを防ぎます。

調味料を入れる時も、炒めながら全体に振りかけるのではなく、フライパンの中央をあけて直接入れ、混ぜる前に煮立てます。煮立てることで油脂と調味料が混ざり合い、乳化やカラメル化しシンプルな調味料でも味わい深く仕上がります。

なお、初心者がつくる際には豚のバラ肉や肩ロースがおすすめです。脂があることで火が通りすぎても味がなじみやすく、大失敗しません。

  • ●肉の上に野菜を火通りの遅い順に重ねる
  • ●焼きはじめたらさわらずに待つ
  • ●調味料は煮立てる

この3つのポイントを押さえながら、調理していきましょう。それぞれの工程がなぜ必要なのか、理由も解説していきます。

材料・2人分

豚バラ薄切り、または、肩ロース薄切り…200g
キャベツ…200g
玉ねぎ…1/4個(50g)
にんじん…50g
ごま油(またはサラダ油)…小さじ2
〈A〉
キッコーマン いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ…大さじ1
砂糖…小さじ1

つくり方

1. 食材を準備する

キャベツは冷水に20分ほど浸けてパリッとさせ、5cm角に切る(または、手でちぎる)。玉ねぎは5mmの薄切り、にんじんは太めの千切りにする。豚肉は6~7cmの長さに切る。

キャベツの「水揚げ」で食感が変わります

キャベツや青菜などの野菜は、切る前に冷水に浸け、水揚げしておきます。さらに水分を含んだ葉野菜は火通りがゆるやかになり、蒸気が上がりやすく、炒め上がりにシャキシャキとした食感が残ります。また、野菜は大きめに切ると炒め時間を稼げるため、あわてずに調理ができます。玉ねぎは水分を出にくくするため、繊維に沿って切ります。薄切り肉は加熱によって縮むので大きめに切りましょう。

2. 肉と野菜を重ね入れる

フライパンにごま油を入れ、中火で1~2分熱し、豚肉、キャベツ、にんじん、玉ねぎの順に広げて入れる。

キャベツがふたの役割をします

野菜は火通りの悪いものから先に入れていきます。豚肉はきれいに並べなくても問題ありません。キャベツはザバッとかぶせてふたをするように、玉ねぎとにんじんは散らすように広げましょう。

3. 焼いてから炒める

少し火を強め、具材を上から押し付けたら、そのまま2~3分焼く。豚肉に焼き色がついたら全体を返して30秒~1分炒める。

豚肉の脂で野菜をコーティングするように

具材が入るとフライパンの中の温度が下がるため火を強めます。豚肉は下の面がしっかり焼けていて、上の面はやわらかい状態です。薄切り肉は片面をしっかり焼けば、あとは炒めながら火が通ります。豚肉から出る脂を野菜にコーティングするようになじませながら炒め合わせます。玉ねぎとにんじんは食感が残るくらいで大丈夫です。

4. 調味料を煮立て絡める

フライパンの中央をあけ、〈A〉を砂糖、しょうゆの順に入れて煮立てる。全体に絡めて水分をとばすようにして炒めたら器に盛る。

調味料を順に入れる意味は

調味料は砂糖、しょうゆの順に入れます。先に砂糖がフライパンに触れることで甘味の香ばしさの下地ができ、そこにしょうゆが加わることで味わいに深みがでます。酒やみりんは使わずに砂糖としょうゆだけで味付けするのは、水っぽくならないための配慮。ただし、鶏むね肉など淡白な味の肉の場合にはみりんを加えて、肉にうま味を十分なじませるようにするひと手間を惜しまずに。

(1人分452kcal/塩分1.3g/調理時間約20分)

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ヘルシーポイント

炒め物は減塩しやすい料理です。塩分が気になる時はしょうゆを「小さじ2」に減らしても、食材から出るうま味で意外なほどおいしくいただけます。調味料を煮立てることで香ばしさが加わり、薄味でも満足感を得られます。

監修・料理/小田真規子 
撮影/高杉 純 文/峯田亜季 デザイン・コーディング/高橋裕子・長瀬佳奈江(Concent, inc.)編集担当/杉森一広 市川真規(キッコーマン)
※商品情報は本ページ公開時(2022年5月)のものです。公開後にリニューアル、販売終了等になることがありますので詳しくは当社サイトの商品情報をご確認ください。