(写真)ゲーミングモニター「GigaCrysta(LCD-GCWQ341XDB)」34型
(記事公開日:2019年8月29日)
ここ数年、成長著しいゲーミング&eスポーツ市場。その世界でゲーミングモニターとして飛躍を遂げてきたI-O DATAのGigaCrysta。その成長の背景を探るべく、広報の納富氏にインタビューを試みました。
アイ・オー・データは以前からゲーミングのデバイスを商品化していました。例えば20年ほど前に発売された、セガサターン用のインターフェイスやPCでジョイスティックをコントロールするPCカードは、記憶しているユーザーさんもいらっしゃるかと思います。
(写真)IF-SEGA2/PCI
昨今はゲーミング市場、特にeスポーツの盛り上がりが話題ですが、当社が本格的にゲーミング市場にのりだした第一歩は2014年9月の東京ゲームショウへの初出展となります。
(写真)東京ゲームショウへの初出展
本イベントでは、同年11月に初めてのGigaCrysta(LCD-RDT271XPB、LCD-RDT241XPB)の販売に先駆けての参考出展で、ゲームユーザーとの初めての交流の場でした。
このように「ゲーミング」という切り口で打ち出したモニターを世に出すことによって、今まで関わりが薄かったゲームユーザーの具体的な要望の声が聞こえるようになりました。
1年後進化したGigaGrystaの次期モデル(LCD-RDT242XPB、LCD-RDT272XPB)は、そのユーザーの声を反映しています。従来の高画質さやその他の機能を引き継ぎつつも、要望の多かったフリッカーレス設計、低遅延モードを実現しています。
一歩ずつではありますが、ゲームユーザーへ近づきはじめたスタートの1年だったと感じています。
一方、プロモーションの観点から考えると、ゲームコンテンツとのコラボレーションはとても重要なことだと思っていましたので2015年1月にファイナルファンタジーの推奨モニターとしてGigaCrystaが認定されたことは、とても大きな出来事でした。
(写真)「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」推奨モニターとして認定
ゲーミングモニターを販売し、ユーザーの要望を知ることができる環境が生まれたこと。また、ゲームコンテンツとのコラボレーションによって、推奨モニターとして販売でき、さらに、コンテンツ開発者のニーズも見えてきたことは、商品開発において貴重なことでした。ユーザー、コンテンツ開発会社、双方のお声を頂くことで的確なニーズをとらえた商品の開発サイクルがスタートできたのです。
その良いサイクルは、キャプチャー商品の開発にもつながっています。例えば、当社には5000円くらいで販売しているGV-USB2(2010年9月発売:ioPLAZA価格調べ)という商品がありますが、当初の売り出し方はアナログのVHSテープの映像をDVD化、デジタル化して残そうというものでした。
(写真)USB接続ビデオキャプチャー「GV-USB2」
もちろんその需要は今でもあるのですが、実際の商品レビューを見ていると、本商品を使ってゲームをキャプチャーしているユーザーが多いことに気が付きました。私たちの想定とは違ったところで多くのユーザーさんが使ってくれていたのです。ゲームユーザーにとっては簡単に自分のゲームプレイを録画できるということが本商品の価値だったのです。
そこでゲームユーザーに、PCレスでより簡単にキャプチャできるGV-HDREC(2016年12月発売)という商品をリリースしたのですが、想定外のニーズを知ることになりました。
2016年頃からeスポーツ市場の盛り上がりを感じており、プレイするだけでなく見せる楽しみも広がる中、PCを使わずに簡単にゲーム画面をキャプチャーできる本商品を市場に投入したところ、ゲーム実況者からは「PCレスで、その場で録画して再生ができるなんてとても便利」とか、格闘ゲームユーザーからは「1フレームずつのコマ送り再生ができるので、例えば、このフレームのときに、コマンドが入っているから敵を倒せたなど、プレイの振り返りができ、練習デバイスにぴったり」というお声を頂きました。
本商品は、販売して既に3年近くになりますが、安定した販売推移です。それは、幅広いゲームユーザーがPCレスでの使い勝手の良さを感じ、それぞれの使い方にあった機能を導き出し、利用いただけているからだと感じます。
2014年の初出展以来東京ゲームショウは、毎年参加していますが、ゲームショウ以外のところで多くのユーザーさんと触れ合う機会として、2016年12月に開催されたファイナルファンタジーXIV(FFXIV)のファンフェスティバルの参加は刺激的なものでした。
(写真)ファイナルファンタジーXIV(FFXIV)のファンフェスティバル
このイベントでは、 FFXIVの新エディションを初めて体験できる場だったのですが、そこのフロアアクティビティとして開催される「バトルチャレンジ」(試遊コーナー)にGigaCrystaをはじめとした当社ディスプレイを展示しました。その際、来場者には試遊コーナーで使ってもらい、「いいな」と思ってもらったらその場で購入できるようにしたところ多くの方にご購入いただきました。
体験してからの購入はGigaCrystaの映像の美しさや応答速度などのゲーミングモニターとしての一定のご評価をいただいた証になり、開発メンバーがゲーム市場への確かな手応えをつかんだように思えます。
開発メンバーがゲーム市場への実感をもってくれた数カ月後。その想いは会社全体へと広がっていきます。そのきっかけとなったのが、2017年4月に秋葉原で開催したI-O DATAフェアです。
当フェアでは、様々な商品を展示しいろいろな体験コーナーを設けたのですが、この中で最も集客が多かったのがゲーム実況コーナーでした。お客様同士で格闘ゲームを対戦いただき、その様子をプロが解説を踏まえて実況したところ非常に会場は盛り上がりました。
(写真)I-O DATAフェア
その様子を見て、ゲーミング市場の盛り上がりが、単なる一部のユーザーだけではなく、大きな波となっていくことが、開発スタッフだけでなく他の社員も実感したと思いますし、またゲーミング&eスポーツ市場で存在を高めていこうという思いが高まったと感じています。
(写真)ゲームのプレイ動画をフルHDで簡単保存できる「GV-HDREC」
そもそもI-O DATAのユーザーはアンケートをとると9割が男性、その年齢は40代後半から60代というのが基本層です。ところが、当フェアでゲーム実況を見ていた人やFFXIVのファンで集まったのは、20代、30代を中心とした若い人たちです。
つまり、GigaCrystaを通じて、当社が今までリーチできなかった若年層にアプローチでき、かつ興味・関心だけでなく購買までつなげられていることは、これからのアイ・オーファンをつくっていく意味でも大きな意義があると言えます。
イベントという意味では、その他にもC4LANにも参加しています。本イベントは、ゲームタイトルの枠を超え、3日間、持ち寄ったゲームを楽しもうというパーティーですが、当イベントでもI-O DATAの存在は高まっています。機材協力はもちろんですが、地元金沢の「チャンピオンカレー」を100食無料で提供したり、会場で使用した液晶ディスプレイをお試し価格で購入できるじゃんけん大会は、もはや定番のネタになりつつあり非常に盛り上がります。
もちろん盛り上がりだけでなく、イベントを通じてのユーザーとの触れ合いは、機能比較、例えばリフレッシュレート60Hzと240Hzの違いを実感してもらえるのでこれらのイベントは、当社商品を体感してもらう良いプロモーション機会になっています。
このようにゲームユーザーさんとの関係は少しずつ蓄積されてきていますが、ここ1~2年は、プロゲーマーやプロチームとの関わりも積極的に増やしてきました。
2018年2月にはアクションシューティングのプロゲーミングチームである「Green Leaves(グリーン リーブス)」とスポンサー契約を締結しています。当チームには現在約14名ほどのメンバーが在籍しており、当社から液晶ディスプレイを提供するなどし、機能面などプロとしての意見をいただき、新商品開発企画の参考とさせていただいています。
(写真)プロゲーミングチームGreen Leaves(グリーン リーブス)
同じくプロチームとしては、2019年の1月に「父ノ背中」とスポンサー契約を締結しています。「父ノ背中」スポンサー契約締結する前にGigaCrystaのことをTwitterで投稿していただき、そのバズり方(SNS上での口コミの広がり)が凄く、そのツイートを見て実際に購入してくれる方が多くいました。また契約後、4月には秋葉原で50名限定のイベントにご一緒したのですが、その際も彼らに憧れる10代20代の方が当社のモニターを購入してくれました。
(写真)プロゲーミングチーム父ノ背中
彼らに憧れる若者はとても多いのです。これって本当にスポーツのアスリートと一緒ですよね。選手と同じシューズを買いたい、一緒のサプリを買いたい。それがeスポーツの場合、ゲーミングモニターであったり、コントローラーであったり。憧れるプロゲーマーさんは、影響力の高いインフルエンサーです。彼らの意見を積極的に取り入れ、活動を支援していくことはとても重要だと思っています。
冒頭で、ゲームコンテンツとの関わりとしてファイナルファンタジーのことを話させてもらいましたが、その他にも、ウイニングイレブンの大会において使用機材の提供と優勝賞品としてGigaGrystaを提供させてもらったり、「ぷよぷよチャンピオンシップ」の公式モニターとして採用してもらったり、他にもBORDER BREAKやファンタシースターオンライン2など数々のゲームコンテンツとの連携も深まっています。
(写真)ぷよぷよeスポーツ
幕張メッセで開催された2019年3月ファイナルファンタジーのファンフェスでは前回よりも試遊台が倍以上の規模に。すごい数だと思います。今回も試遊コーナーで使用したディスプレイを販売したのですが、非常に好評で販売数だけでなく、ユーザーとのコミュニケーションを深められたこと、こうやってGigaCrystaブランドが受け入れらていく様は、大きな励みとなっています。
eスポーツは2015年4月に設立された一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)をはじめとする活動でもわかるように社会全体への広がりを見せています。I-O DATAも2018年9月に加盟。本加盟をきっかけに会社をあげて、ゲーミングモニターGigaCrystaブランドを前面に出したプロモーションを強化しています。
社会への象徴的なものとして、2019年の茨城国体で正式にeスポーツが文化プログラムとして決定したことは大きな出来事です。そして当社は、茨城国体eスポーツの競技タイトルである「ウイニングイレブン2019」と「ぷよぷよeスポーツ」の予選会でGigaCrystaを提供することになりました。予選会は47都道府県で実施されますが、その全てに当社の液晶ディスプレイが使われることは大きな意義があると感じます。
振り返ればちょうど2年前、2017年からeスポーツに関するニュースが増えており、いわばeスポーツ元年のイメージですかね。そこで賞金の話が出てきたり、専門学校でもeスポーツに特化した学科が生まれたりしました。
そのような流れの中、この茨城国体の話題はとても大きなものです。本国体におけるeスポーツの採用決定が2018年の夏頃にあったと思いますが、その頃より、一気に報道機関からの情報が増え、その後、流行語大賞に選ばれたりと、eスポーツの認知が一気に広がったと感じます。当社にもテレビや新聞の取材が増えています。
先日は、eスポーツの大会の優勝賞金が3億円という話題もあり、ますます世間の関心が高まっています。もちろん賞金の大きさだけでなく、eスポーツの存在はユーザー増や、参加企業の増加など社会的に影響を与えていると言っても過言ではないでしょう。
当社は、その大きな波より数年先駆けてスタートが切れ、ここまで成長させてもらったことはこの市場においてアドバンテージになっているかもしれません。
しかしながら、ここで勘違いしたくないのは、市場の大きさや流行だからeスポーツやゲーミングに力を注ぐのではないということです。あくまでも大事なのはユーザー1人ひとりであり、その要望に応えていくのが大事なのです。
繰り返しになりますが、イベントなどを通じてユーザーさんの反応を直に感じることは最も私たちが大切にしていることです。東京ゲームショウには今年ももちろん参加しますし、ユーザーさんとの交流からさらに満足のいく商品を手掛けていきたいと思います。
ゲーム市場が大きくなるにつれて、ユーザーさんの要望は多様化していっています。当社としては、あるゲームを楽しんでいる特定の方だけではなく、幅広くゲームを楽しんでいるユーザーのみなさんに対して快適になる商品やサービスを提供し続けたいと考えています。
「快適」と言ってもみなさんが楽しむゲームによって求めるものは違います。例えば応答速度が速いモニターが欲しいとか、応答速度はそれほど求めないから、画質がなめらかで綺麗なモニターが良いとか。キャプチャー商品にもそれぞれの要望があったり・・・それらの要望に耳を傾け、実現していくことが大事です。
そう考えていくと、GigaCrystaブランドは液晶ディスプレイに限らず、ゲーム市場やeスポーツを楽しむユーザーさんの要望に応えられるブランドの象徴として成長していく必要があります。
すべてのゲームユーザーに寄り添う商品やサービスを提供し、それぞれのユーザーの快適さを提供する。それがGigaCrystaブランドです。
ぜひ、これからのGigaCrystaブランド、さらにはアイ・オー・データ機器、に期待をしていただきたいと思います。
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