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ユーザ中心設計のすすめ(第58回)―アイコン プリント
2010/08/24 火曜日 20:23:15 JST

今回は皆さんもよく目にしているアイコンのお話です。

毎日、皆さんはたくさんのアイコンを見ているかと思います。まず筆頭に上がるのが、このコラムを見るために必要なパソコンです。皆さんのパソコンのデスクトップはいかがでしょうか。アイコンがいくつか並んだ状態かと思います。びっしり画面一杯に並んでいる方は少し整理した方がよいかもしれません。(^-^ )
それはさておき、私のWindowsパソコンのコントロールパネルを開くと下のようなアイコンがありました。
      ui-58-1.jpg

これらのアイコンは右にある機能を絵で表したものです。アイコンを押すと、それぞれの機能の設定メニューリスト画面に遷移します。ではアイコンなしの文字だけの画面を想像してみてください。このアイコン付きのほうが判りやすいと思いませんか。

これらのアイコンを使うことによって、ユーザは直感的に内容が理解出来ますし、繰り返し使う際には、他の画面の要素との区別もしやすいため目的のものをスピーディに探し出すことが出来るのです。

ではこちらのアイコンはどうでしょうか。
      ui-58-2.jpg

これは、皆さんもよくご存知の今流行のi-phoneのメニュー画面ですね。これは使いやすくするための目的のほかに、画面を楽しく、華やかにさせるという目的にアイコンが効果的に使われています。皆さんがお持ちのケータイのメニューもデザインに凝ったリッチな表現になっていると思います。アイコンがなく、ただ文字の羅列では寂しいですよね。

「新グローバル英和辞典」で、iconの意味を調べると
[1]【ギリシア正教会】聖像, イコン, (キリスト, 聖母マリア, 聖徒, 天使などの)
[2]〈一般に〉像, 肖像; 偶像.
[3]【言・記号】(ア)イコン, 図像, 類似記号.
とありました。

[1][2]の意味のiconの歴史は古いものですが、[3]のコンピュータ業界におけるアイコンの歴史はさほど古くはありません。このアイコンは初心者が容易にコンピュータを操作できるように、1970年代にゼロックス・パロアルト研究センターで開発されました。発明されてからわずか40年ですが、現在は色々な製品で目にすることができ、またそれらを操作する上でも欠かせないものになっています。

アイコンを制作する際には二つのハードルがあります。一つ目は、ユーザに意味が正しく伝わるメタファやモチーフ(コノテーション)を採用しているかどうかです。前出のi-phoneメニューの「設定」アイコンは、ギアというメタファを採用しています。i-phoneの中には、このようなギアは存在しませんが、設定という意味を伝えるために、ギアを採用しているわけですね。二つ目は、そのギアがギアらしく見える絵に仕上がっているかどうか(デノテーション)です。つまり、何を描いているかがユーザに正しく理解できたとしても、メタファの意味が伝わらなければアイコンとしては機能しないことになります。

たかがアイコンと思うかもしれませんが、実は我々にとって、生活する上で必要不可欠なものになっているというお話でした。

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筆者プロフィール
鞆 幾也 (TOMO, Ikuya)
tomo.jpg1988年 金沢美術工芸大学工業デザイン科卒業。
1990年 株式会社ノーバス設立に参画。
2003年 株式会社ジー・テック・ノーバス設立。代表取締役に就任。
(2005年10月株式会社U'eyes Designに移管)
2005年10月から2007年9月まで株式会社U'eyes Designの上級執行役員に就任。
現在はU'eyes DesignのUCD上級コンサルタントとシニアアドバイザーを兼務。
医療機器のプロダクトデザインを行いつつ1996年頃よりユーザインタフェースデザインの業務をスタート。
特に1998年頃から携帯電話の操作仕様設計から画面のグラフィックデザインまで数多くの端末の開発支援をおこなう。
UCD開発支援の実績としては鉄道自動券売機(オムロン製)がある。

株式会社 U'eyes Design:http://ueyesdesign.co.jp
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