もしやiPhoneもiPadも生産停止? 従業員怪死が止まらない渦中のFoxconn会長が激白

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    もしやiPhoneもiPadも生産停止? 従業員怪死が止まらない渦中のFoxconn会長が激白

    このまま製造停止に追い込まれたりして...

    一連のアップル製品の製造などを請け負いながら、その急激な増産体制が響いたからか、中国広東省深センにある工場などをめぐって、謎の従業員の不審死が止まらないFoxconnの郭台銘会長が、その苦しい胸の内を一部始終語り出しましたよ。

    こうやって深々と頭を下げ、工場内の職場環境の改善なんかを打ち出してはいますけど、でも、もしかすると、iPhoneもiPadも、世界で今も伸び続ける需要には今後応えられず、生産体制のひずみから供給に大幅な遅れが生じてくることが避けられないやもしれません。早く手に入れられたユーザーだけの超プレミアム商品となっていってしまうのでしょうか?

    ついに厳しい報道規制なんかも始まって、なんとか関係者は火消しに躍起になっていますけど、ここまでに明らかになっている情報を総合して、続きから今後の事態の進展を解明してみました。もうかえってその一部の非常識な対応のマズさが、これからFoxconnならびにアップルを始めとする製造委託メーカー側の首を次々と絞めることにもなりかねませんね。また日本ではiPhoneの新モデル発売も延期になったりして〜

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    まずは一連の自殺報道を受けて、お詫びの言葉を語り始めた頃の、まもなく60歳を迎えるFoxconnの郭台銘会長の胸の内ですよ。

    「不幸にも亡くなってしまった当社の従業員の遺族の皆さまには、心からお悔やみ申し上げ、Foxconnのトップとして、自分にも至らない点があったことを深くお詫び申し上げたいです。

    実のところ、だれよりも辛いのは私自身であるということも、この機会にお話しさせてください。実は現在、私は深刻な心的ストレスを抱えて精神科医のカウンセリングを受けています。

    この数カ月間というもの、夜中の11時から夜明け前まで、従業員が飛び降り自殺を図ったとの緊急電話連絡がいつまた入ってきはしまいかとおびえて、ほとんど眠れない毎日が続いています。大切な当社の社員が不幸にも命を落としたとの知らせを受けて、どれだけ私も悲しい思いをしており、苦悩の日々を送ってきたのかを察していただきたいのです」

    そう苦しい胸中を明かしつつ、数多くの報道関係者を集めて謝罪会見を開いたところまではよかったんですけど、かなり鋭い追及や攻撃的な質問が、延々とメディアから続いたことに耐えられなくなったのでしょうか。ここからの対応が、かえってマズい事態を招いてしまったような気がします。

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    最初は神妙な面持ちで、低姿勢で平謝りするスタンスを前面に出して、なんとか事を丸く収めたいとも考えていたんでしょうけど、途中からはマスメディアに対して怒りをぶちまけてしまった感じですよ。

    「あのね、ちょっとここではっきりと最後に言わせてもらいますけどね、どうしてメディアの人って、そんなにもウチのことを悪く書き立ててばかりいるんですか。アップルとか、Foxconnとかの名前を出して、また従業員が飛び降り自殺をしましたって記事にしたら、世間で受けるとしか思ってないんでしょう?

    ちょっと常識的に考えてみてくださいよ。ウチはね、ここ深センの工場だけじゃなくってね、中国全土に80万人もの従業員を抱えているんですよ。これだけの社員がいれば、中には自殺を遂げる人だっているでしょ。そういう社員1人1人の人生の管理まで、私に責任を取れって言うんですか?

    これからのこともあるので、皆さんにはお願いしておきますけど、もうウチのことを追いまくるのはヤメてください。特にまた社員が自殺しただとか、そういう記事を書くのは何の益にもなりませんから、いちいち今後は記事になんかしないって約束してくださいよ」

    あららら、確かに失礼で過激なマスコミの取材も多いですけど、これはちょっとマズいんじゃないでしょうかね。やっぱりどんなに表向きには世間に謝罪してみても、実際はこういう高圧的な態度でしか臨んでいないので、なかなか事態が改善しないんじゃないでしょうか?

    そう疑われても仕方がない会長発言が飛び出しちゃいましたが、どうやら実はこの厳しい報道規制っていうのは、この後から本当に中国当局なんかもバックアップする形で始まったようでして、これと前後して起きてしまった悲劇の過労死事件は徹底して会社側が揉み消しを図ったとも伝えられてます。まぁ、全社員に「死んでも会社にだけは絶対に迷惑をかけません」なんて念書へ署名させようとする会社ですからね...

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    そうは言っても、やっぱりこのまま悲劇が止まらなければ大変でしょうから、急いでFoxconnが打ち出してきた対策は以下の通りですよ。

    • すでに亡くなってしまった従業員を盛大に弔い、厄払いをするために僧侶を工場内へ招き入れて、厳かなる法要を営む。最大の効果を上げるため、Master of Buddhist Association of Chinaから著名な高僧の派遣も願う。
    • 新たにカウンセリングの専門家を大量に雇い、従業員には心安らぐ恋愛相談なんかも気軽に行なえるように無料の相談ホットラインを利用可能にする。
    • 大問題になった念書への署名義務づけを取りやめる。自殺して会社に迷惑をかけないと不当に誓わせるようなことはしない。
    • 厳しい製造ラインでの仕事を少しでも楽しく行なえるように、工場内にリラクゼーション効果の高いミュージックを流すようにする。

    んむむ、どこか緊急対策として打ち出されたにしてはズレているように感じるのはボクだけでしょうかね? 要は今までよりも残業も休日出勤も決して大幅に減ったりはしないけど、とにかくノルマの増産体制を維持はしつつ、なんとか事態の沈静化を図りたい会社側の思惑が見え隠れしているような気がしますが...

    「Foxconnの責任ある経営者という立場から、私に行なえることは何でも徹底して果たしていきたいと考えています。最も私の願うのは、すべての従業員の幸せでございます。この願いは、これまでも強く全社で打ち出されてきたものですし、これからも変わることがないものです。

    ただし、私たちの側で変わらなければならない点もあることも承知しています。工場内で仕事をしている時でも従業員が幸せであれるようにと願ってやまないというのが正直な気持ちであり、そのための改善を全力で図っていきたいと思います」

    こんなふうに郭台銘会長は語っていましたが、本当にそうであってほしいですね。ただし、この言葉が嘘でないことを証明するために残された時間は、実はあんまりないかもしれませんよ。

    「社内の劣悪な職場環境が世界から注目を集め、それを苦にして自殺する社員が止まらない事態が続いているものの、Foxconnにとっては、この問題を適切に解決するために充てられる時間は多くはない。

    すでに事態の深刻さに気づいたアップル、ノキア、HPといった、Foxconnに製造を委託しているメーカーは、最も懸念している自社製品の不買運動がFoxconnへの抗議行動の一環で世界各地に飛び火し、厄介な問題に発展することを恐れ始めている。早急にFoxconnへの注文を取りやめ、別の製造ルートを確立しようという動きさえ見られようとしている」

    こう語ったのは、Foxconnが本社を置く台湾では名の知られたあるアナリストですが、いずれにしましても、Foxconnにとっては、社員に優しい改革を早急に成功させないといけない圧力が急速に強まってきたようですよ。

    ボクらの大好きな最新ガジェットの生産は、当然ながら、遅れずに滞りなく販売できる体勢が整うに越したことはありませんが、それが殺人的な製造ラインで仕事を強いられる人の犠牲の上に成り立つというのは決して許されてはなりませんよね。そうは言っても、うまくiPhoneやiPadが作られなくなるというのも辛いし、なんとも難しいところですね...

    「現在の職場環境は、少なくとも中国の他の企業の工場なんかよりは良くなったと思っています。本当は満足している社員だって多いんですけどね」

    これはあくまでもFoxconn側が紹介した一従業員のコメントですが、真相がそうであってほしいと心より願います。

    [Taiwan Apple Daily via Now News via MIC Gadget]

    Kat Hannaford(原文/湯木進悟)