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ドイツ軍のUボートを撃破せよ! 第二次世界大戦駆逐艦シム『Destroyer: The U-Boat Hunter』でドナルド・マッキンタイアの生き様を振り返る

第二次世界大戦を題材にしたゲームは数多く存在します。

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ドイツ軍のUボートを撃破せよ! 第二次世界大戦駆逐艦シム『Destroyer: The U-Boat Hunter』でドナルド・マッキンタイアの生き様を振り返る
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第二次世界大戦を題材にしたゲームは数多く存在します。

その中でも、今年早期アクセスから卒業して正式リリースされた『UBOAT』は話題を呼びました。ドイツ海軍の潜水艦(Uボート)を、操艦から索敵、魚雷攻撃の軌道計算等あらゆる作業を自分の手でやりながら連合国軍の輸送船を沈めていくという、なかなかどうしてコアな内容のゲームです。筆者自身、このゲームの実況動画をYouTubeで配信しています。

そして、この『UBOAT』とは真逆のゲームも存在します。それが『Destroyer: The U-Boat Hunter』。プレイヤーは駆逐艦の館長となり、迫り来るUボートから輸送船団を防衛するという目的の作品です。

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対潜攻撃は「数学の世界」

この『Destroyer: The U-Boat Hunter』、紹介する前にまず断っておかなければならないことがあります。それは、よくある戦争モノシューターのような「敵を倒した爽快感」や「派手な爆発・破壊演出」はほとんどないという点です。

エイムを合わせて敵に向けてバンバンバン……という展開もあるにはありますが、このゲームのプレイの大半は機械操作と計算です。プレイヤーがまず最初にやることは、海軍では方角は360等分されているという知識を頭に叩き込むこと。コンパスの真北は0度、真東は90度、真南は180度、真西は270度で、方角の指示は全てこの数字で報告されます。

駆逐艦には、レーダーとソナーが搭載されています。Uボートが浮上している時はレーダーに反応しますが、海中に潜ってしまうとソナーを頼るしかありません。これは音響を海中に放ち、何かしらの物体に接触するとその音響が返ってくる仕組みの装置。これを使えば、Uボートの大まかな位置と深度が分かります。

文章で書けば簡単なのですが、これはまさに数学の世界。駆逐艦もUボートもリアルタイムで動いているため、相手の動きを予測した操舵も必要です。なんというか……これがベラボーにややこしいんだ!

アナログ計算機と定規が武器だ!

第二次世界大戦当時、まだ「コンピューター」と呼ばれるものはありませんでした。

イギリスの数学者で「コンピューターの父」と呼ばれたアラン・チューリングは、イギリス本土で「ウルトラ」の中核に関わっていました。これは連合国軍の対独情報班を指すコードネームで、ドイツ軍のエニグマ暗号機を破る使命を与えられていました。ウルトラが解読した暗号は「ウルトラ情報」と呼ばれ、連合国軍の勝利に大きく貢献したのです(なお、対日情報班は「マジック」と呼ばれていました)。

暗号解読がコンピューターというものを確立させたのは事実ですが、一方で艦船に搭載できるようなサイズのコンピューターはまだありません。レーダーやソナーで得た敵の位置情報を解析するのは、アナログ式計算機と定規、分度器、そしてペンです。

もちろん、これはドイツ軍のUボートでも同じです。したがって、潜水艦VS駆逐艦は艦長同士の「計算能力合戦」と表現しても差し支えありません。

Uボートの英雄を次々に狩ったドナルド・マッキンタイア

1940年6月、ドイツ軍はフランスに侵攻。装甲師団を繰り出す電撃戦で、あっという間にフランスを敗北に追い込みました。

ドイツ海軍はフランス西部の軍港ラ・ロシェルを利用できるようになり、そこからUボートが大西洋へ出撃することが可能になりました。大西洋上を航行するイギリスの船舶は、次々とUボートの波状攻撃の犠牲になります。ドイツ軍は、1940年7月頃から始まった大戦果期を「ハッピータイム」と呼びました。

ギュンター・プリーン、ヨアヒム・シェプケ、オットー・クレッチマーは当時のUボート三大艦長で、ドイツ国民の英雄でした。ところが、この3名は短期間のうちに戦死もしくは捕虜になってしまいます。しかもシェプケとクレッチマーは、まったく同じ日に同じ護衛艦隊にやられています。この護衛グループの指揮官は、イギリス海軍のドナルド・マッキンタイアです。

マッキンタイアの乗船する駆逐艦ウォーカーは、クレッチマーのU-99に爆雷を投下して航行不能に追い込み、この艦を投降させます。それとほぼ同じ頃、マッキンタイア指揮の護衛グループの駆逐艦ヴァノックがシェプケのU-100に体当たり攻撃を仕掛け(広い大海原での体当たり攻撃は、針の穴に糸を通すようなものです)、シェプケを戦死させます。

マッキンタイアの大活躍は、ドイツ軍のハッピータイムを終結させました。

群狼作戦を打ち破れ!

そんな大海戦を細部まで再現する『Destroyer: The U-Boat Hunter』は、マッキンタイアの達成した戦果がいかに困難なものだったかを我々に教えてくれます。

潜水艦というものは、艦内の酸素やバッテリーの残り電力に余裕がある限り海中に潜ってしまいます。さらに、潜水艦VS護送船団のほとんどの海戦において、相手を最初に発見するのは潜水艦です。駆逐艦がUボートを発見した時点で、Uボートはこちらの位置を認識しています。護送船団は常に後手に回ってしまう、というわけです。

さらに、Uボートは1隻だけではありません。「群狼作戦」を実施するため、複数隻で連携を組んで護送船団を襲います。どこからどうやって来るのかは、図に描いた航行パターンを見て予測するしかありません。

なお、このゲームは大型船団の護衛を選択すると、プレイ時間は優に5時間ほどかかります。現実の海戦のペースでゲームが進むためにそうなってしまうのですが、考えてみれば暇な年末年始休暇を過ごすには最適のゲーム! 2025年の正月は、駆逐艦の艦長になってドナルド・マッキンタイアを目指してみるというのはいかがでしょうか!?

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ライター:澤田 真一,編集:キーボード打海

ライター/ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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編集/「キーボードうつみ」と読みます キーボード打海

Game*Spark編集長。『サイバーパンク2077 コレクターズエディション』を持っていることが唯一の自慢で、黄色くて鬼バカでかい紙の箱に圧迫されながら日々を過ごしている。好きなゲームは『恐怖の世界』。

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