ゾンビファンなら誰もが「ゾンビが出たらどうする?」と妄想をふくらませる。2ちゃんねるにも定期的にゾンビが出たらどうする? スレが立つし、twitter のまとめサイトの toggetter にも最近トピックが相次いで上げられて、シミュレータまである(市民の武装やゾンビの足の速さまで設定してニヤニヤ見守れます。うめき声や銃声がするのでご注意)。
普通は真剣に語らないこのシミュレーションを真剣にまとめたのが『ゾンビ解体新書』だ。ゾンビが日本に発生したらどうなる? という国家レベルから、発生したらどうしたらいい? という個人レベルまでフォローしている。
国家レベル:
富山市郊外で交通事故で運搬していた有害な薬品が流出、運転手がゾンビになって駆けつけた警察官に襲いかかる。まさかゾンビがほんとに出るとは思わないので初動で遅れを取り、封鎖をすり抜ける潜在的感染者もいるため感染が拡大。半日で富山から近隣の県、二日で本州全域、三日で日本全体に拡大、やがては隣国へも波及する様子を報告書のように淡々とつづる。
個人レベル:
ゾンビ発生時のサバイバルテクを広範囲に紹介。デマに惑わされない情報リテラテシーから移動すべきか籠城すべきかの判断基準(職場でも上司のいうことを聞くのではなく自分で決めよう!)、実際に籠城する先もスーパー、病院、一戸建て、アパート、マンションなどロケーション別にカバー(病院はゾンビ予備軍が運び込まれてくるから避けよう!)。籠城した後の貯水や食品保存テク、調理と換気のコツ(ゾンビが寄ってくるから換気扇は回すな!)、いざというときの護身術から応急手当から、平時のトレーニング方法から救急箱に入れておいたほうがいい薬品(念のため風邪薬を忘れずに!)まで、あまりに幅広くて一部ゾンビと関係無くなっている。
「ゾンビが出たらどうする?」はどうしてこんなに楽しいのだろう?
まず、ゾンビの発生は人口の減少を意味する。
人が多すぎる、と感じることがある。まず人混みの煩わしさ。朝の通勤列車。混み合う公共施設。知らない人の都合は想像できないから、他の人に時間を外してほしいと思ってしまう。そして、世の中の広さ。料理とか山登りとかゾンビとか何か得意なことがあっても、一番だと実感するのは難しい。
ゾンビが出たらどうだろう。人間の数は減るし(そもそも通勤も役所手続きもしないだろうし)、まともなネットワークは温存されないから、今よりも小さく限定された集団で生活することになる。得意なことを活かせる機会も増えるに違いない。濃縮された世界では、たぶん自分は今よりかけがえのない人間になれる。
「生き残るのが前提なのは虫が良すぎる」というリアリストもいるかもしれない。そんな方にオススメなのはゾンビ先進国のアメリカでリリースされている『Zombies for Zombies: Advice and Etiquette for the Living Dead』。ゾンビになって見苦しくないように生前からエチケットを知っておけ、というゾンビになったときのためのエチケット集。
アメリカのゾンビファンはイッちゃってるよ。あいつら未来に生きてんな。(tk_zombie)