自らの女性器をスキャンした「3Dプリンタ用のデータ」を他人に送信したとして、わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪の疑いで逮捕・勾留された芸術家「ろくでなし子」さんが7月18日、釈放された。
その記者会見の様子は19日夜、テレビの情報番組でも紹介されたが、コメンテイターとして出演した劇作家の鴻上尚史さんは、「(ろくでなし子さんの逮捕時に)マスコミが『自称芸術家』と報じていたのは、とても恥ずかしいこと」と、マスメディアの報道のあり方を厳しく批判した。
●「警察発表をそのまま受けて報道するのは、すごく問題」
鴻上さんが出演したのは、7月19日夜に放送されたTBS系の情報番組「新・情報7daysニュースキャスター」。今週注目を集めた話題を紹介する「ニュースワードランキング」というコーナーで、「ろくでなし子さん、釈放」というニュースが4位で紹介された際に、「ちょっと言いたいんですけど」と、鴻上さんが次のように述べた。
「わいせつかどうかというのは、いろいろ議論していけばいいんですけど、『自称芸術家』と警察が発表したんですよ。警察は『この人はろくでもない』と言いたいから『自称』と言ったんだけど、彼女は本も出しているし、海外からインタビューもされている。もちろん漫画も描いているし、作品も売っているので、この人を『自称』というのだったら、ほとんどの人がみんな『自称』なんですよ」
このように、ろくでなし子さんの肩書きについて、警察が「自称芸術家」と発表したことを問題にした。そのうえで、警察発表のまま報道したマスメディアの姿勢を批判したのだ。
「警察が『自称』と言っても、マスコミが調べてみれば、自称でないのはわかるはずなんですよ。それが、インターネットの社会なんだから。でも、ほとんどの新聞もテレビもみんな、最初は『自称芸術家』という警察発表のままでやったんですね。それは、とても恥ずかしいことだと、マスコミの人は思ったほうがいいと思いますね」
さらに、マスメディアがろくでなし子さんの名前や年齢を報じていることについても、鴻上さんは否定的な意見を示した。
「警察は、(ろくでなし子さんの)年齢も名前も、勝手に全部出しているわけですよ。警察は警察の立場でいいですよ。でも、マスコミがそれをそのまま受けるのは、すごく問題だと思いますね」
鴻上さんが指摘したように、ろくでなし子さんが逮捕されたとき、新聞・テレビなどマスメディアのほとんどは「自称芸術家」という肩書きで報道していた。しかし、ろくでなし子さんの釈放を伝えるニュースでは、多くのメディアが「芸術家」と報じている。