電動キックボードの交通マナーが問題となっている。とはいえ、その走行ルールを今もよくわかっていないという利用者も少なくないのではないか。
都内に住む男性は、電動キックボードの走行が許されている「自転車レーン」だと思って走行していたところ、警察から注意されて、反則金を支払うことになった。
ご存知の人もいるとは思うが、車道にも歩道にも「自転車のマーク」が描かれた道路がある。電動キックボードで走ると違反になるのはどちらかおわかりだろうか。今一度確認したい。
●「そこのLUUP、ちょっと待ちなさい」
今年12月、都内を電動キックボードで走行していた男性(40代)は、交番の前を差し掛かったところで警察官に声をかけられた。
男性が走っていたのは、「自転車マーク」のある歩道だった。歩行者のエリアと白線で区切られ、自転車のピクトグラムが描かれている。
「電動キックボードは『自転車のレーン』を走るものでは?」
なぜ自分が止められたのか理解できない男性に対して、警察官は次のように説明したという。
「電動キックボードで『歩道の自転車レーン』を走ることは違反です。車道の左端にある『自転車レーン』(自転車専用通行帯や自転車ナビマーク部分など)は走行可能です」
「自転車が走れるところであれば、どこでも走れるんじゃなかった?」
男性は心の中でつぶやきながら、納得できない気持ちのまま反則金6000円を支払った。
●「電動キックボード=特定小型原動機付自転車=原則は車道通行」ただし…
電動キックボードは、道交法の車両区分上、「特定小型原動機付自転車」に該当する。自転車ではない。
警視庁の公式サイトでは、特定小型原動機付自転車について「車道通行の原則」と説明している。
〈特定小型原動機付自転車は、歩道又は路側帯と車道の区別がある道路では、車道を通行しなければなりません(自転車道も通行することができます)〉
〈道路では左側を通行しなければならず、特に、車両通行帯のない道路では左側端に寄って通行しなければなりません〉
〈車両通行帯の設けられた道路においては、原則として一番左側の車両通行帯を通行しなければなりません〉
男性が乗っていたのは「LUUP」だった。最高速度は時速20キロだが、一部のLUUPに搭載されている「時速6キロモード」のボタンを押すことで最高速度を時速6キロに変更することができる。
LUUPの公式サイトによれば、このモードのLUUPは「特例特定小型原動機付自転車」になり、「普通自転車等及び歩行者専用」など、特定の標識・表示のある歩道が走行可能になる。
警視庁の公式サイトでは、特例特定小型原動機付自転車が「例外的に歩道又は路側帯を通行できる場合」について説明している。
〈歩道を通行する場合は、歩道の中央から車道寄りの部分又は普通自転車通行指定部分を通行しなければなりません。歩道を通行するときは、歩行者優先で、歩行者の通行を妨げることとなるときは一時停止しなければなりません。
〈特例特定小型原動機付自転車は、道路の左側に設けられた路側帯(歩行者用路側帯を除く)を通行することができますが、歩行者の通行を妨げてはいけません〉
警察官からは「歩道を走るなら6キロモードに切り替えなければいけない。私はLUUPに乗ったことがないからわからないけど、どこかにボタンがあるでしょ」などと説明があったそうだ。
男性は「電動キックボードは自転車と同じ扱いで走行すると思っていた。これからは気をつけたい」と語っている。
【国土交通省】自転車は、道路のどこを走ればよいのですか?
https://www.mlit.go.jp/road/soudan/soudan_05b_01.html