シリアで選挙実施まで最大4年、シリア暫定政府トップが見通し

西洋式のスーツ姿でインタビューに答えるアフメド・アル・シャラア氏

画像提供, Reuters

画像説明, アフメド・アル・シャラア氏は自分がシリアを解放したのではなく、国民が自ら自分たちを救ったのだと話した

シリア暫定政府を主導する旧反体制組織の指導者アフメド・アル・シャラア氏は29日、シリアで総選挙が行われるまでに最長4年かかる可能性があるとの見通しを示した。サウジアラビアのテレビ局アルアラビーヤに対して述べた。

シャラア氏が率いる「ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS、「シャーム解放機構」の意味)」が中心となってバッシャール・アル・アサド政権を倒して以来、同氏が総選挙の実施に言及したのはこれが初めて(アル・シャラア氏は今月初めまで「アブ・モハメド・アル・ジョラニ」を通称として名乗っていた)。

シャラア氏は総選挙実施まで最長4年かかるという見通しに加え、憲法起草には最大で3年かかる可能性があり、公共サービスの大幅な変化をシリア国民が実感できるようになるまで1年かかるかもしれないと、アルアラビーヤに話した。

さらに、シリアが合法的な選挙を実施するためには、まず法制度を再構築し、包括的な国勢調査を実施しなくてはならないとも述べた。

アサド政権が今月8日に崩壊して以来、多民族国家シリアをHTSがどう統治するのか注目されている。

創設時のHTSは、イスラム法(シャリア)に基づく国家設立を目指して暴力を支持するイスラム聖戦主義の勢力だったものの、近年はそうした過去から距離を置く姿勢を示している。

HTSはかつてイスラム武装勢力「イスラム国(IS)」や同アルカイダと提携し、国連や多くの国からテロ組織に指定されている。

シャラア氏はこれについて、今後開かれる国民対話会議でHTSは「解散」されることになると述べたものの、詳細は明らかにしなかった。

シャラア氏の言う国民対話会議は、内戦が13年間続いたシリアをひとつにまとめるという約束を新指導部が実現できるのか見極めるための、最初の試金石になり得る。

自分たちが設置した暫定政府への批判については、シャラア氏はこれまでの人選は「不可欠」なポストについてのもので、誰も排除するつもりはないと述べた。

シリアには、クルド人、アルメニア人、アッシリア人、キリスト教徒、ドゥルーズ派、イスラム教シーア派アラウィー派、アラブ系のイスラム教スンニ派を含め、多くの民族や宗教グループがいる。イスラム教徒人口の大多数は、アラブ系のスンニ派。

HTSは、国内の少数派の権利と自由を保護すると約束している。

他方、イギリスに拠点を置くNGO「シリア人権監視団(SOHR)」によると、アサド支持者の摘発が続く中、この1週間で300人近くが逮捕された。

SOHRのラミ・アブデル・ラフマン代表によると、密告者、アサド政権支持の戦闘員、元兵士などが逮捕されている。同代表はAFP通信に対して、一連の逮捕は「地元住民の協力を得て」行われていると話した。

シリア国営通信社サナも、今週は「アサド民兵組織のメンバー」を対象にした逮捕が続き、武器や弾薬が押収されていると報じた。

(英語記事 New elections could take up to four years, Syria rebel leader says)