カラバッジョ作品か 仏民家で推定150億円の絵画

注意:記事中の写真には生々しい絵画表現が含まれます。

見つかった絵画に対しては、フランス国外への持ち出しが2年半禁じられている

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フランス南部のトゥールーズで2年前に見つかった油絵が、イタリア絵画の巨匠カラバッジョの作品かもしれないと分かった。本物とされれば、推定価格は1億3500万ドル(約150億円)に上る。

鑑定した専門家のエリック・ターカン氏は、見つかった油絵はカラバッジョが「ホロフェルネスの首を切るユディト」(1599年)と同じモチーフで制作したものだと考えている。

絵は民家の所有者が雨漏りを調べるため屋根裏に上がった際に見つかった。フランス政府は、作品の鑑定が続く間、2年半の国外持ち出しを禁止した。

今回見つかった油絵と鑑定したエリック・ターカン氏(写真左)

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ローマの国立古典美術館所蔵の「ホロフェルネスの首を切るユディト」(1599年)
画像説明, ローマの国立古典美術館所蔵の「ホロフェルネスの首を切るユディト」(1599年)

旧約聖書に登場する女性ユディトがアッシリアの将軍ホロフェルネスを殺害する様子を描いた今回の作品は、制作から約100年たった頃に行方が分からなくなったとみられている。

ローマの国立古典美術館に所蔵されている同じモチーフの作品も、1950年に見つかるまで、すでに失なわれた作品と考えられていた。

パリにあるルーブル美術館の専門家らが今回見つかった油絵の作者を特定しようとしているが、ターカン氏は、誰が描いたかをめぐって専門家が「合意することは永遠にない」だろうと語った。

もしカラバッジョの真作だと認定されれば、フランス政府が購入交渉に入る優先権を得る。

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カラバッジョはどんな画家だったのか

カラバッジョ

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・本名をミケランジェロ・メリージといい、生年は1571年か73年。暴力と波乱に満ちた人生を送り、38歳で死亡。死因は不明。

・明暗を強烈なコントラストで描く「キアロスクーロ」と呼ばれる、バロック絵画の手法の先駆者。

・けんか沙汰をよく起こしたことで知られ、度々牢獄に入れられた。人殺しの罪で追われていた。

・死亡時、恩赦を受けるためにローマに向かっていたといわれる。それまではイタリア南部で数年間、逃亡生活を送っていた。

(英語記事 Painting thought to be Caravaggio masterpiece found in French loft)