珠洲市の男性、家族眠る墓守り 1月で能登半島地震1年

家族が眠る墓に手を合わせる船本悦司さん=20日、石川県珠洲市
家族が眠る墓に手を合わせる船本悦司さん=20日、石川県珠洲市
  • 家族が眠る墓に手を合わせる船本悦司さん=20日、石川県珠洲市
2024年12月28日 05時12分

 能登半島地震で母と兄を亡くした石川県珠洲市の船本悦司さん(69)は、生活を立て直していたさなかの9月、豪雨で自宅が浸水した。度重なる被災を現実とは思えず途方に暮れたが、前を向くきっかけとなったのは、家族が眠るお墓。「自分が生きている間は守りたい」と再起を図る。

 元日の夕方、大きな揺れが収まった後、母=当時(94)、兄=同(72)=が暮らす実家に駆け付けると、家屋がつぶれていた。数日後、がれきの中で2人が亡くなっているのが発見された。

 父が眠る墓は土台がずれるなどして、四十九日を過ぎても納骨できなかったが、妻の知人がボランティアで修理してくれた。

 損傷した自宅の修復も進んでいた9月、豪雨災害に見舞われた。床上浸水して半壊となった。

 だが、自宅から歩いて20分ほどの墓に通う中で心が落ち着いてきた。妻と日課にする散歩のコースにあり、月命日には手を合わせる。

 墓を守れるのは自分だけ。墓じまいが頭をよぎったこともあったが、ここは3人に会える大切な場所。そばに感じながら、また少しずつ日常を取り戻す。

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