MicrosoftのRIA技術紹介(Silverlight/WPF)
RIAシステム 構築ガイド Essential 2
RIAコンソーシアムが発行したRIAの普及促進や開発に関するガイドライン『RIAシステム 構築ガイド』の2008年版である『RIAシステム 構築ガイド Essential 2』をWeb担向けに特別にオンラインで公開するコーナー。
マイクロソフトのRIA
マイクロソフトでは、OSやOfficeに代表される自身のソフトウェアにおいて、「ユーザエクスペリエンス -UX」を実現することを念頭に開発を進めています。UXとは、使いやすい、分かりやすいだけなく、楽しい、面白い、心地よいと利用者が体感できるかどうかが重要であるとする考え方で、RIAコンソーシアムが定義する「豊かな表現力を持ちより機能的で、操作性の良いWebの仕組みを表す」というRIAの概念と同じ方向性と言えます。RIAを実現するプラットフォームとして、デスクトップ用に.NET Frameworkを、Web用にSilverlightを提供しています。
.NET Framework (WPF)
Microsoft .NET Framework は、サーバーとクライアントの両方のアプリケーションを開発するための基盤であり、クラスライブラリの集合体という形で提供されています。Webベースのサービスやアプリケーションも採り入れているので、統合的なアプリケーション開発、実行環境といえるでしょう。
2002年1月5日に、最初のバージョンである.NET Framework 1.0の提供が開始され、最新のバージョンである.NET Framework 3.5は2007年11月19日にリリースされました。.NET Framework 3.xは、.NET Framework 2.0をベースに、WPF、WCF、WF、WCSという4つのコンポーネントが追加された仕様になっていますが、このうちとくにRIAと関係するのがWPFです。WPFは、.NETアプリケーションのユーザインターフェイスを司るコンポーネントで、その描画にはDirectXを利用しており、2Dだけでなく、3Dを表現できることが特長の一つになっています。
Silverlight
2007年4月に発表されたMicrosoft Silverlightは、開発コード名:WPF/Eの名が示すとおり、デスクトップアプリケーションの開発基盤として幅広く普及している.NETをWebへ広げることをコンセプトに開発されました。Webブラウザのプラグインとして、クロスブラウザ、クロスプラットフォームで動作します。
2007年9月6日に最初のバージョンとなるSilverlight 1.0の提供が開始され、2008年3月5日にそれまでSilverlight 1.1としていた次期バージョンをSilverlight 2として発表、同年の10月15には、Silverlight 2の提供が開始されました。さらに、12月2日にノベル社からSilverlightをオープンソースとして実装するMoonlight 1.0 ベータ版がリリースされています。
Silverlight にはWindows Mediaのデコーダが内蔵されているため、Silverlight上でWMVやWMAファイルをプレイバックすることができ、さらにWMDRMと互換性のあるSilverlight DRMを実装したことで、動画フォーマットとして幅広く普及しているWindows Mediaをセキュアに配信できます。Deep Zoomという、巨大なビットマップイメージを高速かつインタラクティブに操作する技術は表現力の面でほかの技術にはない大きな特徴になっています。
RIAの面では、共通言語ランタイム(CLR)や動的言語ランタイム(DLR)を搭載することで、Web技術では汎用性のあるJavaScriptに加え、業務アプリケーションの開発で普及している、Visual BasicやC#、IronRuby、IronPythonといった言語による開発が可能であることが大きな特徴です。さらに40を超えるUIコントロール、REST・RSS・JSON・POXといったネットワーク通信、クロスドメイン、LINQ (Language Integrated Query) といったRIAには欠かせないネットワーク連携がサポートされています。
XAML(Extensible Application Markup Language)
RIA開発においては、デザイナーとデベロッパーをどう連携させるかが一つの課題と言えます。その解決策として、マイクロソフトではWPFにおいても、Silverlightにおいても、ユーザインターフェイスとロジックを切り分ける開発モデルとして、ユーザインターフェイスを記述に、XAML(ザムルと発音します)というXMLベースのマークアップ言語を提供しています。XAMLでは、アプリケーションのUIやボタンを指定できるほか、ベクターベースの描画やアニメーションにも対応します。Silverlightでは、XAMLの他にJPEGやPNGなどのイメージファイルやWindowsMediaファイルを扱うことが出来ます。
Expression StudioとVisual Studio
WPF、Silverlightともに、ユーザインターフェイスのデザインとロジック周りのプログラミングを分離した構造になっており、デザイナーと開発者という異なるスキルを持つ者同士が協業しながら、アプリケーション開発を進めるワークフローを提案しています。デザイナー向けのオーサリングツールとして、Blend、Web、Design、Encoder、Mediaの5製品で構成されるExpression Studioを、デベロッパー向けにはVisual Studioを用意しています。
2008年11月にはSilverlight 2に対応するアップデータとして、Expression Blend 2 SP1とExpression Encoder 2 SP1が、また、Visual Studio 2008用にはSilverlight Toolsと呼ばれるアドオンの提供が開始されています。いずれも正規登録ユーザの方は無償でご利用いただけます。
- 春日井 良隆/Kasugai Yoshitaka
- マイクロソフト株式会社
この記事は、RIAコンソーシアムが発行した『RIAシステム 構築ガイド Essential 2』の内容を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。※掲載されている内容は2008年12月発行時点のデータに基づいています。
RIAコンソーシアムの活動記録とも言える本ガイドは、RIAの普及促進、開発に関するガイドライン、課題解決などについて、マネージメント、ユーザーインタフェース、テクノロジーの3つの視点からみた、それぞれのテーマについてまとめています。
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