広告効果測定を売上につなげる3つのコツ/ここが変だよWebマーケティング #7
[コラム]
ここが変だよ
ウェブマーケティング
株式会社デジタルフォレスト 清水昌浩
集客のためによかれと思ってやっている、さまざまなマーケティング手法。なのに結果がついてこない、アドバイスを聞いてもなんとなく納得いかない……とお悩みの方は多いのではないだろうか。もしかしたらそんなあなたと、あなたの周囲のウェブマーケティングは、どこかが「変」なのかもしれない。
デジタルフォレスト 清水昌浩氏が、実話をもとにウェブマーケティングの問題点とその解決策を読み解くシリーズ。
リーマンショック以降、めっきり経済が冷え込んでしまった感がある。私が普段使う地下鉄南北線でも広告は減少の一途で、企業が広告の効果に対してよりシビアになっていることを痛感する。
そんなこともあってか、今年は広告の効果測定に力を入れる企業が増えているようだ。しかし、広告の効果測定に力を入れれば、必ず事は好転するのだろうか?
今回の記事では、広告効果測定を売上につなげるためのプラスαのコツについて書いていく。
広告の効果測定をすれば万事OKか?
広告の効果測定をきちんと行ってその効果を最大化したい、そんな相談を受けることが増えてきた。確かにインターネット広告は、マス広告と比較して効果を測定しやすい。広告出稿の結果どれくらいの人がサイトに来てくれたか、その結果資料請求や購入といったコンバージョンをどの程度生み出すことができたか、アクセス解析ツールによって容易に把握できる。
しかし、実のところ広告効果測定をしっかりやっているのに、肝心の効果が一向によくならないというケースも少なくない。広告効果測定をしているのに、なぜよくならないのだろうか。
理由は極めて簡単である。広告効果測定を踏まえた、効果改善のための検討とアクションをしていないためである。アクションを伴わない広告効果測定には意味がないのである。
コツ1キャンペーンの効果をアクセス解析で見える化→カイゼン
実はサイト側が良くないかもしれません
以前某社の役員からこんな相談を受けた。
キャンペーンを実施してそれなりの広告を出しているんですが、
一向に効果が上がらないんです……
広告の効果をあげるべくLPOを代理店に勧められたが、それでよいかわからず私に相談を持ちかけたのである。
その役員は代理店から広告レポートを受け取っていたが、それは媒体別の集客数と最終的なコンバージョンを捉えるだけのものであった。
そこで私は、まずアクセス解析で現状を明らかにすることを提案し、下の図のような形でキャンペーンの効果を見える化した。
その結果、課題のありかは一目瞭然であった。広告に問題があったわけはなく、ランディングページに問題があったわけでもない。問題箇所はサイト内のキャンペーンコンテンツからコンバージョンプロセスにつなげる部分だったのだ。この状態では、広告を増やしてもLPOを実施しても大した改善効果は見込めない。
この結果を踏まえてサイト側を改善することにより、大幅にコンバージョン数を伸ばすことに成功した。
このケースのように、広告の効果が上がらない理由がサイト側にあることも少なくない。一度サイト側に問題が潜んでいないか、チェックしてみてはいかがだろうか。
コツ2ユーザー視点のランディングページを
直帰されなければよい、というわけでもありません
広告でユーザーを誘い入れてきたら、最短距離でコンバージョンに至ってほしい、ということで、広告のランディングページに必要十分の情報を記載して、そのページにコンバージョンへのボタンを設置するパターンをよく見かける。そういったランディングページには、もちろんグローバルナビゲーションはないことが多く、他ページへのリンクも最低限に留めている。
ユーザーに不要な情報を与えず、迷わせないようにするというのはひとつの定石であるが、果たしてそれはユーザー視点に立ったものか、と思うこともある。
このようなページを用意している方に是非見てほしい指標がある。それは直帰率と他ページへの遷移率である。
とある企業の広告分析をした際、他ページへの遷移率に着目した。この企業ではそれなりにコンバージョンがあるということで、直帰率の高さには目をつぶっていた。しかし他ページへの遷移率、特に媒体やワード別の他ページへの遷移率を明らかにすることにより、今のままではダメだという結論に至った。
この企業のランディングページは、リンクを用意せず、コンバージョンへのボタンのみ設置していた。しかし唯一ランディングページの最上部の左側にサイトトップへのロゴがあった。そのロゴはクリッカブルであることは決してわかりやすくはなかったが、クリック率が非常に高かったのだ。つまり、現状のランディングページにあるものよりもさらに多くの情報を求めるユーザーが多く存在するということである。
この企業では、さらに分析して、来訪者の製品に対する知識や興味の度合いを把握し、それに応じて、媒体やワード別に3種類のランディングページを用意することにした。ひとつは最短距離でコンバージョンに至ってもらうもの、ひとつはその会社の扱う商材のリンクを追加したもの、もうひとつはその会社の商材のリンクとその会社の強みを表現するコンテンツへのリンクを追加したものである。
結果として、幸いにしてコンバージョン率は下がることはなく、直帰率が下がり、平均閲覧ページ数が増加した。広告による直接効果は横ばいのまま、認知効果を高めることができたのである。
コツ3キャンペーン開始で気を抜かない!
広告が終わってからのレポートでは遅いのです
新商品発売時や季節キャンペーンなど、ある程度まとまった予算を投下するキャンペーンを実施する会社も多いと思う。そのような場合、代理店とタッグを組み、効果を最適化すべく広告プランニングをする。そういったキャンペーンは会社としても非常に力の入ったもので、開始直前は現場はてんやわんやだろう。そしてキャンペーン開始の日は非常に緊張すると共にほっと力が抜ける日でもあるだろう。
そこで完全に力を抜いてしまうか、気を引き締めるかでキャンペーンの効果も変わってくる。
某社でキャンペーンの仕事をした際、代理店のレポートを待たずに、キャンペーン開始数日後に広告分析を行った。するとひとつの課題が浮かび上がった。直帰率が非常に高かったのである。その状態ではせっかく広告でユーザーを引っ張ってきても効果は薄い。
そこで広告主と相談して課題を特定し、すぐさまランディングページの改善を行った。結果として直帰率は大幅に改善し、それに伴いコンバージョンも大幅に増加した。
キャンペーン実施中は何かとバタバタして、分析まで手が回らないこともあるかと思う。しかしキャンペーンは実施することが目的ではなく、効果をあげることが目的であるはずだ。是非時間をやりくりして、キャンペーン開始直後の広告分析を実施してみてはいかがだろうか。思いのほか効果を高めることができるだろう。
最後に
今回の記事では、広告効果を高めるためのアクセス解析活用法について説明した。広告に対する効果の説明責任としてのアクセス解析はもちろん重要であるが、そこからさらに一歩踏み込んで広告の効果を高めるためにアクセス解析を使ってこそ、アクセス解析にお金を使う意味がより大きくなる。
今回説明した3つの方法をいきなりすべて実践するには時間的に難しいかもしれないが、まずは1つ試してみてその効果を体感してみてほしい。
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