横山明日希の〈数式図鑑〉
「数学のお兄さん」として活躍する横山明日希さん。数学×恋愛、数学×お笑い等、数学と異分野を掛けあわせた独自の切り口で、より数学を身近にする授業、講演などで人気です。
そんな横山さんの新著『数式図鑑』は、数学好きには外せない、さまざまな数式の美しさ、すごさ、不思議さをわかりやすく伝えるとっておきの数式集です。本書から、初めて知る数式や、よく知る数式の意外な一面など、読みどころを、ここにご紹介しましょう!
今回は、自然界でも多く見られる有名な数列の中に、これまた有名な黄金比という美を体現するような値が現れるおもしろさを数式の上でご紹介します。
フィナボッチ数列と黄金比
F₀=0, F₁=1, Fₙ+Fₙ₊₁=Fₙ₊₂(n≧0)
φ=(1+√5)/2=1.618...
フィボナッチ数列の規則性とは
フィボナッチ数列とは、以下のような数列のことをいいます。
0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, …
この数列に潜む規則性は、となりあう3つの数において、左2つの数の和が右の1つの数になるというもの。たとえば1つ目~2つ目に注目すると0+1=1、3つ目~5つ目に注目すると1+2=3 となっています。
これを「漸化式」と呼ばれる、数列の項と項の間の関係性を表す式にしてみると、
F₀=0, F₁=1, Fₙ+Fₙ₊₁=Fₙ₊₂(n≧0) (*)
となり、Fnがn番目の数を表します。n番目とn+1番目の項の和がn+2番目となっているという式ですね。
フィボナッチ数列の名前の由来は、12~13世紀のイタリアの数学者レオナルド・フィボナッチに関連します。彼自身がこの数列を発見したのではないのですが、『算盤の書』という本をフィボナッチが出版し、この数列を紹介したことで「フィボナッチ数列」という名前がつけられました。
フィボナッチ数列が有名となっている最大の理由は、自然界の現象として多く登場するからと言ってよいでしょう。
花びらの数もフィボナッチ数列の数になる
わかりやすい話としては「花びらの数がフィボナッチ数列の数になる」ことが知られています。たとえば桜のほとんどの種類は花びらの枚数が5枚、コスモスは8枚、ユリは3枚などなど。もちろん例外もあります(桜のなかでも八重桜などは、名前に8が入るのに枚数 が花によって異なることも)。
さてこのフィボナッチ数列ですが、もう1つ面白いことがあります。それは、この数列と「黄金比」との関係です。
黄金比についてはどなたもよくご存知だと思いますが、その名前のとおり、植物など自然界のさまざまな調和の中に現れ、古くから美のバランスを体現するものとして美術品や建築物のモチーフなどにも用いられてきた比の値のことです。それは(1+√5) /2という値で、よくφ(ファイ)と呼んで小数で近似するとφ≒1.618というものになります。
それでは、この黄金比とフィボナッチ数列の関係とはどのようなものなのでしょうか?